戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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発表終了

今日のイギリス南部は一日中あまりハッキリしない天気でして、夜になってから雨が降ってきました。

さて、年に一度の研究発表を行ってきました。その話を少し。

私の学校のドクターコース生は、年に一度、六月の今頃の時期に研究発表を行わなければならないのですが、この持ち時間は一人30分で、そのうちに発表20分、質疑応答10分です。

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(ギリシャ人のコースメイトの発表の様子。右端に写っているのはReading Clausewitzの著者)

私は午後二時半くらいからの発表の予定だったのですが、予想通りだれも時間通りに発表を終わらせられないために時間がのびのびになっておりまして、実際に発表を始めたのは午後3時ちょっと前くらいでした。

なにせ半年以上もまともに英語をしゃべっていなかったので、なんだか今回はやたらと緊張したのですが、開始してみると最近の講演会でつけた度胸のおかげ(?)か、思ったよりもスムーズにしゃべることができました。

こういう発表では(とくに欧米で発表する場合は)ユーモアが大事なので、時々ネタをはさみながら無事時間通りに発表できたのですが、質疑応答の時間ではかなり有益なコメントをたくさんもらいまして、とくに聞かれたのは

「日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか」

という点でした。つまり地政学の理論というのは所詮は西洋のものなので、これがどう文化的に変化して受け取られているのか彼らは気になる、というところみたいですね。

ところがここで問題なのは、私はあまりにも西洋の地政学理論になじんでしまっているために、そういう点では「日本人の地政学解釈」というものを代表して言えるような立場にない、ということです(苦笑

この発表の楽しいのは、アメリカなどで研究していて普段は顔をあわせられない人間に会えることなのですが、今回は例の空軍大佐の他に、米海軍の中佐でスペースパワーの理論をやっている人や、NATOに参加している米陸軍の士官のコースメイトまで来ておりました。

発表が終わった後に学校のパブに戦略学のコースメイト全員で行って「反省会」を行ったのですが、ここで出た話でけっこう傑作な話がありました。

b0015356_714425.jpg
(反省会の様子)

実はこのドクターコースの研究発表は、うちの戦略学科の人間だけでなく、他の政治学のコースの人々と合同で発表するのですが、その中でもうちの学校の政治学部はどちらかといえばEU関係の政治をやっている人が多いのです。

そのうちの一人の発表者の女の子が、「緑の平等社会の実現」みたいなテーマで発表していたのですが、これについて我々戦略学のコースメイトたちの「反省会」でのコメントが傑作でした。

と、ここまで書いてまた時間です。続きはまた明日。


リアリスト対ホモコンの議論勃発?

Realism and Iran

Over at the Atlantic, Andrew Sullivan (whose coverage of the events in Iran remains remarkable) declared today that "the first and absolute requirement of all Western governments" is not to recognize Ahmadinejad as president.

I can understand the sentiments behind this view, and I hold no brief for Ahmadinejad or the clerics behind him. But how far is Sullivan willing to take this?
Commented by nanashi at 2009-06-18 07:36 x
「日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか」という質疑を一字一句落とさずに読んでみたいです。
とても意味のある質問であるし、欧米人がどういう見解を持っているか知ることができるかもしれないからです。逆質問をして、彼らの見方を引き出して欲しいです。
Commented by とおる at 2009-06-18 09:14 x
> 「日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか」

次のような冗談は、いかがでしょう?
欧米人に向かって、「碁盤を、じっと見つめると、地政学が見えてきます。欧米の囲碁を知らない人には、単なる板の上のマトリックスくらいにしか見えないかもしれませんが。」
(地政学と囲碁も素人の戯言です)
Commented by elmoiy at 2009-06-18 18:19 x
>日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか

