戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28

中国絶賛論

今日の甲州はよく晴れて猛暑だったらしいのですが、私は喫茶店などで一日中作業しておりましたので、むしろ寒いくらいでした。

アメリカの議会と前政権の幹部の関係が、今頃になってチェイニーをめぐっての「CIAに指示した/しなかった」論争を中心にニュースになってきておりますが、ナンシー・ペロシの「あたしはグアンタナモでの拷問についてCIAから聞いてないわよ!」発言から始まって、けっこう面白い展開になってきてますね(笑

===

チェイニー氏、CIAに情報隠ぺいを直接指示 消息筋

ワシントン(CNN) 米中央情報局(CIA)はブッシュ前政権当時、当時のチェイニー副大統領からの直接指示で、テロ対策に関する機密情報を議会から隠ぺいしていた。チェイニー氏が隠ぺいに関与していたことは先日、パネッタCIA長官から上下両院の情報委員会に明らかにされたという。消息筋が11日、匿名を条件にCNNに語った。

===

しかしこれよりも驚いたのは、なんといってもイギリスのエコノミスト誌が書評欄のトップで扱っていた「中国絶賛論」の書評の内容です。

===


b0015356_0322914.jpg



Enter the dragon

Jul 9th 2009
From The Economist print edition

The West hopes that wealth, globalisation and political integration will turn China into a gentle giant. A new book argues that this is a delusion

When China Rules the World: The Rise of the Middle Kingdom and the End of the Western World. By Martin Jacques. Allen Lane; 592 pages; £25. To be published in America by Penguin Press in November.



Is the long era of Western dominance, first by European powers and then by America, finally coming to an end? For Martin Jacques, a British commentator and recently a visiting professor at universities in China, Japan and Singapore, the answer is clear. The title of his book says it all: “When China Rules the World”.

He begins by citing the latest study by Goldman Sachs, which projects that China’s economy will be bigger than America’s by 2027, and nearly twice as large by 2050 (though individual Chinese will still be poorer than Americans). Economic power being the foundation of the political, military and cultural kind, Mr Jacques describes a world under a Pax Sinica. The renminbi will displace the dollar as the world’s reserve currency; Shanghai will overshadow New York and London as the centre of finance; European countries will become quaint relics of a glorious past, rather like Athens and Rome today; global citizens will use Mandarin as much as, if not more than, English; the thoughts of Confucius will become as familiar as those of Plato; and so on.

All this makes for an interesting parlour game. Yet there is something too deterministic about Mr Jacques’s economic and political extrapolations. The author does not allow for uncertainty, chaos and error. He predicts that history is about to restore China to its ancient position of global power. But might it not equally push China back into self-destructive upheavals such as the Great Leap Forward and the Cultural Revolution? After all, the same Communist Party remains in power and, as Mr Jacques puts it, the Chinese state has never shared authority with anyone. He accords little importance to the thousands of protests in China, most of them against corruption and the loss of land. In his dense recitation of data, there is hardly a mention of the demographic crisis facing China, which means that the country could well become old before it becomes rich. He sees little risk of instability from ethnic unrest in Tibet or Xinjiang.

For Mr Jacques (the last editor of a defunct British magazine called Marxism Today), the Communist Party is a benign force, guiding the country through its spectacular boom while avoiding the collapse that afflicted the Soviet Union. He has little truck with the notion that free markets can only work, in the long term, in free societies; that liberty of thought leads more easily to innovation; that democratic states correct their mistakes more easily than authoritarian ones.

All this is a Western conceit, says Mr Jacques. Democracy and rule of law were not a precondition for the West’s economic power, but a coincidence. This argument is the most interesting (and contentious) part of Mr Jacques’s book

(中略)

Conflict of the sort that accompanied the rise of Germany and Japan cannot be ruled out, says Mr Jacques, but there is a good chance that it can be avoided. “China does not aspire to run the world because it believes itself to be the centre of the world,” he writes. Perhaps so. For now China is developing in collaboration with the West. It relies on Western investment and markets, and seeks stability abroad.

The West hopes that wealth, globalisation and political integration will turn China into a gentle giant, a panda rather than a dragon. George Bush senior declared in 1999: “Trade freely with China and time is on our side.” But Mr Jacques says this is a delusion. Time will not make China more Western; it will make the West, and the world, more Chinese.

