戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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教えてください

今日の甲州は雲がやや多めなんですが、朝から日が照っております。過ごしやすくいい天気ですなぁ。

このブログをご覧のみなさんに一つ質問があります。

いま訳本のゲラ直しをやっているのですが、ひとつ単語をどうするのかで迷っております。しかもそれがロケット工学(ロケットサイエンス)に関する専門用語なので、門外漢の私はちょっと困っているんですよね(苦笑

問題の箇所と単語は、

===

宇宙旅行をする場合に重要なのは、A地点からB地点まで行くために必要となる「速度ベクトル」(velocity vector)もしくは「速度の増分」(total velocity effort)を変化させるために、ロケット等で推進力を得ることだ。

宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす方法を理解するためには、まずこの「速度の増分」(デルタVとも呼ばれる)を知ることが大切である。

===

というものです。

問題はこの「トータル・ヴェロシティ・エフォート」でして、原著者によれば「デルタV」と一緒ということなんですが、以下のサイトによると

デルタV、機体の速度増分が、第一宇宙速度(7.8km/s)に達しない場合、打上げは失敗します」

とあり、これにならって私も「デルタV=total velocity effort=速度の増分」としたのですが、どうも訳がしっくり来ないんですよね。

本ブログをご覧の方でこの辺に詳しい方、どうか教えていただけないでしょうか?お願いします。
Commented by k-kun at 2009-05-30 13:27 x
velocity自体がベクトル量なので、velocity vectorという語は、とても違和感を感じます。google bookで原文読んでみましたが、著者は技術系の人ではないのでは。

ところで、デルタ、即ちΔは、速度に限らず、一般に差分を表す際につかいます。差分(difference)の頭文字のギリシャ語表記Δをとったものと思います。
だから、質量がm1からm2に変化した場合、Δm=m2-m1などと書きます。速度の場合はΔV=V2-V1です。
Commented by path-scene at 2009-05-30 14:15 x
ツィオルコフスキーの公式の日本語と英語のwikiを貼っておきます。△V=発射時から時刻Tまでの推進力を重さで割って出てくる加速度の積分ですが、totalは燃え尽きる時点での速度という意味でしょうから、最終到達速度にあたるのでしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%85%AC%E5%BC%8F
http://en.wikipedia.org/wiki/Tsiolkovsky_rocket_equation
Commented by masahiko at 2009-05-30 14:57 x
Velocity Vector(速度ベクトル)という言い方自体は科学や工学の世界では珍しい言い方ではありません。例えばWikipediaの「速度」の項を参照してみてください。 > k-kunさん

訳のほうですが、Googleで検索したところ引用箇所の前半の原文は

> In spacefaring terms, the important measure is
> propulsive effort required to change a velocity vector,
> or the total velocity required to get from point.

のようですが、こちらだと"total velocity"で"effort"は含まれていませんね。
これだと「合計速力(合成速力)」のような意味です。
後段の"The total velocity effort"は、意訳して「速度の変更」程度で良いと思います。
Commented by masahiko at 2009-05-30 14:57 x
> 宇宙旅行をする場合に重要なのは、A地点からB地点まで行く
> ために必要となる「速度ベクトル」(velocity vector)もしくは
> 「合計速度」(total velocity effort)を変化させるために、
> ロケット等で推進力を得ることだ。
>
> 宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす
> 方法を理解するためには、まずこの「速度の変更」(デルタV
> とも呼ばれる)を知ることが大切である。

要するに後段の「速度の変更」で言及している「速度」が前段で説明される形ですね。
(「変更」ではなくて「変化」のほうが正しいかもしれません)
Commented by やまねこ at 2009-05-30 15:06 x
デルタV(Δv)はなんらかの操作(たとえばロケット噴射)の前後での速度ベクトルの変化した量(ベクトル量)を示します。ベクトル量ですから逆噴射とか進路変更ということもあるので「増分」と限定すると違和感があります。噴射前の速度ベクトルをv1、噴射後の速度ベクトルをv2とするとΔv=v2-v1、Total Velocity Effort(最終的な速度ベクトル)は語意からしてもΔvでなくv2のことを指していると思います。

引用されたサイトの文章は地表からの打ち上げの場合を言っているので、噴射前の地球に対する速度ベクトルはゼロ、静止状態です。したがって*この場合は*、v1=0、ゆえにΔv=v2で、「デルタVはTotal Velocity Effortと同じ」ということになります。

原著では宇宙飛行中の軌道変更を含めた一般的な場合のことを言っているので、Δv=v2とは限らず、しっくりこないと思います。うまい訳語を思いつけませんが"Total Velocity Effort"=「(噴射後に到達したい)最終的な速度ベクトル」という意味が表現できればいいのではないでしょうか。
Commented by sabskok at 2009-05-30 16:05 x
素人ですが、みなさんのコメントを拝見していますと、
「総速度ベクトル」 と訳したらどうかなあと思いました(^^;)
速度ベクトルの総和がある数値に達しないと、地球から脱出でき
ないということじゃないのかなあ?
すみません、完全にはずしているかも(^^;)?
Commented by ウヨなM at 2009-05-30 17:31 x
この文(と次の文)は
====
宇宙旅行をする上において重要なのは、速度ベクトルを変化させるような推進力である。別の言い方にすると、A地点からB地点に行くために必要な総速度変化が重要である。
総速度変化(Δv)が宇宙旅行や~の実質を理解する鍵である。
====
と訳す方が自然な感じがしますがどうでしょう?