ズビグニュー・ブレジンスキーは、ユーラシア大陸を“グランド・チェスボード”に喩えましたが、チェスの世界チャンピオンがもし戦略家、あるいは
軍の最高司令官になったとしても相手には勝てないと思います。
なぜかというと、チェスの駒は自分の思い通りに動かすことができますが、生きた人間(あるいは国家・組織)は必ずしも思い通りに動いてくれないわけです。
それに、チェスの試合とは違って、現実にはチェスボードをひっくり返すようなルール違反をする人間も出てくるでしょうし。

こういうのは日本的な考え方でしょうか?
Commented by ぱんだ at 2009-06-18 19:32 x
そういえば、うちの大学の図書館にハウスホーファーの和訳本が数冊ありました。ハウスホーファーって和訳されてるんですね。古い本ですが。
Commented by 寝太郎 at 2009-06-18 22:12 x
’70年代の地政学紹介本の帯に「悪の政治学」という表現があったように記憶しております。性善説に則らなければ、マスコミからも教育界からも異端扱いされていたように思えました。米軍占領方針と日教組等反日本人勢力の影響かと思います。
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:14
nanashiさんへ

>欧米人がどういう見解を持っているか知ることができるかもしれないからです。逆質問をして、彼らの見方を引き出して欲しいです。

私が研究しているのは基本的に彼らの見解ですからね。逆に私はこれから日本人の見方というものを勉強しなければならないかもしれません。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:16
とおる さんへ

>「碁盤を、じっと見つめると、地政学が見えてきます。欧米の囲碁を知らない人には、単なる板の上のマトリックスくらいにしか見えないかもしれませんが。」

囲碁で煙にまくというパターンですか(笑)ありかもしれませんね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:18
elmoiyさんへ

>チェスの駒は自分の思い通りに動かすことができますが、生きた人間(あるいは国家・組織)は必ずしも思い通りに動いてくれないわけです。

これ重要ですね。人間というファクターが入ってくるとここが一番難しい。

>現実にはチェスボードをひっくり返すようなルール違反をする人間も出てくるでしょうし。

いますなぁ。星飛馬のお父さんみたいな人が(笑

>こういうのは日本的な考え方でしょうか?

いや、そうでもないかも知れません。向こうでも文学系とか文化人類学なんかの人はけっこう理解あるかも知れません。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:21
ぱんださんへ

>そういえば、うちの大学の図書館にハウスホーファーの和訳本が数冊ありました。ハウスホーファーって和訳されてるんですね。古い本ですが。

私も「太平洋地政学」などのコピーを持ってます。めちゃめちゃ読みにくい本ですが(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:23
寝太郎さんへ

>「悪の政治学」という表現があったように記憶しております。

倉前さんの「悪の論理」ですね。

>性善説に則らなければ、マスコミからも教育界からも異端扱いされていたように思えました。

異端でしたが、当時は十万部ほど売れたらしいです。コメントありがとうございました
Commented by nanashi at 2009-06-19 08:55 x
地政学の目的は、資源のコントロールを目指すんだと思いますが、日本人の性向は、利用可能な資源を利用しつくすこと or 資源が無ければ人口をコントロールすることだと思うので、本質的に地政学は向いていないと思います。それに、島国ですが、本質は陸軍国だと思います。米英のように物流コントロール思考ではなく、ロシア型の領域拡張の方が性に合っているように思えます。
Commented by アラスカ at 2009-06-20 08:40 x
>>日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか

私が地政学で気になるのはその実績ですね。
確かに地政学はすごい、ですがそれを生み出して最も上手く使えるはずの英国はなぜか生み出してから現代まで百年は衰退の道を辿っているんですよ。
Commented by アラスカ at 2009-06-21 08:23 x
英国の衰退とと地政学について考えられる理由を三つ探して見ました。

1、英国の運が悪かった(あるいは、もはや英国の衰退は地政学でどうこうできるレベルではなかった)
2、地政学の効果が不十分だった
3、地政学の忠告が顧みられなかった