===

簡単にいえば、この本は「これから世界が中国化する」ということを述べているらしいのです(苦笑

この人は廃刊になったマルクス主義の雑誌の最後の編集長であり、中国で教えている、ある意味で「筋金入り」の人みたいですが、これから中国は平和的に発展し、中国が世界に同化するというよりも、世界が中国に同化していくという世界像(パックス・シニカ)を論じているんですね。

経済力の上昇には法の整備や民主化というのは関係ない、それは単なる西側の偶然の産物だ、という議論はザカリアなども一つ前の本で論じておりましたね。

私は本当にこういう世界が訪れた場合には、日本は持ち前のリアリズム(?)で「世界のトップの国と仲良くする」という戦略をとることもあるのでは(!)と考えておりますが、それにしてもあまり気持ちのよい(少なくとも私にとって居心地のよい住みやすい)世界になるとは思えません(苦笑

それにしてもこの本の著者は楽観論ですなぁ。
Commented by sdi at 2009-07-14 01:03 x
>経済力の上昇には法の整備や民主化というのは関係ない
民主化はどうかわかりませんが、法の整備というより法治主義は経済力の上昇を維持する上で必要条件ではないでしょうか。
・課税要件法定主義
・罪刑法定主義
この二点が施行されることにより「私有財産の保証=個人の稼ぎを権力者が恣意的収奪できない」ことが成立します。同時に私有財産というものが法によって規定されることにもなります。
これが成立していないと、たとえ経済力が上昇してもそれが社会の中を循環してさらなる成長を生み出さなくなってくるんではないでしょうか。
さらに言えば、徴税と国家支出による所得の再配分が機能不全に陥ります。また、いくら能力があっても利益が恣意的に権力機構に吸い取られてしまうのでは労働意欲が削がれるか、利益を得る手段が刹那的になっていきます。って、今の中共社会そのまんまですね。
世界が中国に同化するということは「法治主義」から「人治主義」に権力システムが変化し、法という権力の恣意的行使に対する歯止めが無効化されかねない事態になる、ということだと私は理解しているんですが考えすぎですかね。
Commented at 2009-07-14 01:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by たのしろ at 2009-07-14 07:48 x
どうなんでしょうねぇ?

日本以外の国では、他人を信用する信頼するって概念がないから、契約書と言うシステムで、契約した相手を縛り付けるのですが、支那の場合は、契約を守る(法治)という事がない(契約書を破棄する、法律を変える等)らしいですから・・・

契約を守らない人たちですから、経済活動にかなり制限されるというか、すごい無駄が発生すると思われるんですよね。

ただ、支那の違法移民により、「世界が中国化する」は有り得る気がします。
Commented by nanashi at 2009-07-14 08:09 x
世界を変える国と予定されていたのは日本だったんですよ。
日米戦争があるまでは。
中国モデルは、劣化した日本モデルの大規模なケースに過ぎないです。
残念なことに、資源制約を受けた条件下での行動様式としての江戸文化を中国は持っていないのです。
共産主義者にとって中国は最後の希望ですが、それは無理な夢です。
Commented by elmoiy at 2009-07-14 12:50 x
>これから世界が中国化する

1860年代に、清朝が洋務運動を行った際も、中国の発展は目ざましく、
欧米の技術を導入した軍需工場が建設され、鉄道や電線が敷設され、会社や企業が生まれました。その発展は同時代の日本人もうらやむほどでした。

しかし1894年の日清戦争の敗北をもって、洋務運動の限界が白日の下に晒されます。旧体制を維持し、議会政治をはじめとする西洋のソフト面を導入しなかったためです。私個人は今の中国の発展もそのうち限界にぶち当たると思っていますが・・・

