戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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教えていただきました

昨日のエントリーに書き込んでいただいたみなさんへ

うーん、素晴らしい。まさかここまで色々とコメントをいただけるとは思いませんでした。ネットというのはスゴいですね。本当に参考になりました。ありがとうございます。

たしかに何人かの方がお察しの通り、この著者(ドールマン)は、完全に宇宙工学が専門の技術系の人ではなくて、むしろ政治学のほうから入った人みたいです。

よって、この論文での主眼は宇宙地政学の理論の説明にあるみたいですね。

とりあえず本日の午後までに修正して送らなければならないので、今のところは、

===

宇宙旅行をする場合に重要な尺度は、「速度ベクトル」を変更するため、もしくはA地点からB地点まで行くのに必要な「増速量」を得るための推進力だ。

宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす方法を理解するためには、まずこの「増速量」(Δv もしくはデルタV[デルタ・ヴイと読む])を知ることが大切である。

===

としようかと考えております。

つまり、

velocity vector → 速度ベクトル

total velocity effort → 増速量


ということですね。ちなみにいただいた変更案では、

=========

●masahiko さん

「速度ベクトル」 / 「合計速度」/「速度の変更」

●やまねこさん

"Total Velocity Effort"=「(噴射後に到達したい)最終的な速度ベクトル」

●sabskok さん

「総速度ベクトル」 

●ウヨなM さん

「速度ベクトル」/「総速度変化」→「ロケットによる増速量の総和」

●待兼さん

「速度と進行方向」/「加速度」(速度の変化分)

●tt さん

「加速の総和」→ 「増速量」

●chaseさん

「速度」「最終速度」

●k-kun さん

「速度」/「加速度」

●ropさん

「速度」/「速度(速度ベクトル)の力(ベクトル量)の和」?/「速度増分」

●寝太郎さん

「速度ベクトル」/「必要加速度(=速度ベクトル変更)の合計」/「必要推進力(=必要加速度=総燃料消費量)の合計」

●rokujoさん

「噴射後の速度」or 「慣性速度」




===========

となりました。


ちなみにttさんにいただいた訳文は

「宇宙空間を航行するにあたっては、A点からB点に到達するまでに行う加減速や方向修正に費やす推進力の総計が重要な尺度となる。この総推進力はΔv(デルタV)と呼ばれ、宇宙旅行の実現や効率的輸送を考えるときの鍵となる。」

でした。これはスムーズな訳文ですねぇ。意味もよくわかります。

まだ何かご意見ありましたらお待ちしております。
Commented by tt at 2009-05-31 19:10 x
惑星探査の論文集が手元にありますので見てみると、
基本的にはΔVそのままが使われていますが、
「増速量」という表現が使われることがあるようです。
最初から論文に当たれば良かったですね。長々と失礼しました。
文脈によってはΔVは、速度を変えるのに必要なエネルギー量だったり、
ロケット動作を指して使うこともあるようですので、訳出の際のご参考になれば幸いです。
Commented by masa_the_man at 2009-05-31 19:24
ttさんへ

さっそくありがとうございました。「増速量」ですか。そうなると前の言葉は「速度ベクトル」でいいんでしょうか。とにかく参考にさせていただきます
Commented at 2009-05-31 21:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ウヨなM at 2009-05-31 21:05 x
物理用語では「速度」でベクトル量なので、「速度ベクトル」という用法は厳密には正しくない用法です(これは原文のvelocity vectorも同じ)。しかし、このくだりにあとで一言も出てこない"velocity vector"をわざわざ書きこんだ人の気持ちを鑑みるに「速度ベクトル」とベクトルをいれた方がいい気がします(私の気分もありますが(笑))。

あと、地球から遠い軌道に移るとき(遠いところへ行くとき)は「増速」させるのですが、地球に近い軌道に移るとき(帰ってくるとき)は「減速」させるので、本の中でそのような例があり混乱を招きそうでしたら、注釈や調整を必要がでてくるかもしれません。
Commented by k-kun at 2009-05-31 22:35 x
ふつう、このような場面ででてくるのは、速度と加速度なんですがね。
推進力で速度と加速度を変化させるといえば、非常に自然な文になるんですが。技術屋さんの目から見て。

加速度とは、速度の単位時間当たりの変化量で、ΔV/ΔtでΔt→0の極限とをとったものです。増速量とは加速度のことを言いたかったのかもしれません。
Commented by masa_the_man at 2009-05-31 23:41
tt さんへ

>ではないでしょうか?

