セックスと戦争 |
北朝鮮がまたミサイル発射して末期的な政治状況を晒しておりますが(私は秋までもたないと思っておりますが)、個人的には論文を書くだけという、至って平和な毎日を過ごさせていただいております。
実は近所に桃の集荷所というか共選所がありまして、最近はここからお世話になった人にお中元代わりに桃を発送しております。
この共選所の良い点は、センサーなどで外れた桃が外においてあってそれが無料で食べ放題なところでして、これを目当てに私は人に桃を発送してもらったあとについでにこのタダ桃を食らいつくのですが、ここ数日で本格的に季節に入ったようで、今は加納岩というちょっと小さめですが甘い種類の桃が味わえました。
首都圏などにここから出荷されているらしく、昨日は新宿の伊勢丹のデパ地下にも出荷したようで、最盛期である八月はじめあたりには、六個入りで一万円のもの(!)もここから出るとか。すごいもんです。
さて、またまたおススメの本を。今度は英語ものです。
戦略学や国際関係論などでは「戦争の原因」というのは昔から大きなテーマであり、これについての議論が元になって国際政治の理論が生まれたりしていることは、拙訳の『大国政治の悲劇』などをお読みになった方々はご存知の通り。
たとえばネオリアリズム系の理論書として有名なのはスティーヴン・ヴァン・エヴェラなんかのものがありますが、さらに重厚なものとして古典扱いされているのは、なんといってもジェフリー・ブレイニーが70年代に書いた、ズバリ『戦争の原因』(The Causes of War)。
ところがまだまだこのテーマについても議論は収まっておりませんで、基本的にその時代に流行している最先端の学問の考え方が入り込んでくるというパターンがけっこうあります。
地政学などはまさにその典型。
で、現在の「戦争の原因」論争で新たに取り入れられているのが生物学でして、その成果となったのが以下に紹介する
Sex and War: How Biology explains Warfare and Terrorism and Offers a Path to a Safer World
by Malcolm Potts and Thomas Hayden
というもの。
かなり過激なタイトルなんですが、内容はけっこうまじめでして、人間の集団的な暴力のルーツを自然から探るというもの。
とくにこの著者たちは「同種を殺すのは男性がいるから」ということでして、資源と領土をかけた戦いというのは生き残りのための戦略であることを認めます。
そうなると必然的に人類はこれからも争いを続けるという結論になりそうなんですが、この著者たちはけっこう楽観的でして、
「我々の行動のルーツを見つめ直し、女性に社会進出させ、暴れる若者を減らすような家族計画(つまり人口統制)をやっていけば大丈夫」
という主張をしております。おおっ、これは典型的なリベラル的結論(笑
こういう本はけっこう真面目に研究された割には結論は脱力系のものが多かったりするのですが、昨日のエントリーのような「西洋人の思考」という点から考えるとこういう結論が出るのも納得できるような。
あまりおススメではありませんが、西洋式の典型的なパターンのものであるという意味では読んでみるのもわるくないかも知れません。