めちゃくちゃ簡単に要約すると、この三つの内どれかでしょうか。
地政学に懐疑的な人は2だと考えて、地政学に肯定的な人は1か3だと考えるでしょう。
ちなみに私は1(かな?)が一番大きいと思っています。まあ2と3も多少はあると思いますけど。
Commented by 柴崎力栄 at 2009-06-21 09:52 x
アラスカさん。因果関係が逆でしょう。衰退の百年の自覚があるからこそ、地政学が発達した。
Commented by アラスカ at 2009-06-21 17:03 x
かも知れませんね。
まあ「その『衰退の百年の自覚』を、さらに後の百年に生かせなかった」とも言えるかも知れませんが。
英国地政学の上手い所は、衰退の仕方ですね。「かつての帝国」が「新たな帝国」に戦争をせず覇権の「バトンタッチ(互いにプラスになる形)」をした例というのは歴史でもかなり珍しいでしょう。
Commented by 柴崎力栄 at 2009-06-21 17:17 x
アラスカさん:

英米は、それぞれ、ローマ帝国史に自分たちの歴史を映して見ているようです。ギボン『ローマ帝国衰亡史』が書かれたのは、ちょうど、米国が独立し第1次大英帝国の時代が終わる頃だった。その後、第1次大戦まで、第2次大英帝国の時代を築くことができたのだから、米国も、英国に倣って、後期アメリカ合衆国の時代を作れるだろうと考えていたりしそうですね。
Commented by masa_the_man at 2009-06-21 21:29
nanashi さんへ

>利用可能な資源を利用しつくすこと or 資源が無ければ人口をコントロールすること

たしかにこれはあるかも知れませんね(苦笑)山陰地方の鉄とですか。

>本質的に地政学は向いていないと思います。

うーん、それはどうだかわかりませんな。向いていないというより、「まだあまり実践していない」もしくは「過去に実践しようとして失敗してしまった」ということかも。

>それに、島国ですが、本質は陸軍国だと思います。米英のように物流コントロール思考ではなく、ロシア型の領域拡張の方が性に合っているように思えます。

二つの勢力が国内にあることは確実ですね。その闘争史が明治以来の政治闘争史にも反映されているような。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-21 21:32
アラスカさんへ

>最も上手く使えるはずの英国はなぜか生み出してから現代まで百年は衰退の道を辿っているんですよ。

頭はよくても力がなければ駄目ですからね。

>1、英国の運が悪かった(あるいは、もはや英国の衰退は地政学でどうこうできるレベルではなかった)

>ちなみに私は1(かな?)が一番大きいと思っています。

これでいいんじゃないでしょうか。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-21 21:35
柴崎さんへ

>因果関係が逆でしょう。衰退の百年の自覚があるからこそ、地政学が発達した。

その通りです。

>英米は、それぞれ、ローマ帝国史に自分たちの歴史を映して見ているようです。

とくにイギリスはローマと自分たちを対等の視点から見てますね。アメリカ人はまだそこまで自信がないみたいですが(苦笑

>米国も、英国に倣って、後期アメリカ合衆国の時代を作れるだろうと考えていたりしそうですね。

ファーガソンなんかはイギリス人(スコットランド人)という立場からアメリカに対して「イギリスにならえ!」みたいな発言してますし(笑)コメントありがとうございました
Commented by 柴崎力栄 at 2009-06-22 05:52 x
奥山さん:

