戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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ジョン・ボルトンのシナリオ

今日のイギリス南部は昼間は晴れていたんですが、午後から雲行きがあやしくなり、夜には雨が本格的に降ってきました。

久しぶりにロンドンに行って若手のある有名な学者とランチを共にした後、例の勉強会に行きまして、LSEやトラファルガー、そしてシティの様子のなどをじっくりと見て参りました。

街の様子が雰囲気的には以前とそれほど変わっていないような気がするのですが、なんとなく活気が感じられません。

勉強会に来ていた人に聞いたら、やはりリーマンショック以来、不動産、とくに高級マンションの値段ががた落ちで空き室ばかりで、レストランなんかも高いクラスのやつに限ってまったく人が入っていないとか。

ここ数ヶ月はやや景気が上向いているとのことですが、それでも以前に比べるとかなりロンドン経済は打撃を受けているようだ、とのことです。

さて、昨日のヴィクター・チャに引き続き、ブッシュ政権で外交に関わっていた人物の論説記事を。

北朝鮮ネタで意外にも正しさを証明してしまった(?)ジョン・ボルトンです。この人がイランとイスラエルについて「シナリオ」を書いておりましたので、重要部分だけ。

イスラエルが攻撃したら、イランはどう反応する?というシナリオです。

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What If Israel Strikes Iran?

The mullahs would retaliate. But things would be much worse if they had the bomb.

(中略)

Consider the most-often mentioned Iranian responses to a possible Israeli strike:

1) Iran closes the Strait of Hormuz. Often cited as Tehran's knee-jerk answer -- along with projections of astronomic oil-price spikes because of the disruption of supplies from Persian Gulf producers -- this option is neither feasible nor advisable for Iran. The U.S. would quickly overwhelm any effort to close the Strait, and Iran would be risking U.S. attacks on its land-based military. Direct military conflict with Washington would turn a bad situation for Iran -- disruption of its nuclear program -- into a potential catastrophe for the regime. Prudent hedging by oil traders and consuming countries (though not their strong suit, historically) would minimize any price spike.

2) Iran cuts its own oil exports to raise world prices. An Iranian embargo of its own oil exports would complete the ruin of Iran's domestic economy by depriving the country of hard currency. This is roughly equivalent to Thomas Jefferson's 1807 embargo on American exports to protect U.S. shipping from British and French interference. That harmed the U.S. far more than the Europeans. Even Iran's mullahs can see that. Another gambit with no legs.

3) Iran attacks U.S. forces in Iraq and Afghanistan. Some Tehran hard-liners might advocate this approach, or even attacks on U.S. bases or Arab targets in the Gulf -- but doing so would risk direct U.S. retaliation against Iran, as many U.S. commanders in Iraq earlier recommended. Increased violence in Iraq or Afghanistan might actually prolong the U.S. military presence in Iraq, despite President Barack Obama's current plans for withdrawal. Moreover, taking on the U.S. military, even in an initially limited way, carries enormous risks for Iran. Tehran may believe the Obama administration's generally apologetic international posture will protect it from U.S. escalation, but it would be highly dangerous for Iran to gamble on more weakness in the face of increased U.S. casualties in Iraq or Afghanistan.

4) Iran increases support for global terrorism. This Iranian option, especially stepping up world-wide attacks against U.S. targets, is always open. Assuming, however, that Mr. Obama does not further degrade our intelligence capabilities and that our watchfulness remains high, the terrorism option outside of the Middle East is extremely risky for Iran. If Washington uncovered evidence of direct or indirect Iranian terrorist activities in America, for example, even the Obama administration would have to consider direct retaliation inside Iran. While Iran enjoys rhetorical conflict with the U.S., operationally it prefers picking on targets its own size or smaller.