たしかにそうですね。私はmeasureを少し読み違えておりました。ありがたいご指摘です。

>理/工学で普通に使われる用語ですのでOKです。

了解です。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-05-31 23:44
ウヨなMさんへ

>物理用語では「速度」でベクトル量なので、「速度ベクトル」という用法は厳密には正しくない用法です(これは原文のvelocity vectorも同じ)。

なるほど。ということは原文にもかなり問題が。

>「速度ベクトル」とベクトルをいれた方がいい気がします(私の気分もありますが

私は入れる方向で行こうかと(笑

>帰ってくるとき)は「減速」させるので、

うーん、私が覚えている限りではそこまで詳しく書いていなかったかも知れません。むしろ宇宙の地理的な状況の説明という意味合いが強そうなのでそこまでこだわっていないような印象を受けました。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-05-31 23:47
k-kun さんへ

>このような場面ででてくるのは、速度と加速度なんですがね。

そうなんですか。

>推進力で速度と加速度を変化させるといえば、非常に自然な文になるんですが。技術屋さんの目から見て。

なるほど。それでは上のエントリーにさっそく入れてみますね。

>加速度とは、速度の単位時間当たりの変化量で、ΔV/ΔtでΔt→0の極限とをとったものです。増速量とは加速度のことを言いたかったのかもしれません。

うーん、ここらへんは本当に難しいですね。引き続きご意見お願いします。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-01 00:16
以下の物理学のHPを見てみると、「加速度」というもありなのかなという感じがしてきます。

http://www.kdcnet.ac.jp/college/buturi/kougi/buturiko/mechanics/mechan1/mechan1.htm

英語のDelta-Vの解説を見ると、「速度の変化(率)」みたいな感じですね。あるサイトでは「デルタVとは、宇宙船の加速度を表します」みたいなこと書いてありますが・・・。
Commented by 寝太郎(1/2) at 2009-06-01 00:47 x
くどいようで恐縮いたしますが、ネオ様の翻訳を基に機械工学科出身技術者として納得のゆく翻訳例は以下のようになりました。ただ、全文を拝読しておりませんので、原作者の物理学理解度や記述表現のバランスを考慮するなら、もっと簡潔な表現が相応しいのかもしれません。
--------------------------------------------
宇宙旅行をする場合に重要な尺度は、「速度ベクトル」を変更するため、もしくはA地点からB地点まで行くための「必要加速度(=速度ベクトル変更)の合計」を得るための推進力だ。
宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす方法を理解するためには、まずこの「必要推進力(=必要加速度=総燃料消費量)の合計」(Δv もしくはデルタV[デルタ・ヴイと読む])を知ることが大切である。
--------------------------------------------
Commented by 寝太郎(2/2) at 2009-06-01 00:47 x
現在の宇宙技術ではエネルギー消費量が最重要事項であり、宇宙空間の2点間を移動する場合も、幾何学的な直線最短距離移動ではなく、惑星の引力を利用した方向転換などを行い、消費エネルギーを最小化することが理想とされています。その為、推進力(加速度*質量≒燃料消費量)は何度かに小分けされて利用されるケースが普通なのだろうと思います。それで「total」という表現が出てくる訳です。また「運動量保存の法則」も暗黙の前提となっているでしょう。
Commented by jiiko at 2009-06-01 00:50 x
餅は餅屋ということで松浦晋也さんに連絡を取ってみるというのはどうでしょうか
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/
Commented by ウヨなM at 2009-06-01 01:17 x
奥山さんへ

>ということは原文にもかなり問題が。
それほど問題というわけではなく、一般向けの表現をしているといったところでしょうか。「初等入門書とかで読者にわかりやすく書くためならいいけど、物理系の論文にその書き方はネーヨ」ぐらいです(笑)