それにしても欧米の左派は中国に期待を寄せる人が多いですね。カレル・ヴァン・ウォルフレンも「中国は共産主義だから成功した」と主張していますし。
Commented by えんき at 2009-07-14 19:10 x
私は「棲み分け主義」が主流と成ると予想しています。それが人類の生存にとって理に適っているからです。したがって、パックス・シニカのようなグローバリズムの一形態が進行するとは思いません。
Commented by nanashi at 2009-07-14 21:46 x
江戸型の均衡に達するには、EUなどの領域主義が世界中で進みながら、アングロサクソン系の力が及ぶ範囲を狭めていく過程が必要です。
武断政治では駄目だということに米国が適応する過程が必要です。とにかく平和を保つことが重要です。
EU方面は良いとして、中国にそれができるかというと本当に心許ない。
中国人はまとまらない。内紛を抑止できない。
安定した国家になるためには、リスク負担が公平であるという国民意識が必要です。中国にはそれが生まれない。だからどうしても崩れやすい。
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:26
sdi さんへ

>法の整備というより法治主義は経済力の上昇を維持する上で必要条件

うーん、私は確証をもって答えられるだけの判断はできないのですが。

>これが成立していないと、たとえ経済力が上昇してもそれが社会の中を循環してさらなる成長を生み出さなくなってくるんでは

そうかも知れません。

>いくら能力があっても利益が恣意的に権力機構に吸い取られてしまうのでは労働意欲が削がれるか、利益を得る手段が刹那的になっていきます。って、今の中共社会そのまんまですね。

わははは。

>世界が中国に同化するということは「法治主義」から「人治主義」に権力システムが変化し、法という権力の恣意的行使に対する歯止めが無効化されかねない事態になる、ということだと私は理解

この本の著者はそこまで考えていないようですね。とりあえず西の基本的にシステムはとりこんで、でも影響力と政治力は中国がもつようになる、ということみたいですが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:28
邪からすみさんへ

>ちがう人

なるほど、そうなんですか。

>思ったとおり面白い切り替えし

ありがとうございます(苦笑

>反対の状況なのですが、同じようなことを思うのです

なるほど、そういうわけで。

>人間がコントロールできるものは意外と多いのかもしれない、と思わせてくれます

本気でやればコントロールはある程度可能なのかも知れませんからね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:31
たのしろ さんへ

>契約を守る(法治)という事がない(契約書を破棄する、法律を変える等)らしい

ですね。それが今度どこまで変わっていくかが問題なのですが・・・変わらないかな(苦笑

>なり制限されるというか、すごい無駄が発生すると思われるんですよね。

すでに発生してますよね。その典型が彼らのインフラや環境ですね。

>支那の違法移民により、「世界が中国化する」は有り得る気がします。

アメリカの西海岸ではあるていどこのような兆候がみられますね。日本も池袋なんかではこのような傾向が(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:32
nanashi さんへ

>世界を変える国と予定されていたのは日本だった

うーん、どう変えるつもりだったのかはいまひとつピンと来ないんですが。

>資源制約を受けた条件下での行動様式としての江戸文化を中国は持っていない

むしろ内乱が得意ですからね(苦笑

>共産主義者にとって中国は最後の希望ですが、それは無理な夢です。

まだ夢が残っているんでしょうねぇ。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:35
elmoiy さんへ

>しかし1894年の日清戦争の敗北をもって、洋務運動の限界が白日の下に晒されます。旧体制を維持し、議会政治をはじめとする西洋のソフト面を導入しなかったためです。

それはたしかにそうですな。まああの国にこのようなソフトは無理くさいと思うんですが。

>私個人は今の中国の発展もそのうち限界にぶち当たると思っていますが・・・

私もそう思っております。中国崩壊論ですから(笑)

>それにしても欧米の左派は中国に期待を寄せる人が多いですね

これってどうも伝統的なものみたいですね。むかしからこのパターンが繰り返されているような。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:37
えんきさんへ

>私は「棲み分け主義」が主流と成ると予想

つまりこれはランドパワーの中国と、シーパワー勢力(日米英)ということでしょうか。

>パックス・シニカのようなグローバリズムの一形態が進行するとは思いません。

ということは一度グローバリズムからの揺り返しがある、ということになるんでしょうか。そこに至るまでのプロセス的なところをもう少し説明していただけるとありがたいです。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-14 22:39
nanashi さんへ

