戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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名著で学ぶ戦争論+10:その2

今日の甲州は久しぶりに晴れまして、かなり蒸し暑い一日でした。

まずはお知らせです。

拙訳の新刊『進化する地政学』が来週の13日に大手書籍店の店頭にならぶことが決定しました。私のところには著者献本が今日届くとのこと。楽しみです。

さて、戦略学の名著のリストの続きを。

6、John Baylis et al.eds., Strategy in the Contemporary World: An Introduction to Strategic Studies, OUP, 2007.

戦略研究の教科書としては文句無しの存在。アクセスのしやすさという意味ではフリードマンのWarを越える。戦略研究だけではなく、安全保障学のテキストとしても使える幅の広さを持つ。現在翻訳が進んでいるという噂があるが、抄訳になるという可能性もあるとか。ぜひ完訳をお願いしたいところがだが・・・

7、Jeremy Black, Rethinking Military History, Routledge, 2004.

マイナーだが実に多くの示唆が込められた秀作。「軍事史をどのように考えるか」というテーマを中心に、欧米のいままでの戦略研究がいかに偏ったものであったのかを様々な観点から指摘している。

8、マイケル・I. ハンデル 著、防衛研究所翻訳グループ訳『戦争の達人たち―孫子・クラウゼヴィッツ・ジョミニ 』原書房、1994年

題名そのままに、孫子とクラウゼヴィッツ、そしてジョミニという三人の戦略思想家を比較検討したもの。結論としては戦略には民族と時代を越えた共通性がある、ということ。理路整然と分析しているアプローチの仕方が我々にとってもかなり参考になる。日本語版は読みやすいのだが、残念ながらかなり抄訳されているので、英語が読めるかたは是非とも原著を。

9、Gerard Chaliand ed. , The Art of War in World History: From Antiquity to the Nuclear Age , University of California Press, 1994.

圧倒的な分量とその濃い内容からいきなり古典の扱いを受けた名作。古代から現代までの戦略について書かれた文献の重要箇所を抜き出して紹介。フリードマンのWarのようなリーダーではあるが、なんといっても扱っている文献の幅広さに圧倒される。

10, エリオット・コーエン著、中谷 和男訳『戦争と政治とリーダーシップ』アスペクト、2003年

最後の一つを迷ったが、とりあえずエリオット・コーエンのこの名著を。いわゆる政軍関係について述べたものだが、なぜか日本での注目度はかなり低い(この間の学会でもこの本についての言及無し)。戦略の難しさと個人のリーダーシップとの関連性について示唆に富む指摘が多い。訳にやや問題があるが、短期間で急いで訳したことを考えれば我慢できる範囲か。
Commented by waterloo at 2009-07-08 08:09 x
>『進化する地政学』
楽しみにしてます。

ttp://www.bk1.jp/product/03142192

BK1で「戦略の格言」は、もう予約できるみたいですけど、「進化する地政学 」は、まだみたいですね。
Commented by ぱんだ at 2009-07-08 12:39 x
 二回にわたる、奥山さんのおすすめ本の紹介大変、参考になりました。実際に、イギリスの大学院で、戦略学を学んでいる奥山さんの文献紹介は、いつもとても参考になるのです。欧米の戦略学・安全保障学を専門的に学べる大学院の水準で、読まれている文献を自分で探すのは、とても大変です。私は、読んだ本の文献リストのほか、海外の大学のシラバスなどを参考にしています。今回、私は、入手可能なブラック、キーガンのほか、ペンギンの実理論、エリオット・コーエンなどをアマゾンの買い物かごに入れました。良い本を教えていただきどうもありがとうございました。
Commented by 山田洋行 at 2009-07-08 20:51 x
>戦争と政治とリーダーシップ
ちょっと前に読み終わりましたが、これはいい本ですよね。
今度お会いする機械があれば、奥山さんの本書の感想を詳しくお聞きしたいです。私が興味を引かれた箇所は"投稿者"欄のリンク先にあります。お忙しいとは思いますが、お目通しいただければ幸いです。


>戦争の達人たち
偶然もうすぐこれを読み終わるところです。
ボリュームはそれほどありませんが、自分に無かった視点で書かれており、感心しながら読み進めております。実に濃い内容です。

>残念ながらかなり抄訳されているので、英語が読めるかたは是非とも原著を。
これは知りませんでした。そのうちチャレンジしたいです。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-07-08 22:33 x
後半で題名だけでも知っているのは

>『戦争の達人たち―孫子・クラウゼヴィッツ・ジョミニ 』

だけでした。
単一の言語で一番多く世界の名著を読むことができるといわれる日本語ですが、この手の分野の翻訳はいろいろあるんでしょうか。
Commented by FFF at 2009-07-09 18:07 x
地政学について書かれている本を読みたいとは思っているのですが、
何を読めばいいのか分からなくて困っていました
とても参考になりました ありがとうございます

もしよろしければ初心者用の著書も挙げていただくとありがたいです

「地政学ーアメリカの世界戦略地図」は読ませて頂きました
失礼ながらその本の著者の方のブログだとつい数日前に気がつきました
Commented by masa_the_man at 2009-07-09 21:57
waterloo さんへ

>「戦略の格言」は、もう予約できるみたいです

本当ですか?出版社によると発売は八月初め頃になりそうな感じなんですが(苦笑

>「進化する地政学 」は、まだみたいですね。

うーん、逆転してますな(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-09 21:59
ぱんだ さんへ

>おすすめ本の紹介大変、参考になりました。

お役に立てて光栄です。

>欧米の戦略学・安全保障学を専門的に学べる大学院の水準で、読まれている文献を自分で探すのは、とても大変です

たしかに難しいかも知れませんね。逆に私にとっては日本の大学院の安全保障クラスで何が教えられているのかわからないという難点がありますが(苦笑

>海外の大学のシラバスなどを参考にしています。

ああ、これはいいかも知れません。けっこうネット上で公開されているやつもありますしね。

>良い本を教えていただきどうもありがとうございました。

いえいえ、今後もまた何かありましたらご質問下さい。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-09 22:01
山田さんへ

>ちょっと前に読み終わりましたが、これはいい本ですよね。

そうなんですよ。しかし日本じゃ完全にマイナー本扱いですな(苦笑

>本書の感想を詳しくお聞きしたいです。

了解です。山田さんの感想も見させていただきますね。

>ボリュームはそれほどありませんが、自分に無かった視点で書かれており、感心しながら読み進めております。実に濃い内容です。

そうなんですよね。原著はこれよりはるかにボリュームあります。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-09 22:03
待兼さんへ

>単一の言語で一番多く世界の名著を読むことができるといわれる日本語ですが、この手の分野の翻訳はいろいろあるんでしょうか。

いや、やはり少ないと思われます。意外なものが翻訳されていたりでビックリすることもありますが(たとえばコーエンのものなど)、相対的にはまだまだですね。インドなどの人間は原著でそのまま読むみたいなんですが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-07-09 22:05
FFFさんへ

>とても参考になりました ありがとうございます

しかしこれらは「戦略学(研究)」の分野のものなので、どこまでお役にたてるかわかりません(苦笑

>もしよろしければ初心者用の著書も挙げていただくとありがたいです

地政学だったら右にあるものが良いと思われますがいかがでしょうか。

>失礼ながらその本の著者の方のブログだとつい数日前に気がつきました

ええっ、そうだったんですか!これは私もビックリです(笑)コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-07-08 01:14 | 日記 | Comments(10)