>「加速度」というもありなのかなという感じがしてきます
天文力学屋さん的な私の視点からすると、「加速度」は違和感を感じます。宇宙空間を移動する空間的・時間的タイムスケールの大きさからすると、ロケットによる加速する時間は微々たる物です。なので、1秒間あたりどれだけ加速したか(加速度)より、加速後に何km/sにするか(何km/s加速したか)が重要です。加速後の速度によって軌道の形・大きさが決まるからです。もちろん、軌道の厳密性を問われる場合はその限りではありませんが、大雑把な議論ではよく使われる手法です。この本では、大雑把な理解を求めるものだと思うので、「加速度」という厳密なにおいのする言葉は逆に避けたほうがいいと思います。
Commented by k-kun at 2009-06-01 02:01 x
なるほど、天文力学屋さんの視点からはそうなるんですね。そう考えると加速度は不自然ですね。エンジンは軌道修正の際に短時間ふかすくらいでしょうから。それで増速度云々という話が出てくるんですね。

余談ですが、「惑星の引力を利用した方向転換」技術は、swing-byと呼ばれています。惑星探査衛星なんかは、これで加速しながら目的地に向かいます。
基地をなるべく南に作って(日本は種子島、アメリカはフロリダ)東に向かってロケットを上げるのは地球の自転を利用するためです。
だから、北朝鮮からロケットをあげる場合、どうしても日本上空を通過するんですね。

まあ、えらそうなこと言ってますが、私は電波屋で、ロケットは素人ですよ。子供のころはフォン・ブラウンにあこがれてたんですがね。

今回の議論は面白かったですね。
Commented by rop at 2009-06-01 02:08 x
これは、日本語での物理学用語に沿って一字一句、忠実に訳すべきでしょう。ただ、読者層には物理学にそれほど詳しくない人が少なくないでしょうから、長めの注釈をつけたほうがいいでしょう。

整理します。ある時刻の「速度」、その速度の変化率は「加速度」、その加速度の変化率は「加加速度/躍度」と呼びます。積分法では「速度」が導関数で、「加速度」が第二次導関数で、「加加速度/躍度」が第三次導関数で表されます。さらに、ある瞬間なのか、時刻A~時刻Bの平均なのかでそれぞれ"瞬間""平均"と修飾されたりします。

次。Av or Delta Vのうち、AvのAはおそらくベクトルポテンシャル記号でしょう。ギリシャ文字の大文字Δ(デルタ)はdifferenceの頭文字で、「増分」・「差分」・「変化量」などと訳されます。概ね、増えるケースばかりですから「増分」でいいでしょう。
Commented by rop at 2009-06-01 02:08 x
A地点からB地点まで行くために必要となる「速度ベクトル」(velocity vector)は、「速度」です。A地点からB地点まで行くときに「加速度」は上下するはずですから「加速度」ではありません。

問題はtotal velocity effortですね・・・effortは牽引力・引張力の「力」の訳語として使われるようなので、速度をベクトル量として捉えてtotal=(ベクトルの)和と訳せばいいかもしれません。でも全微分の意も含めている可能性もありそうな・・・

・・・お手上げです。物理学に詳しい人に聞いたほうがいいですよ。
Commented by ウヨなM at 2009-06-01 02:49 x
寝太郎さんへの返信にもなりますが、Δvを加速度とすると不自然に感じることの補足です

