名著で学ぶ戦争論+10:その1 |
夕方にテレビを見ていたら高校時代に一度バンドを組んだこともある同じ学校の同級生が「気象予報士」としてテレビで天気予報をやっていてビックリ。
彼はその当時から「地味なイケメン」として有名だったんですが、まさかお天気のお兄さんになっているとは知りませんでした(笑
さて、コメント欄で質問(というか要望)があったのでそれにお答えします。
いくつか前のエントリーでご紹介させていただいた『名著で学ぶ戦争論』ですが、私個人的には「これを入れてもらいたかった」という名著がいくつかあります。
もちろんそれらのいくつかはすでに本ブログの右側でご紹介させていただいているのですが(しかも部分的にはけっこうかぶっているものもありますが)、それ以外にもいくつかあるのでここで簡単に10冊ほど余計に私個人の好みのリストを追加させていただきたいと思います。
1、カウティリア著、『実利論』上下巻、上村勝彦訳 岩波書店(絶版)
名著だが日本語版の訳がかなりひどい。ペンギンブック(インド)で出ている英語版が図も載っていて素晴らしい。
2、John Keegan , "The Face of Battle: A Study of Agincourt, Waterloo, and the Somme" Penguin, 1983
戦略研究でも兵士たちの戦術レベルまで落とし込んだ傑作。おそらく参考とされている戦いが日本ではあまりポピュラーではないので訳されていないと思うのだが、戦場の苛酷さを伝えつつも冷静に記述している点はさすが。視点はかなりリベラルで一面的なのが難点か。
3、『新戦略の創始者:マキャベリからヒットラーまで』上下巻、山田積昭他(共訳)、原書房、1978年(絶版)
パレットの『現代戦略思想の系譜』(1986年)のオリジナル版(1942年)。もちろん『名著で学ぶ〜』でも言及されているが、その内容から考えればこちらもかなり捨てがたい。ハウスホーファーとドイツ地政学について言及があるのもいい。
4、Kenneth Waltz, "Man, the State, and War: a Theoritical Analysis" Columbia University Press, 1954.
アメリカのアカデミズムの金字塔。「戦争の原因論」から国際関係論と戦略学の枠組みを作ったという意味でその意義は極めて大きい。内容は戦争の原因についての政治哲学からのアプローチを使った議論。国際関係を分析する場合に三つのレベルで考えることを提案。
5、J.C.ワイリー著、『戦略論の原点』、芙蓉書房出版、2008年
我田引水ではありません(苦笑)コリン・グレイが「過去百年以上の間に書かれた戦略の理論書としては最高のものである」と言ったように、たしかに「戦略とは何か」ということを論じたものとしては希有の存在。読みやすさと内容の濃さも特筆すべき。
残りの五つはまた明日書きます。