戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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鳩山の「ファンタジー・アイランド」

今日の東京はよく晴れました。しかしさすがに夜にもなると肌寒いかんじになってきました。

さて、色々と出てきた鳩山論文関連の論説記事の中でも面白かったものを一つ紹介します。

鳩山論文がNYタイムズに載ってからけっこう大きな反響があるわけですが、私が読んだなかで一番鋭いと思ったのは以下のものでした。

====

Hatoyama's Fantasy Island

Tim Kelly, 08.30.09, 06:00 PM EDT
Japan's leader-in-waiting has a delusional vision for his country and its relationship with the rest of A

Yukio Hatoyama dreams of an Asian union, a utopia free of rapacious American capitalism, a region bound together by fraternity and a common currency. Were Hatoyama a soapbox orator his fantasizing could be dismissed as twaddle, but he isn't. He's about to become the next prime minister of the world's No. 2 economy, following his party's victory Sunday in a general election.

In an op-ed piece, "A New Path for Japan," that ran in The New York Times recently, the leader-in-waiting revealed his vision of Asia's future, one that has Japan hand-in-hand with China at its center as American economic and military power wanes. He describes his country as being "buffeted by the winds of market fundamentalism," a nation "damaged" by an unfettered global economy. There is, Hatoyama boldly states, "danger inherent in freedom," although he doesn't specify what variety of liberty he finds most hazardous.

There's no suggestion he would want to go as far as rounding up Japan's beleaguered free marketeers and locking them up and throwing away the key, but his public musings suggest Japan is in for a heavy bout of re-regulation that will swaddle the unviable and stymie the fit. Hatoyama is right when he notes the relative decline of America vis-à-vis China, but chooses to overlook the more precipitous decline in Japan's power and influence. As the rest of the world economy grew over the past decade and a half, Japan's stood still, its corporations hobbled by the kind of regulation and bureaucracy seemingly advocated by Hatoyama's brand of economic nationalism.

=====

この東京在住の記者が批判しているのは以下の点です。

1、アメリカの影響力の低下をしているが、日本経済が停滞して世界で影響力を落としているという現実を見ていない。(自分の足下をよく見ろ!)

2、日本が他国の解放された市場に頼っているという事実をみていない。(おめーもグローバル化経済の恩恵を受けているんだろ?)

3、中国が「アジア共通通貨」というアイディアに関心を持つはずがない。中国は時間をかけて自国の通貨がアジアで広まるのを待つだけでいいからだ。(中国はあんたの提案を受けないよ!)

4、民主党の大勝の原因は、民主党のアイディアの勝利というよりも自民党の自壊だ。よって、鳩山の幻想的なアイディアを日本国民が賛成しているというわけではない。(自分のアイディアが承認されたと勘違いしなさんな!)

この人はフォーブスの記者ですから、あのフルフォードさんの後輩に当たる人でしょうか。
Commented by アラスカ at 2009-09-07 02:38 x
「敵を知り己を知る」をやっていないからこういう問題を抱えるのではないでしょうか。1は自分を知らないから、2は市場を知らないから、3は中国を知らないから、4は国民を知らないから。

前政権は経済政策を決める時とかに専門家達の意見を聞いたらしいですが、新政権もそれみたいのをやった方が良いと思いますね。
Commented by himorogi at 2009-09-07 03:13 x
民主党は全く支持してないんだけど、指摘されたところに関しては、お前ににいわれたかぁねぇよ、と。

>1、アメリカの影響力の低下をしているが、日本経済が停滞して世界で影響力を落としているという現実を見ていない。

日本の影響力はもともと小さいし、さらに弱くなったところで大きな変化は無い。日本は影響力の弱さをアメリカに寄り添うことでカバーしてきたわけで、アメリカの衰退を真っ先に心配しなきゃならない。

