イギリスの核政策 |
こちらに年末まで滞在して論文を書くつもりでしたが、とりあえず今は滞在を延ばそうかと考えております。日本に帰国せず、なるべくこっちで集中して書いてしまおうかと。
そうなるとまた修行僧のような毎日が年末年始を越えて続くわけですが、これはまあしょうがない。
今日はコースメイトの韓国海軍のオフィサーと会って話をしたわけですが、彼は七月半ばに無事にドクターになったそうで、口頭試験もたった一時間の楽勝だったとか。
外部審査官は戦略文化の研究ではイギリスでけっこう知られた人物で、論文の内容を非常に気に入られたそうです。この話を聞いて、私もがぜんやる気がでてきました(笑
さて、今日はイギリスの核政策について。
イギリスの現在の核政策は4隻のヴァンガード級の原子力潜水艦に積んでいるトライデントD5潜水艦発射弾道ミサイルに頼っているわけですが、これを新型に変えるために議論されているのはみなさんもご存知の通りだと思います。
イギリスのブラウン首相率いる労働党政権はとりあえずこの4隻で回している現在の体制から一隻減らして3隻の体制にすると言っているわけですが、なぜ1隻減らすという半端なことをするのかについて色々な分析がなされております。
たとえばこのページの最初にある動画では、タイムズ紙のベテラン防衛担当記者のマイケル・エヴァンスが「経済的な理由よりも、政治的な理由を考慮しての決断である」として
1、米ロの核兵器削減に同調して、国際的な分野での倫理面での優位を維持したい。
2、ミサイルの購入数と核弾頭の数を減らしたい。
という分析を行っております。
しかしそれと同時に、同じページの下の記事では、
1、米ロに同調することによって、特にイラン(と北朝鮮)に圧力を加える。
2、3隻でもやっていけるような次期潜水艦をデザインするため。
と書いております。
まあどっちも正しいのかも知れませんが、これについて誰かご意見ありますでしょうか?
それにしても核兵器がからんでくると、どうしても話が「政策レベル」まで話が上がってきますね。
核兵器というのは単なる兵器でもあるので、本来なら「技術レベル」だけの話で終わりそうなものですが、国家のパワーにも直結してくるので、「大戦略レベル」を越えて「政策レベル」まで大きな影響を与えてしまいます。