戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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リチャード・パイプスの「ロシアの地政学」

今日の甲州は日中晴れて夏らしかったのですが、夜になるとすっかり涼しくなって、車の窓を空けて走っていると寒いくらいでした。

12日のオフ会の件についてですが、おかげさまで多数のお申し込みをいただき満席となりました。ありがとうございます。

キャンセルが出ましたらまた告知しますが、とにかくメンバーがなかなかユニークそうな方ばかりです。当日が本当に楽しみになってきました。

さて、今日は久しぶりに地政学的なネタを。

といっても具体的な地理がからんだものというよりは、地政学で重要な世界観というものを如実に表した素晴らしい例(というか説明)を発見しましたので、その紹介です。

リチャード・パイプスと言えば、拙著『地政学』の中に出てくる「チームB」を冷戦時代に組織したロシア専門家として有名なポーランド生まれのユダヤ系知識人でして、ネオコンの急先鋒であるダニエル・パイプスのパパでもありますが、最近この人がロシアの地政学について面白いことを書いておりました。

以下の記事のとくに三段目の箇所は注目です。

===

Pride and Power

Russia is caught between continents and haunted by its past. Richard Pipes on the need to convince a nation to dial back its aggressive tendencies and join the West.

By RICHARD PIPES

Russia is obsessed with being recognized as a "Great Power." She has felt as one since the 17th century, after having conquered Siberia, but especially since her victory in World War II over Germany and the success in sending the first human into space. It costs nothing to defer to her claims to such exalted status, to show her respect, to listen to her wishes. From this point of view, the recent remarks about Russia by Vice President Joe Biden in an interview with this newspaper were both gratuitous and harmful. "Russia has to make some very difficult calculated decisions," he said. "They have a shrinking population base, they have a withering economy, they have a banking sector that is not likely to be able to withstand the next 15 years."

These remarks are not inaccurate but stating them publicly serves no purpose other than to humiliate Russia. The trends the vice president described will likely make Russia more open to cooperating with the West, Mr. Biden suggested. It is significant that when our secretary of state tried promptly to repair the damage which Mr. Biden's words had caused, Izvestiia, a leading Russian daily, proudly announced in a headline, "Hillary Clinton acknowledges Russia as a Great Power."

Russia's influence on world affairs derives not from her economic power or cultural authority but her unique geopolitical location. She is not only the world's largest state with the world's longest frontier, but she dominates the Eurasian land mass, touching directly on three major regions: Europe, the Middle East and the Far East. This situation enables her to exploit to her advantage crises that occur in the most populous and strategic areas of the globe. For this reason, she is and will remain a major player in world politics.

====

上の重要な箇所を要約しますと、ロシアが今後も世界政治において主要なプレイヤーであり続ける理由は、

1、世界最大の国土と最長の国境を持つ。
2、ユーラシア大陸で支配的な位置にある。
3、ヨーロッパ、中東、極東の三大地域に直に接している。
4、つまり地球上で最も人口の多く戦略的な場所に危機が起きてもそれに乗じることができる。

という「地政学的な位置」を占めるから、ということです。

これって「ハートランド理論」以外のなにものでもないですよね(笑

ここで重要なのは、これを唱えているパイプスがこのような「世界観」を持っている、という事実です。

地政学は「世界観」に直結しているのであり、それは「大戦略」を導き出す役割が大きいということは、本ブログをご覧の皆様にはすでに「耳タコ」かもしれませんが。
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Commented by Oink at 2009-09-05 20:44 x
某動画で「ある瞬間には海上、次の瞬間には陸上。船は鉄道発明以前の最速の移動装置だ」と言われていましたが、
大英帝国のマッキンダーにとって重要だったのは、
列強の中で単独ではどこも手に入れていなかった
極東への独占的なアクセス(ランドパワー)を確保したからでしょう。
新しくある地域へのアクセスを確保する新興国は
すでにそこに勢力を持っている国からは警戒されますよね。

ロシア人が特殊だと西洋から見られがちなのは、
ロシア人の意識にも大きな問題があるんじゃないですかね?
たしか、ロシア人は自分たちはヨーロッパ人でもアジア人でもないという
意識が強い傾向があるからだ思います。

その点で、中国人も結構特殊なんですよね。
日本人に、あなたはアジア人であるかと問えばそれなりの人が
そうだと答えるでしょうが、たしか中国人に向けて
あなたはアジア人かとアンケートを取ったら4%とかだったと思いました。
Commented by Oink at 2009-09-09 21:41 x
21世紀のランドパワーという点で判断すれば
ロシアは、中国、インドより劣ったパワー(陸軍力)しか
持てないという「世界観」があるのですけど。

ロシアは、核があるから大丈夫なんですかねぇ?
Commented by masa_the_man at 2009-09-10 21:37
Oink さんへ

>マッキンダーにとって重要だったのは、列強の中で単独ではどこも手に入れていなかった極東への独占的なアクセス(ランドパワー)を確保したからでしょう。

それとアメリカ大陸へのアクセスもあるでしょうね。いずれもカギとなるのは「アクセス」です。

>新興国はすでにそこに勢力を持っている国からは警戒されますよね。

そういうことです。20世紀初頭のドイツがこれでした。

>ロシア人が特殊だと西洋から見られがちなのは、ロシア人の意識にも大きな問題があるんじゃないですかね?

あります。「世界観」の違いです。

>ロシア人は自分たちはヨーロッパ人でもアジア人でもないという意識が

「ユーラシア主義」というやつですか。

>中国人に向けてあなたはアジア人かとアンケートを取ったら4%

ああ、そうかも知れませんなぁ(苦笑

>ロシアは、中国、インドより劣ったパワー(陸軍力)しか持てないという「世界観」があるのですけど。

「ロシアには」ですか?それともこれを見ている我々にそういう世界観があるということでしょうか?コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-09-03 00:46 | 日記 | Comments(3)