5) Iran launches missile attacks on Israel. Because all the foregoing options risk more direct U.S. involvement, Tehran will most likely decide to retaliate against the actual attacker, Israel. Using its missile and perhaps air force capabilities, Iran could do substantial damage in Israel, especially to civilian targets. Of course, one can only imagine what Iran might do once it has nuclear weapons, and this is part of the cost-benefit analysis Israel must make before launching attacks in the first place. Direct Iranian military action against Israel, however, would provoke an even broader Israeli counterstrike, which at some point might well involve Israel's own nuclear capability. Accordingly, Iran's Revolutionary Guards would have to think long and hard before unleashing its own capabilities against Israel.

6) Iran unleashes Hamas and Hezbollah against Israel. By process of elimination, but also because of strategic logic, Iran's most likely option is retaliating through Hamas and Hezbollah. Increased terrorist attacks inside Israel, military incursions by Hezbollah across the Blue Line, and, most significantly, salvoes of missiles from both Lebanon and the Gaza Strip are all possibilities. In plain violation of U.N. Security Council Resolution 1701, Iran has not only completely re-equipped Hezbollah since the 2006 war with Israel, but the longer reach of Hezbollah's rockets now endangers Israel's entire civilian population. Moreover, Hamas's rocket capabilities could easily be substantially enhanced to provide greater range and payload to strike throughout Israel, creating a two-front challenge.


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最初のホルムズ海峡封鎖というのはモロ地政学ですね。

3と4などはちょっと考えすぎかなぁという部分もありますが、重要なのはこれが「本当にそうなりそうなのかどうか」という点ではなく、ボルトンのようなアメリカの右派の人間が「イランに対してこういう恐怖感を感じている」という事実です。

つまり「実際に起こること」よりも、「実際に起こると彼らが想像していること」のほうの重要さですね。これが政治的にもより大きなインパクトを持っております。
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Commented by nanashi at 2009-06-16 12:41 x
アメリカの思ったこと、考えたこと、疑ったこと、計画したことは、「現実」なんですね。
Commented by K at 2009-06-16 12:57 x
しばらく様子見が良いでしょう。

テヘラン
http://gaikokukabuhiroba.blogspot.com/2009/06/blog-post_16.html
Commented by at 2009-06-16 19:12 x
英国は競争力のある産業がないですからね。 まだ、産業が残っている米国以上に深刻な状態だと思います。 英国の賢人達が、どのようにしてこの嵐を乗り切るのか・・じっくり観たいですね。



Commented by rop at 2009-06-16 21:14 x
軍事問題では共和党系の連中のほうが冷静な判断しますよね。経済問題ではソックリ逆になっちゃいますが・・・
Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-16 23:50 x
大統領選挙を廻ってもめていますが、米国や西欧が「手を入れている」という可能性はあるのでしょうか。

選挙の正当性に傷をつけて、イラン大統領の首を挿げ替えれば、
米国も、アフガン問題で、正々堂々とパキスタンから
アフガニスタンに乗り換えることも可能になりますから

一方、アフマディメジャド大統領も反米ランドパワー連合の「上海協力機構」で自己の正当性を訴えるというのも「うまい」ですね。

イランも、アフガンカードや、ホルムズ海峡でイラクの海運(石油)を封鎖できるという「カード」があります。遠く、カスピ海も視野に入れればその重要性はかなり大きいです。
Commented by masa_the_man at 2009-06-17 06:28
nanashi さんへ

>アメリカの思ったこと、考えたこと、疑ったこと、計画したことは、「現実」なんですね。

というよりも、「大きな影響をもつ」と単純に考えていただけたらと思っております。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-17 06:32
Kさんへ

>なわけないでしょ。聖職者は大統領は誰でもいいと思っている。要するに現在の宗教に基づいた政治体制さえ覆されなければそれでハッピーなのさ。

これはたしかに今日の聖職者たちの動きから見てもわかりますね。CNNなんかでも若者のインタビューで「ムサヴィじゃなくて誰でもいい」というコメントがありましたっけ。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-17 06:33
徒さんへ