消費燃料を議論する際に、加速度は非常に面倒になってくると思います。なぜなら、消費量の目安は
燃料消費量∝燃料の燃焼エネルギー≒運動エネルギーの変化=mvaΔt+(1/2)*m*(a^2)*(Δt)^2
ただし、aは加速度、vは初速度、Δtは加速開始から加速終了までの時間 "∝"は比例するの意味
となって、加速度aと初速度v以外にΔtという謎な量を入れないといけません。
一方、Δvを増速量とみると、
燃料消費量∝燃料の燃焼エネルギー≒運動エネルギーの変化=(1/2)*m*(v2)^2-(1/2)*m*(v1)^2=m*(v1)*(Δv)+(1/2)*m*(Δv)^2
ただし、v1は加速前の速度、v2は加速後の速度、Δv=v2-v1
とすると、加速前の速度v1と増速量Δvという二つの量で表すことができます。
Commented by ウヨなM at 2009-06-01 02:58 x
しかも、v1やΔvという速度は謎な量ではありません。まず、どのような衛星を飛ばすかで軌道の形や大きさが必然的に要請されます。すると、どの位置でどんな速度なのか、軌道を遷移させるのにどれだけ加速させないといけないかが必然的にきまり、Δvを導きだすことができます。加速度ではなく増速量で議論することは、非常に大雑把な議論なんですが、その方が系をシンプルに理解することができるのです。原著に後述されるHohmann transferもこのようなシンプルな論理から生まれています。
Commented by rop at 2009-06-01 05:02 x
少し調べましたが、Δvのvは「速度」で確定でいいと思います。

 v=velocity(速度)の略   a,α=acceleration(加速度)の略

 a=Δv/Δt (*t=単位時間*)

という表現がされてますから。vが加速度を表すことは有り得なさそうです。

velocity vectorは「速度ベクトル」で確定、
Av or Delta Vは良く見たらalso called Δv or Delta Vでしたw なのでベクトルポテンシャル云々は取り消して、「速度増分」「速度の増分」で確定です。どっちでもいいみたいですが専門文書では前者、やや噛み砕いた感じの文書では後者というあいまいな傾向があります。前者でいいのではないでしょうか。

total velocity effortはお手上げです。著者オリジナルの表現の可能性もありますが・・・
Commented by rop at 2009-06-01 05:58 x
total velocity effortについて補足します。

effortは牽引力・引張力のほかに操作力、操舵力でも「力」の訳語として使われている用例が見つかったので、単に「力」でいいでしょう。

ただ、ベクトル解析ではeffortを使わないようなのです・・・「方向」はdirection、「向き」はsense、「大きさ」はmagnitude、「(ベクトル)量」はquantity。effortの用例は見つけられませんでした。

effortは(向きと大きさを持つ量である)ベクトル量のことでしょうか?“速度ベクトル量”という表現は不可能っぽいようですが、“動きベクトルのベクトル量”という表現が見つかったので

total velocity effort=速度(速度ベクトル)の力(ベクトル量)の和 で良さそうな気がします・・・

と言いたいところですが、これでは速度増分とは違っちゃいますね。原文が混乱しているのではないでしょうか?
Commented by nanashi at 2009-06-01 07:41 x
著者に聞けないの?
Commented by k-kun at 2009-06-01 08:05 x
日本は、技術で稼いだ外貨で生活しているわけで、みなさんのような理系オタク(失礼!)がこの国を支えているんだなあと、つくづく思いました。
Commented by masa_the_man at 2009-06-01 10:26
ropさんへ

さっそく候補に加えさせていただきます。わざわざ調べていただき本当にありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-01 10:28
寝太郎さんへ

訳文候補までありがとうございます。これってやっぱり難しいですね(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by 寝太郎 at 2009-06-01 17:06 x
ウヨなM さんへ
時間成分の説明を欠いた「加速度」では不適当であり、言及自体が不必要な複雑化を招く(ベクトル演算レベルの説明に留めるべき)、並びにΔv=「速度ベクトルの差分」というご指摘、納得致しました。
Δvの訳としては、「増速量」=「速度ベクトルの変更量」=「差分速度ベクトル」ですね。(理系で「増分」と表現した場合、変化ゼロやマイナス変化を含むのが通例ですね)

ご指摘を踏まえて、拙訳を修正すると、

『宇宙旅行をする場合に重要な尺度は、「速度ベクトル」を変更するため、もしくは(増速量が複数点で必要とされる航路を前提とする場合等)A地点からB地点まで行くために必要な「増速量(速度ベクトル変更量)の合計」を得るための推進力だ。
宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす方法を理解するためには、まずこの「必要増速量の合計」(Δv もしくはデルタV[デルタ・ヴイと読む])を知ることが大切である。』

