「原理・原則」なんて存在しない?
2009年 09月 03日
さて、youtubeで面白いインタビューがあったので紹介を。
これは保守派のコメンテーターであるジョージ・ウィルに対して、突撃インタビューの番組のレポーターがした質問です。
ウィルは、人間が常に従わなければならない「原理・原則」(principles)などはない、と断言していたわけですが、これに対してこのインタビューアーは、
という風に、「無実の人を殺してはいけない」という「原理原則」はありますよねぇ、とウィルに認めさせております。
このウィルの発言で面白いのは、このコメント欄にもあるように、「原理・原則はないんだ!」と叫んだそのコメント自体が矛盾している、というもの。
つまりこの「原理・原則はない」という原理原則自体がそもそもはじめから否定されている、ということです(笑
これって相対主義者がよくひっかかってしまう矛盾なんですよね。
ちなみに同じインタビューアーは、カリフォルニア州選出の民主党の大物下院議員(ピート・スターク)に対して数年前に以下のようなインタビューをして怒られてます。
これはつまり、この議員が「個人はダメだが、国家は借金しても全然オッケー。なぜならそれは国の豊かさの指標になるからだ」という驚きの発言に対してしつこくツッコミを入れたものです。
議員はインタビューアーがあまりにもこのコメントに食いついたため、最後には「てめー、早く出てかないと窓から放り出すぞ!」と激怒されてます(苦笑

>「無実の人を殺してはいけない」という「原理原則」はありますよねぇ、
本音は「それも無い」とは言いたかったのではないかい。
今の人間社会の現状を見ると、行動を規定する重要な要素ではあるのでしょうが、ヒューマニズムが人間の原理原則とは思えないのです。
あるとすれば、もっと原始・本能的な食う寝る生殖みたいなものだと思う。
国際関係論的には
「国際法の遵守」「国家主権の尊重」的なものを原理原則として捉えるのは誤りで、
「国家はパワーを最大化する」的なものこそ原理原則と云えるのではないか。

では、失礼します
>本音は「それも無い」とは言いたかったのではないかい。
ああ、たしかにそうですね。このインタビューではその先のウィルのコメントがカットされてますし。
>ヒューマニズムが人間の原理原則とは思えないのです。
おおっ、大胆な(笑)勇気ある発言です。
>あるとすれば、もっと原始・本能的な食う寝る生殖みたいなもの
いや、「自殺」とか「禁欲」もあるわけですから、そうなるとやはりウィルの発言はある程度正しいということにもなりそうな(笑
>「国家はパワーを最大化する」的なものこそ原理原則と云えるのではないか。
かも知れません。これは「である」と「〜すべき」という区別によっても変わってくるかも知れませんが。コメントありがとうございました
>普段の仕事がミクロな視点で物事を見ることが多いため、ここでのマクロな視点での議論は私にとって大いに刺激になります
そういっていただけると嬉しいです。
>先日『戦略論の原点』と『戦略の格言』を購入しました。読了しましたら、感想等を
ぜひお願いします。楽しみにしております。コメントありがとうございました

インタビューアは「無実の人を殺してはいけない」とかいう即物的な原則を認めさせることを迫るのではなくて、「もし我々が従うべき原則があるとしたらどういうものなのか」を聞いた方が有益だったんじゃないかなあと思ってしまいます。
>前後関係がないのでジョージ・ウィル氏がどういう意図で言ったのか分からないですけれど。
そうなんですよね。インタビューもけっこううまいところでカットしてますし。
>「もし我々が従うべき原則があるとしたらどういうものなのか」を聞いた方が有益だったんじゃないかなあと思ってしまいます。
狙いが「評論家の鼻を明かしてやる」というところにあるから仕方ないのかも知れませんな。コメントありがとうございました