>2、日本が他国の解放された市場に頼っているという事実をみていない。

程度問題の話なのに、白黒二値論理にすり替えるのは。

>3、中国が「アジア共通通貨」というアイディアに関心を持つはずがない。

問題は共通通貨ではなく、東アジア経済ブロック成るかということ。

>4、民主党の大勝の原因は、民主党のアイディアの勝利というよりも自民党の自壊だ。

大勝の原因は小選挙区制度。勝敗の原因は確かに自民党の自壊だけど。
Commented by ゴメズ at 2009-09-07 03:14 x
今まで日本は黙ってついてくるから特に関心もなかったがにわかに日本に対してめがむけられています。

従来アメリカの動きに右往左往していたのは日本なんですが鳩論文にはいずれも警告や非難と言った感じですが何となく焦り、狼狽にも感じると言ったら言い過ぎでしょうか。

オバマも中国重視、鳩も中国重視、、、中国モテモテじゃん。

ファンタジー脳の持ち主に事実を並べても無駄だが
アメリカの批判はある意味当然ですが中国の反応も良さそうに見えても諸手をあげてというわけではなさそうです。
日中に挟まれた半島の南半分だけはファンタジーを諸手をあげて絶賛大歓迎しています。

3,のアジア通貨ですが中国としては元の国際化、ハードカレンシー化が目論見と言うことですね、確かに元で支払いができれば印刷機を廻すだけですから。

どうして泥臭い政治家をしていながらこのようなファンタジーでいられるのか不思議です。


本人はこれこそが信念だと思ってやってるつもりなのでしょうが地図を読めない船長というのは国民としては怖いです。




非難
Commented by elmoiy at 2009-09-07 06:56 x
>従来アメリカの動きに右往左往していたのは日本なんですが鳩論文にはいずれも警告や非難と言った感じですが何となく焦り、狼狽にも感じると言ったら言い過ぎでしょうか。

日本の政権交代でなぜか異なる米英の反応
ttp://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20090902-01.html
予定調和で意のままになるとタカをくくられているより、ちょっとは「予測がつかない」とオタオタさせるほうが、緊張感のある新鮮な関係が持続できて、長い目で見るとより良い関係が築けると思うのです。これは男女や夫婦関係のことに限らず、国同士の関係にも言えることではないでしょうか。

みんな似たようなことを考えているみたいですね(苦笑

>アメリカの批判はある意味当然ですが中国の反応も良さそうに見えても諸手をあげてというわけではなさそうです。

民主党政権誕生に悩む中国
ゼロから始まる関係構築?~中国株式会社の研究~その23
ttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1695

民主党は上海閥とつながりが深いから、北京は複雑な眼で今回の政権交代を見ているかも。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-09-07 22:21 x
日本側も、選挙前は、オバマ大統領やクリントン国務長官に対して、
「中国への言及ばかりで、日本は無視かよ!!」
という批判をしていましたから、そういう意味では、民主党だけに「おあいこ」といったところでしょうか。

どこかの論評で、鳩山氏はベネズエラのチャベス大統領並みの反米左翼と評されていましたから、日本の政治軸が世界標準に比べてかなり「左」によっているのでしょう。

つまり、日本の「中道」が世界基準では「左翼」とされるのではないでしょうか。
菅直人氏の紹介記事でも、社民連を「Leftist Party」としていましたから、自民党で、中道右派~社会民主主義をカバーしていたのでしょう。

さすが「世界で唯一成功した社会主義国」といわれた日本のことだけはあります。
Commented by masa_the_man at 2009-09-07 23:57
アラスカ さんへ

>「敵を知り己を知る」をやっていないからこういう問題を抱えるのではないでしょうか。

というか、基本的に情報戦のコワさをまだ知らないのかも知れません。

>前政権は経済政策を決める時とかに専門家達の意見を聞いたらしいですが、新政権もそれみたいのをやった方が良いと思いますね。

いずれやると思います。というか、それがないと何もできませんからね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-08 00:00
himorogi さんへ

>指摘されたところに関しては、お前ににいわれたかぁねぇよ、と。

わははは(笑)たしかに。

>日本は影響力の弱さをアメリカに寄り添うことでカバーしてきたわけで、アメリカの衰退を真っ先に心配しなきゃならない。

そうですね。こういう反論をしないと。

>大勝の原因は小選挙区制度。勝敗の原因は確かに自民党の自壊だけど。

こういう分析って、けっこうツッコミどころが多いんですよね。問題はこういうのに反論しない日本側の対応の貧しさなんですが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-08 00:04
ゴメズ さんへ