>>イギリスはローマと自分たちを対等の視点から見てます

日本は、ローマにとっての(A)カルタゴ、(B)エジプト、(C)ギリシャ、(D)その他、のうちのどれなのでしょうか。
Commented by 柴崎力栄 at 2009-06-22 06:27 x
nanashiさんの「地政学の目的は、資源のコントロールを目指すんだと思いますが、日本人の性向は、利用可能な資源を利用しつくすこと or 資源が無ければ人口をコントロールすることだと思う」に触発されて。地政学には、「地図が頭に入っている」ことと、「技術発達の未来年表が頭に入っている」ことが必要。資源は技術によって変動しますから、技術についての文化的な差異が、他民族の地政学的行動を理解する時のポイントになる。日本の技術発達の未来観は、欧米から見ると、ブラックポックスになっているような気がします。
Commented by nanashi at 2009-06-22 09:25 x
日本に海洋と大陸の二重性が見えるのは、海洋の方が米英の反映として被さっているからだと考えます。海洋的に見えるのは日本の属性ではなく、米英が日本に強いている属性なのです。
私は、明治日本の失敗は、陸軍国として(隣接する諸国に比較して優秀すぎて)領域拡張のスピードが速すぎたことだと考えています。
海洋勢力として、物流をコントロールするのは、非常に知的な作業です。
国境を拡張してそこに自国民を入植し根を張るのと違って、非常に抽象的なレベルで優位性を保たなくてはならないからです。
Commented by porepore at 2009-06-23 00:57 x
>「日本人は地政学の理論をどう思って(使って?)いるのか」

存在そのもは認めているけど、学問的に乏しい分野で、
本格的に学ぶには西洋諸国で学ぶ以外に道は無い。
一部、外務省や国際分野に従事する人間などが限定的に取り組んでおり、
下地そのものが枯渇しているわけではない。
しかし、西洋人の視点で捉えた"絵"をそのまま模造しているだけで、
日本の上層部の連中は西洋人との力関係をよく認識している。
こんな感じじゃないですかね?

その場ではアメリカ人が多いようなので、
「お前等にとってキューバって何?」
とか聞いてみたら面白そうですね?

中国の勃興とアメリカの衰退が顕著になればなるほど、
復古しそうですが。

Commented by masa_the_man at 2009-06-23 02:33
柴崎さんへ

>日本は、ローマにとっての(A)カルタゴ、(B)エジプト、(C)ギリシャ、(D)その他、のうちのどれなのでしょうか。

これは時期によって変動するものだと考えております。90年代は明らかにAだったこともありますね。いまはB?まあDと言っておくべきなのかも知れませんが(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-23 02:35
柴崎さんへ

>地政学には、「地図が頭に入っている」ことと、「技術発達の未来年表が頭に入っている」ことが必要。

あー、たしかにその通りです。

>資源は技術によって変動しますから、技術についての文化的な差異が、他民族の地政学的行動を理解する時のポイントになる。

まさにその通りです。

>日本の技術発達の未来観は、欧米から見ると、ブラックポックスになっているような気がします。

ここで「戦略文化」という研究分野が出て来てしまうわけです。とくに日本側からの発言が少ないと「あいつら何考えてんの?」となりやすいですよね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-23 02:38
nanashi さんへ

>海洋的に見えるのは日本の属性ではなく、米英が日本に強いている属性なのです。

それもそうですし、私は現政府はいまだに「薩摩政府だ」と言えるのがひとつかなぁと。

>私は、明治日本の失敗は、陸軍国として(隣接する諸国に比較して優秀すぎて)領域拡張のスピードが速すぎたことだと考えています。

しかしランドパワーで大規模に拡大していった国はその衰退の時のスピードも速かったわけですよね。

>海洋勢力として、物流をコントロールするのは、非常に知的な作業です。

たしかに。

>国境を拡張してそこに自国民を入植し根を張るのと違って、非常に抽象的なレベルで優位性を保たなくてはならないからです。

そこでアイディアとか法律とか倫理というものが入ってくるわけですからね。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-23 02:41
porepore さんへ

>一部、外務省や国際分野に従事する人間などが限定的に取り組んでおり、下地そのものが枯渇しているわけではない。

実は企業(商社)なんかのほうがよほど「地政学的」に動けている場合もありますしね。

>日本の上層部の連中は西洋人との力関係をよく認識している。

これはあると思いますね。

>「お前等にとってキューバって何?」とか聞いてみたら面白そうですね?

たしかに(苦笑

>中国の勃興とアメリカの衰退が顕著になればなるほど、復古しそうですが。

その兆候はありますね。私もそれに期待している(?)部分はありますが(笑)コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-06-18 07:17 | 日記 | Comments(27)