ウヨなM さん、ご指導ありがとうございました。
ネオさま、混乱を招いたようで、申し訳ございません。
Commented by chase at 2009-06-01 17:29 x
chaseです。皆さん凄いですね。敬服いたします。一つ気になるのですが、(原文は分かりませんが)「速度ベクトル」を変更の"変更"の言葉の方です。ちょっと素直には読みにくい気がします。上げる、増やす、加速するなどに意訳してもよいのではないでしょうか。速度ベクトル変更量は、速度ベクトル増分量とか・・・。
満腹?でなければ、教えてHOME'Sなどの物理学のジャンル(英語のジャンルよりもベター)http://oshiete.homes.jp/210/c391.htmlなんかで聞いても沢山回答来ると思います(私は何かと重宝しています)。
Commented by rop at 2009-06-01 20:42 x
物理学など自然科学の専門用語を意訳するのは避けたほうがいいと思いますよ。素直には読みにくいようなら注釈でフォローするべきでしょう。

原文の該当個所は以下の通りです。

In spacefaring terms, the important measure is propulsive effort required to change a velocity vector, or the total velocity required to get from point A to point B.

The total velocity effort (also called Av or Delta V) is the key to understanding the reality of space travel and the efficient movement of goods.

「change」はベクトルの微分として考えるべきです。微分法は英語でderivativeとかderivation、differentiationと呼びますが、微分法の変化率は英語でrate of changeと呼びます。

すなわちchangeは変化と訳し、change a velocity vectorは速度ベクトルの変化と訳すべきです。
Commented by chase at 2009-06-01 22:02 x
ありがとうございます。"変化"はしっくりきますね。他動詞っぽく"「速度ベクトル」を変化させるため"、"速度ベクトル変化量"が語感、語呂的によいのではないでしょうか。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-01 22:14 x
奥山さんには、こういえば分かりやすいでしょうか。
この問題は、軍事戦略(あるいは技術)と強引に関連付ければ、日本語で「慣性誘導」といわれるミサイルの誘導方式に直結します。
短くいえば

加速度を時間で積分したものが速度
速度を時間で積分したものが進んだ距離

となります。つまり、発射時の座標、初速度、加速度が判明すれば、飛翔体の現在位置が判明するということです。この関係を言い換えれば

進んだ距離を時間で微分したものが速度
速度を時間で微分したものが加速度

ということにもなります。
後者で例を挙げると、進んだ距離と時間との関係が
y=x・・・「式1」
で表される物体があった場合(y:進んだ距離(km単位) x:時間(秒単位))
この物体の速度は、この式を微分して
y´=1・・・「式2」つまり、1km/sとなります
さらに、この物体の加速度は、「式2」をさらに微分して
y´´=0・・・「式3」 つまり、速度の変化はなし(=等速運動)

Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-01 22:15 x
逆に、
加速度を積分したものが速度
速度を積分したものが進んだ距離
という関係から次のようになります。
ただし、この場合は後述のように注意が必要です。
y´´=0 を積分して
y´=C「式4」

y´=C を積分して
y=Cx+D・・・「式5」
となります。
したがって、「式4」(2回微分した「y´´=0」を満たす式)は無限にあるということです。このため、ある物体に適用するために「式4」を1つに特定するには、この物質の最初の地点及び初速度を決定する必要があります。

この物理法則から、発射時点の正確な位置と発射後の正確な加速度が測定できれば、飛翔体(ICBMなど)の正確な位置が分かり、ひいては、目的地まで、正確に運ぶ(誘導する)ことができます。これが、「慣性誘導」の大まかな原理です

Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-01 22:16 x
ICBMでいえば、ミサイルサイロ、SLBMでいえば発射時の潜水艦の正確な緯度経度(位置座標)と初速度(いわゆる発射時の諸元)が必要となります。実際には、地球の自転の影響(いわゆる「コリオリの力」)や重力の影響等々がありますので、現在位置だけではなく、目標まで誘導するには複雑な計算がいるかと思いますが、これ以上は私の能力を超えます。
ちなみに、これが、初期のICBMで破壊力の大きな核弾頭を積んでいた実際上の理由のひとつです。つまり、少々外れても核爆弾の爆発力で目標は吹き飛ばせます。