>鳩論文にはいずれも警告や非難と言った感じですが何となく焦り、狼狽にも感じると言ったら言い過ぎでしょうか。

それが逆に彼らに新鮮に映ったのかもしれません。

>日中に挟まれた半島の南半分だけはファンタジーを諸手をあげて絶賛大歓迎しています。

これはある意味で彼らの正直なところかも知れません。

>中国としては元の国際化、ハードカレンシー化が目論見と言うことですね、

少なくともこの記者はそう見ている、ということがわかります。

>地図を読めない船長というのは国民としては怖いです。

これを「建前」として言っているという場合もありますよね。一番気になるのは彼のバランス感覚なんですが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-08 00:06
elmoiy さんへ

>緊張感のある新鮮な関係が持続できて、長い目で見るとより良い関係が築ける

うまいたとえですなぁ。

>民主党は上海閥とつながりが深いから、北京は複雑な眼で今回の政権交代を見ているかも。

そういう意味でははからずも中国国内のBoPをシフトさせることになるかも?コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-08 00:08
待兼さんへ

>「中国への言及ばかりで、日本は無視かよ!!」という批判をしていましたから、そういう意味では、民主党だけに「おあいこ」

ああ、なるほど(笑

>日本の政治軸が世界標準に比べてかなり「左」によっている

そうかも知れません。実は右も相当左寄りだったことが認められてませんし。

>自民党で、中道右派~社会民主主義をカバーしていた

わかりますね。彼らにとってはやや不可解なところあったでしょうなぁ。

>「世界で唯一成功した社会主義国」といわれた日本

というか、「共産主義国」だったかも知れません(笑)コメントありがとうございました
Commented by アラスカ at 2009-09-08 22:27 x
>>いずれやると思います。というか、それがないと何もできませんからね。

遅いですよね、マニフェストを作る段階でいたって良いでしょうに。
「自民党以上の事をやる」と言うなら、もっと早く、それに民主党独自の専門家団(自評専門家のいない)があった方が良いですよね。
Commented by rop at 2009-09-08 23:10 x
たまにはケンカを売ってみることにしましょう。

待兼右大臣さんの認識する「右」「中道」「左」、「保守」「リベラル」の軸は ①外交・安保・民族主義政策に関する右・左 ②経済政策に関する右・左 を混同してますよね。

「世界で唯一成功した社会主義国」という表現は②についてのもので、①はちっとも関係ありません。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-09-08 23:18 x
>>混同してますよね。

確かに、1次元座標表現ですから、そうなりますね。
(といいますか、混同しないと1次元座標表現にはなりませんから)

ちなみに、日本語版ポリティカルコンパスでも

>>日米では感覚や文化の差異もあり、
>>日本人がやるとやたらとリベラル左派に判定されてしまいます

という表現があります。
Commented by masa_the_man at 2009-09-09 01:37
アラスカさんへ

>「自民党以上の事をやる」と言うなら、もっと早く、それに民主党独自の専門家団(自評専門家のいない)があった方が良いですよね。

民主党の首脳部たちも、元を正せば自民党の人たちばかりですから(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-09 01:40
rop さんへ

>たまにはケンカを売ってみることにしましょう。

無益な中傷合戦にならなければ歓迎です(笑

>①外交・安保・民族主義政策に関する右・左 ②経済政策に関する右・左 を混同してますよね。

ああ、なるほど。アメリカではたしかにこの辺の棲み分けがある程度できているような。

>「世界で唯一成功した社会主義国」という表現は②についてのもので、①はちっとも関係ありません。

鋭いツッコミですな。まあ実際のところは連動している(と見られる)部分がなきにしもあらずですが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-09 01:42
待兼さんへ

>>>日本人がやるとやたらとリベラル左派に判定されてしまいます

このコンパスの元々の想定が文化的に違う、ということもありますよね。そもそも日本でも「保守」とか「リベラル」の定義のあいまいさが大いにあるという部分は否定できないわけで。コメントありがとうございました
Commented by rop at 2009-09-09 04:45 x
ん。コンパス自体の問題、ですか・・・これじゃケンカにならないな・・・