>EUなどの領域主義が世界中で進みながら、アングロサクソン系の力が及ぶ範囲を狭めていく過程が必要

そうなりますね。

>中国にそれができるかというと本当に心許ない。

いまのままじゃ完全に無理ですね。

>安定した国家になるためには、リスク負担が公平であるという国民意識が必要です。中国にはそれが生まれない。だからどうしても崩れやすい。

納得です。あそこは歴史的に内紛が日常茶飯事ですからこれからも色々とあるんでしょうね。コメントありがとうございました
Commented by nanashi at 2009-07-15 12:19 x
中国については、これ以上失策をしてほしくないですね。
欧米の圧力を中国はもっと被り続けてほしいと思います。日本のために。
白人と黄色人の関係で言えば、東チモールの分離も含めて、黄色は押し込まれています。
英語圏に留学したり居住する黄色人も何百万もいるわけで、非常に分が悪いです。
半世紀も経てば、また植民地主義が復活して、アジアの大部分は支配されているかもしれません。もちろん間接的な分断統治によって
Commented by elmoiy at 2009-07-15 12:23 x
>とりあえず西の基本的にシステムはとりこんで、でも影響力と政治力は中国がもつようになる

これはある意味、極端なヨーロッパ中心主義ですね。中国は必ず西洋と同じになると考えているわけですから。リベラル派は『文明の衝突』論に対しても、「我々はもはや、西側の価値観だの、アジアの価値観などという議論はやめ、人類全体の価値観について語り始めるべきだ。そしてそれは啓蒙思想である」と主張します。

リベラル派にありがちなことですが、理念と現実との間にさまざまな乖離があることを感じながらも、その乖離を「進歩」によって埋めていこうとする楽観主義があるようです。彼らの理想を現実のものにしてくれる国が地球のどこかにあると夢見ていて、その対象が中国ということなのではないでしょうか。
Commented by masa_the_man at 2009-07-15 23:20
nanashi さんへ

>半世紀も経てば、また植民地主義が復活して、アジアの大部分は支配されているかもしれません。もちろん間接的な分断統治によって

うーん、これはどうですかね。それよりも欧米がぐちゃぐちゃになっているような。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-15 23:24
elmoiy さんへ

>これはある意味、極端なヨーロッパ中心主義ですね。中国は必ず西洋と同じになると考えているわけですから。

たしかに(苦笑)欧米のイメージによる中国ですな。

>理念と現実との間にさまざまな乖離があることを感じながらも、その乖離を「進歩」によって埋めていこうとする楽観主義

というか、変更させていきたいという意志があるというか。

>夢見ていて、その対象が中国

自分たちの夢を投影している部分はあるかも知れませんな(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by waterloo at 2009-07-19 21:56 x
すみません奥山さん、質問です。
プロバガンダを誘導宣伝という言葉に置き換えるのは有りでしょうか?

例:A国の誘導宣伝による思想浸潤によって,各国はB国を侵略国であると認識している。

…普通にプロバガンダの方が良いですかね?
Commented by masa_the_man at 2009-07-20 22:20
waterloo さんへ

>プロバガンダを誘導宣伝という言葉に置き換えるのは有りでしょうか?

これはちょっと別の言葉をつかったほうがいいかも知れません。といっても私もすぐには思いつかないですが・・・(苦笑

>…普通にプロバガンダの方が良いですかね?

いや、「思想教育」ということも言えるかも知れませんよ(笑)コメントありがとうございました
Commented by waterloo at 2009-07-21 07:45 x
ありがとうございます。

最近、プロバガンダという言葉を使うという事に、負のイメージが付いているように感じてまして。
難しいです。
Commented by masa_the_man at 2009-07-21 21:29
waterloo さんへ

>最近、プロバガンダという言葉を使うという事に、負のイメージが付いているように感じてまして。

まあもともとあまり良い言葉じゃないですよね(苦笑)私は「地政学」と同じように、汚れている言葉だからあえて使いたいと考えているんですが(笑)コメントありがとうございました
Commented by waterloo at 2009-07-22 09:10 x
>汚れている言葉だからあえて使いたい
あ、この考え方は素敵です。
やっぱり私もプロバガンダで使っていこうかな(笑)
Commented by masa_the_man at 2009-07-23 01:42
waterloo さんへ

>この考え方は素敵です。

「素敵」ですか(笑)私のささやかな反骨精神(?)とでも考えていただければ良いと思います。

>やっぱり私もプロバガンダで

ぜひお願いします(笑)コメントありがとうございました

by masa_the_man | 2009-07-14 00:33 | 日記 | Comments(24)