>英国の賢人達が、どのようにしてこの嵐を乗り切るのか・・じっくり観たいですね。

本当ですよね。そうなると確実に保守派に政権がまわってくることになりそうですが、キャメロンにどこまで政権担当能力があるのか疑問ですし・・・コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-17 06:35
rop さんへ

>軍事問題では共和党系の連中のほうが冷静な判断しますよね。

とくに最近はそうですね。2000年代前半はちょっと違いましたが(苦笑

>経済問題ではソックリ逆になっちゃいますが・・・

そういえば最近レーガンの見直しが保守派のほうから行われ始めているのが興味深いです。「カーターは正しかった」論みたいなのがけっこう出て来ておりますし。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-17 06:39
待兼さんへ

>米国や西欧が「手を入れている」という可能性はあるのでしょうか。

私は「これから入れる」と考えておりますが(笑)

>米国も、アフガン問題で、正々堂々とパキスタンからアフガニスタンに乗り換えることも可能になりますから

そういうことですよね。

>一方、アフマディメジャド大統領も反米ランドパワー連合の「上海協力機構」で自己の正当性を訴えるというのも「うまい」ですね。

しかもロシアでは二日連続でランドパワー/新興国会合ですから。ロシアも狙ってますねぇ。

>遠く、カスピ海も視野に入れればその重要性はかなり大きいです。

そういう意味ではイランも「中東のリムランド」なんですよね。ここの辺から目が離せません。コメントありがとうございました
Commented by 柴崎力栄 at 2009-06-17 07:00 x
自分で自分を追い込む人。

ある精神科医のブログの昨朝のエントリー(私の名前にリンクを入れた)に、認知療法の"エッセンスを一言でいうならば「人が感じるストレスの度合いは、出来事そのものではなく、その出来事を本人がどういう意味づけ(解釈)をするかで決まる」というもの"ということばがありました。これを、奥山さんの"「実際に起こること」よりも、「実際に起こると彼らが想像していること」のほうの重要さ"ということばと重ねて読みました。世界観の自己支配力という点では共通ですね。
Commented by nanashi at 2009-06-17 19:51 x
イランの改革派の馬鹿どもも、いいかげんにしとかないと国民全体が不幸になるだろうに。
ああいうリベラルどもは、ほんとうに始末に負えないな。
さっさとアメリカに亡命すりゃあいいのに
Commented by masa_the_man at 2009-06-18 06:19
柴崎さんへ

>認知療法の"エッセンスを一言でいうならば「人が感じるストレスの度合いは、出来事そのものではなく、その出来事を本人がどういう意味づけ(解釈)をするかで決まる

あー、なるほど。一緒ですなぁ。

>世界観の自己支配力という点では共通ですね。

共通してますねぇ。結局は戦略も人間の問題なので、こういうところは特に共通してきますね。なかなか興味深いです。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-18 06:20
nanashiさんへ

>ああいうリベラルどもは、ほんとうに始末に負えないな。さっさとアメリカに亡命すりゃあいいのに

まあアメリカには行けない事情もあるのかも知れませんね。しかしランドパワー系の国はやはり似たような行動をするものか、と。コメントありがとうございました
Commented by nanashi at 2009-06-18 08:28 x
改革派というのは、多くのの場合、欧米の介入を許すことと、既存の土着の権力構造をつぶすことを招く。
民主だの自由だの人権だのを旗印にした改革派が勝っても、ほとんどの場合、さらに悪い状態に陥る。
ほんとうに碌でもない
Commented by masa_the_man at 2009-06-19 07:24
nanashiさんへ

>改革派というのは、多くのの場合、欧米の介入を許すことと、既存の土着の権力構造をつぶすことを招く。

それはたしかにありますね。

>民主だの自由だの人権だのを旗印にした改革派が勝っても、ほとんどの場合、さらに悪い状態に陥る。ほんとうに碌でもない

これも国によると思いますが、まあそれはあるでしょうね。リアリズムの欠如ということか。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-06-16 09:27 | 日記 | Comments(16)