つまり、ICBM、SLBMの精度を挙げるには、
1 緯度経度を正確に測定できる能力
2 (3次元空間上での)正確な加速度を測定できる能力
の2つが必要となります。

Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-01 22:19 x
本題に戻れば、外から力が加えられない物体は等速直線運動となるので、

力を加えること=速度と運動の向きを変化させる

ということを意味し、その力のことを「加速度」といいます

ちなみに、位置と時間との関係が
y=x∧3(xの三乗)
であれば、速度は
速度=3x∧2(xの二乗)・・・「式6」
加速度=6x・・・「式7」
となります。この場合、例えば、6秒後の加速度は
「式7」より、6×6=36(km/s)
となり、これは、「式6」のグラフのx=6における接線の傾きとなります。これが、 k-kun さんの

>加速度とは、速度の単位時間当たりの変化量で、
>ΔV/ΔtでΔt→0の極限をとったものです。

の方眼紙(座標平面)上の意味です。

以上の内容は、一般論としては間違いないと思いますが、学問的に厳密ではないと思いますので、補足があれば、どなたかお願いします。

余談(恒例のボケ)
>「惑星の引力を利用した方向転換」技術は、swing-by
といえば、銀河英雄伝説のシュタインメッツ上級大将を思い出してしまいます。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-06-01 22:43 x
余談の余談ですが
ttp://www.excite.co.jp/News/society/20090529/JCast_42101.html
「一体何の意味があるのか」 「月面2足歩行ロボット」に批判
という記事に、対するあるブログで

>日本人の訳の分からない、意味不明な動機で作られた
>魔改造製品こそが、日本の最先端技術の骨頂だろう。
>他の国では絶対に作らないようなバカな発想に心血注ぐから、
>他にまねの出来ない技術立国になったんだろうに。
>こういう一見良識派が日本の発展の足を引っ張るんだ。

という奥山さんが、欧米が日本に抱いている「恐怖」として講演会で言われる「技術」に関する話と相通ずるエントリがありました。
こういわれると、私にもわかりやすい

(「魔改造」とは言いえて妙です)
Commented by tt at 2009-06-01 23:53 x
ブログ主置いてけぼりの議論になっている予感ですが。

私の専門は力学ではないのですが、以前にこのような分野と関わる機会をもっていたため、手元には関連の資料があります。(ΔVの意味も当然聞いていたはずですが忘却の彼方…)

そこでのΔVの使い方を見ると、相対速度の意味で使っている場合だけでなく、
"地球から探査機の到達するまでに必要なエネルギーΔV[Km/s]"
という使い方があり、これはウヨなMさんのご指摘のニュアンスです。
また推進力として、推進剤の噴射が使われることから
"ΔV = 排気速度 × ln(初期重量/最終重量)"とあらわすことができ、ΔVで議論すると都合が良いという側面もあるようです。

結局、この原文がややこしいのは
・ある時点で必要な相対速度を表現するΔvと
・ある時点で必要な相対速度を達成するのに必要なΔv
を意識せずに混在させているためなのでしょう。

ところでΔVの他の用例としては、
"姿勢制御のΔV中"
”この地点でΔVを行う”
というものがあり、ロケット工学では他分野の人間から見ると独特の使われ方が慣例となっているようです。
Commented by masa_the_man at 2009-06-01 23:55
上記書き込みのみなさんへ

本当に色々とお世話になりました。とても参考になりました。ブログ主置いてけぼりでしたが、こちらもゲラの直しで超忙しかったので全然オッケーでした。また何かありましたらよろしくお願いします。
Commented by rokujo at 2009-06-02 06:05 x
増速量ではかえってわからないです(><)
total velocity effortは
ロケットエンジンを吹かした結果の速度という意味が一番すっきりです。
私なら「噴射終了後の速度」「最終速度」とします。