「ネット右翼」のレッテルを貼られた人達が日本語版ポリティカルコンパスをやるとたいてい左派に分類されてしまう、と互いに嘆いていたことが話題になったことがありますね。

もっとも「外交・安保・民族主義政策で『右』なら、経済政策でも『右』でなければならない」と思い込む馬鹿な人々もいます。そのほとんどは『正常な経済右派』(政府によるマクロ補正は行うべきだが、後は個々の自由に任せよ…という思想)の枠を飛び越えてしまった人々です。(なぜか日本会議系の方に多いんですが、底辺層が平時に国家により冷遇されてても戦時に国家の為に闘ってくれると本気で考えているのでしょうか?敵のプロパガンダが浸透しやすくなるでしょう)

連動している(と見られる)部分はかなり有りますが、意識的に切り離す努力が必要ではないかなと思います。
Commented by ワカサギ at 2009-09-09 17:58 x
今更ながら書かせて頂きます。

この記事に関しては私はその通りですねと思いました。
日本人はどうもアメリカの軍事力による恩恵や、経済力を低評価しすぎな気がします。日本は世界中がから様々なものを輸入し、輸出しているのに。
それと、アメリカが敵になったときの怖さも忘れているような気がします。

ただ、今まで散々アメリカのルールで守ってもらいながら、落ち目が見えてきたらすぐ切るのかよ。中国は自分中心でアジアをまとめようとしていて、それは日本にとってもよくないぞ、これまでのようにアメリカと仲良くした方がいいぞ、という気持ちを記者が持っているようにも感じました。
やっぱりアメリカも自分の勢いが落ち目で、中国と日本が必要以上に接近するのを気にしているのではないかと感じました。
Commented by Oink at 2009-09-09 21:53 x
こちらでも書いたのですが、中国が日本を取り込み
インドを排除する共同体を目指す場合、
21世紀の戦略的なライバルとなりうるインドへの日本からの
投資や技術支援を制限できると考えるので、アジアにおいて
中国が相対的に優位に立てると考えるのは変ですか?
ttp://geopoli.exblog.jp/11841916/

欧米のパワーが撤退した場合、
アフガニスタンやパキスタンでも中国とインドは対立しそうですね。
Commented by masa_the_man at 2009-09-10 20:38
ropさんへ

>「ネット右翼」のレッテルを貼られた人達が日本語版ポリティカルコンパスをやるとたいてい左派に分類されてしまう

ああ、わかるような(苦笑

>底辺層が平時に国家により冷遇されてても戦時に国家の為に闘ってくれると本気で考えているのでしょうか?

どこかでこれを「期待している」というのはありそうですね。

>意識的に切り離す努力が必要

必要でしょうな。合理的に考えるためにも。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-10 20:42
ワカサギさんへ

>日本人はどうもアメリカの軍事力による恩恵や、経済力を低評価しすぎ

ある意味で「空気」みたいなものですからね。

>日本は世界中がから様々なものを輸入し、輸出しているのに。

シーパワー論の重要性はここにありますね。

>今まで散々アメリカのルールで守ってもらいながら、落ち目が見えてきたらすぐ切るのかよ。

アメリカ側の恐怖感ですね。

>やっぱりアメリカも自分の勢いが落ち目で、中国と日本が必要以上に接近するのを気にしているのではないかと感じました。

気にしてますね。イギリスでこういうことが起こった時にマッキンダーが出てきました。アメリカでは一体だれが???コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-09-10 20:45
Oinkさんへ

>21世紀の戦略的なライバルとなりうるインドへの日本からの
投資や技術支援を制限できると考える

これは中国がどこまで海を握れるか、という点にもかかってきますね。

>中国が相対的に優位に立てると考えるのは変ですか?

少なくとも彼らはそう考えているフシがありますね。

>アフガニスタンやパキスタンでも中国とインドは対立しそうですね。

すでにその兆候が色々なところで見られてますなぁ。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-09-07 00:39 | おススメの本 | Comments(22)