単純にエンジンを止めたあとの完成速度を指しているので加速度になるわけがない。コメントを読むとずいぶん小難しく考えているなあと思いますよ。増速量では読者は???です。
Commented by rokujo at 2009-06-02 06:06 x
完成速度ではなく慣性速度です。
あれ、「慣性速度」でいいんじゃないf(^^;)
Commented by chase at 2009-06-02 09:51 x
rokujoさんの、最終速度に納得しました。「速度」と「最終速度」に私の意見を最終修正します。増速量もぐぐると、術語としてあるようですが、普通の人にはわかりにくいと思います。
Commented by masa_the_man at 2009-06-02 10:47
rokujo さん、chaseさん

それではさっそくエントリーのほうに反映させていただきます。わかりやすさで考えると、たしかに「噴射終了後の速度」というのはわかりやすいですな。コメントありがとうございました
Commented by ウヨなM(1/3) at 2009-06-02 15:47 x
>ブログ主置いてけぼり
申し訳ない。つい熱くなっちゃって^^;
とかいいつつ、また長い文になります。すみません。

>「噴射終了後の速度」「最終速度」
地球から発射して、低い軌道(スペースシャトルくらいの軌道)まで行くときだけを考えるなら、その言葉がよさそうです。ただ、その訳だと本来の意味とずれちゃうんですよね。この文の後で、Δvの具体例がありちょっと困ったことが・・・次のページにこんな文があります。

Thus the Δv to go from low Earth orbit (an orbit just above the atmosphere) to lunar orbit is 4100 m/s,which is only 300 m/s more than to go to geosynchronous,(以下略)

この部分では低軌道(地球から100kmほど上空をさしてると思われます)から月の軌道にいくためのΔvは4100m/s、静止衛星軌道には300m/sすくない(3800m/s)ということを書いてます。おお、実際の値が書いてある調べてみようと調べてみると、
地上100km軌道での人工衛星の速度は約7800m/s、静止衛星軌道での人工衛星の速度は約3000m/s、月の軌道の速度は約1000m/s。あわない・・・速度差のようなものと考えても違う値となり不自然です。
Commented by ウヨなM(2/3) at 2009-06-02 15:52 x
(ここは飛ばして3/3にいってもらってかまいません)
じゃあ、Δvはなんやねん。原著にある、low Earth orbitからlunar orbitにいく例を計算してみたのでそれで解説します。

もう人工衛星は地球から発射されて、高度100kmで地球の周りを円を描きながら7800m/sで回っています。ちなみに、この間は衛星はロケットで何もしなくてもずーっと7800m/sで回り続けます。

ここで、ロケットで「3200m/s」加速して11000m/sの速度にします。
すると、円軌道から楕円軌道になります。早くなったのでより遠くに飛ばされるわけです。

加速されて11000m/sになったわけですが、遠くにいくにつれ地球の重力で減速されるために衛星の速さは遅くなっていきます。(ジェットコースターで高いところでは遅くなるように)
そして、先ほどの加速のみでいける地球から一番遠いところ(遠地点)に達したときは約100m/sまで遅くなっています。このとき、地球と月の距離と同じくらいの離れた所まで来ています。

ここでまた、ロケットで「900m/s」加速して1000m/sにします。すると、その位置を半径とした大きな円軌道に移ることになります。これが目標としていた月の軌道です。
Commented by ウヨなM(3/3) at 2009-06-02 15:55 x
まとめると、[地上100kmの軌道]7800m/s→(ロケット加速)→11000m/s→(地球の重力による減速)→100m/s→(ロケット加速)→1000m/s[月の軌道]
さて、ロケットで加速したのは2回です。一回目は「3200m/s」、二回目は「900m/s」加速しました。この和「3200+900=4100m/s」がΔv、total velocity effortです。
ああ、原本の値ともあった。よかった。よかった。

Δvは定義としては、「宇宙旅行では、ロケットを数回加速します。その増速量をそれぞれΔv1,Δv2,…,Δvnとしたとき、Δv≡∑Δvi。Δvはロケットによる増速量の総和である。」となるでしょう。
問題の"total velocity effort"は、意味をかみ締めて訳すなら、「ロケットによる増速量の総和」が適当です。"total"="総和","velocity"="速","effort"="ロケットによる増"(笑)にあたります。

原文の"effort"は一語で「ロケットで何とかしてんだろうな」ってニュアンスを感じるんですよね(笑)。日本語でこれに当たる短くいい言葉が思いつかない・・・。
私の"total velociy effort"の最終具体訳案は以下の3つです。

本来の意味に忠実な案 「ロケットによる増速量の総和」
短くシンプルな案 「総増速量」「増速量の総和」
Commented by rokujo at 2009-06-02 20:02 x
ウヨなMさんコメントありがとうございます。

結局低軌道の重力と遠心力が釣合う速度、静止衛星軌道の速度
月軌道の速度など各段階の速度があり、各段階で速度を増すことにより
地球脱出速度を得ることができるという教科書通りの主旨ですね。
やっぱり最終的に脱出速度まで加速できたかという結果を日本語で表現するには・・・増速量ってことばじゃないような気がします。
それなら「加速による結果」が簡潔ではないですかね。

Commented by masa_the_man at 2009-06-03 00:17
ウヨなMさんへ

>問題の"total velocity effort"は、意味をかみ締めて訳すなら、「ロケットによる増速量の総和」が適当です。

なるほど、本文の別の部分から著者の意味しているところを探るという手を使われたわけですね。

>短くシンプルな案 「総増速量」「増速量の総和」

私は最初に「ロケットによる〜」を使って、その後に「増速量の総和」にしようかと考えております。教えていただきありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-06-03 00:19
rokujoさんへ

>やっぱり最終的に脱出速度まで加速できたかという結果を日本語で表現するには・・・増速量ってことばじゃないような気がします。

うーん、そうですか。私も混乱してきました(苦笑)というか、このデルタVには定訳がないんですね(笑

>それなら「加速による結果」が簡潔ではないですかね。

加速による「何の」結果か、というのが私としてはやや気がかりになってしまいます。参考になるコメントありがとうございました
Commented by tt at 2009-06-03 01:41 x
ブログ主様。ごめんなさい。
皆さんのコメントを読んでいるとなんだか楽しくなってきました。

どうも"total velocity effort"は専門用語としては存在しなく、ΔVの説明語としてしか作用していないような気がしてきました。単に前文の"measure is propulsive effort"の言い換えですね、きっと。よく見ると定冠詞までついていますし。ウヨなMさんの検証結果をみてもここでのΔVは速度の変化量としての意味合いは薄そうです。元エントリでは直感的に速度変化に拘り過ぎて解釈していたようです。反省しつつ、原文の逐語訳に拘らずに訳してみると、

「宇宙空間を航行するにあたっては、A点からB点に到達するまでに行う加減速や方向修正に費やす推進力の総計が重要な尺度となる。この総推進力はΔv(デルタV)と呼ばれ、宇宙旅行の実現や効率的輸送を考えるときの鍵となる。」

増速量はΔvの訳語のような扱いみたいですし、どうせ後の文章でもΔvで議論していますので、省いてみました。

翻訳って大変ですね。お疲れ様です。
Commented by masa_the_man at 2009-06-03 16:03
tt さんへ

>「宇宙空間を航行するにあたっては、A点からB点に到達するまでに行う加減速や方向修正に費やす推進力の総計が重要な尺度となる。この総推進力はΔv(デルタV)と呼ばれ、宇宙旅行の実現や効率的輸送を考えるときの鍵となる。」

おおっ、これはうまい訳文ですねぇ。おそれいりました。

>増速量はΔvの訳語のような扱いみたいですし、どうせ後の文章でもΔvで議論していますので、省いてみました。

なるほど。これはかなり参考になりました。

>翻訳って大変ですね。お疲れ様です。

機械的にできるところ(とくに私がよく知っている内容のところ)は良いのですが、こういう専門外の理系のものが出てくると本当に困りますし、無駄なエネルギーを使ってしまいますね。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-05-31 18:50 | 日記 | Comments(47)