宇宙空間では「進行方向(velocity vector)」を変えるというよりは、実際は「軌道(orbit)」を変えるってことをやってるんだよ。具体的にはHohmann transferってのがあってだね~と続けるため、読者の視点を変えさせるための文ととったのですが。
Commented by ウヨなM at 2009-05-30 17:42 x
補足です。
「あくまで、この本が地政学の本であり、宇宙に応用する上で必要なロケット工学・宇宙工学の考え方を紹介するため、厳密性は乏しくともわかりやすく説明している」だろうなという仮定の下での案です。ざっと読んだ限り、あまり物理学的に厳密な感じがしなかったので・・・^^
Commented by k-kun at 2009-05-30 18:32 x
皆さんのコメントを見て、ITの威力を見せ付けられるというか、すごい時代になったと思います。原文もすぐ見れるし。
大前研一さんが、これからの3種の神器は、英語、IT、財務だと言っていますが、ネットを使いこなせない人は、時代に後れてしまいますね。

本の件ですが、ウヨなさんの見解が正しいんじゃないですかね。つまり、これはあくまで地政学の話で、ロケット工学の話は、なんとなく雰囲気がわかってもらえればよいという。
この文は、技術文献としては、なってないですよ。
Commented by waterloo at 2009-05-30 21:56 x
すみません

[total velocity effort]=[ロケット等で得る速度ベクトルv2]と[元々物体が有している速度ベクトルv1]の合力

であり、

v2とv1の作用方向が反対なら、[total velocity effort]=[変化量Δv]

である

というのは正しいですか?
Commented by アラスカ at 2009-05-30 22:47 x
もしかして、それだと[ロケット等で得る速度ベクトルv2]=[変化量Δv]じゃないですか?
「ロケット等で速度を得た」なら変化した事になりますから。
ゆえに[total velocity effort]=[変化量Δv]となるのはv1=0の時、って事になると思います。

>>速度の場合はΔV=V2-V1です。
わかりやすく言うとΔV=「変化後の速度」-「変化前の速度」なんですよね。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-05-31 00:44 x
この分野では基本的に門外漢(しかも、高校では運動方程式で「赤点」をとったことがある)ですが、意訳チックに言えば

(ここから)
宇宙旅行をする場合に重要なのは、A地点からB地点まで行くのに必要な速度と進行方向を変化させるため、言い換えれば、加速度を変化させるためにロケット等で推進力を得ることだ。

宇宙旅行の現実や宇宙空間において、物質を効率良く動かす方法を理解するためには、この「加速度」(「ΔV」(「デルタ・ヴイ」と読む)とも呼ばれる)を知ることが大切である。
(ここまで)

というところでしょうか。
素人目でいえば、この文章は
F=ma (F:力、m:質量、a:加速度)
というニュートン力学の「運動方程式」の説明をしているだけのように思えるのですが、いかがでしょう。
Commented by ウヨなM at 2009-05-31 01:05 x
上で述べた私の案は"effort"を"変化"と訳しちゃいましたが、ちょっと情報が欠落しすぎかなという不安はあります。"effort"だと「ロケットの推進力で速度を一気に加速(または減速)させたよ!」って気持ちを含んでるなと伝わるのですが、"変化"だとその気持ちの入り方が弱いんですよね。(笑)かといって、他に短くていい言葉は思いつかない。図があれば"変化"でも勘違いはないと思うんですが・・・。あまりお役に立てられなくて申し訳ないです。
Commented by 待兼右大臣 at 2009-05-31 01:20 x
>「加速度」(「Δv」(「デルタ・ブイ」と読む。意味は、速度の変化分)

とでもしたほうが「Δ」の語感が出るでしょうか。
Commented by 寝太郎 at 2009-05-31 01:26 x
ベクトル(方向)成分も含めた速度の変更は、普通「加速度」と表現しますね。
高校の物理から、懐かしい公式F=ma(F:力⇒エネルギー=必要燃料量)、m:質量、a:加速度)
重力も加速度の一つですが、原文の著者は速度と加速度の表現が曖昧なのかも。「所要時間より必要燃料が重要」と論じているようですから、「総合必要加速度」、文脈によっては、単に「総合加速度」では如何でしょう?
Commented by tt at 2009-05-31 03:42 x
デルタVはただ単に速度と方向の変化を示す表現ですので、「何からの変化なのか」を意識しないと意味が通らなくなります。

この文脈では「total velocity effort」は「加速の総和」くらいの訳語が適当かと思います。

問題となる文章の主張は
「A地点からB地点へ移動するための燃料消費は
1)B地点へ行くために必要な速度と方向(速度ベクトルVb)
2)A地点で持っている速度と方向(速度ベクトルVa)から
 修正しなくてはならない速度と方向量(Vb-Va)
  (total velocity effort)
 で決まる。
というものです。A地点での速度ベクトルを基準にして考えているかどうかだけで内容は同じです。
この速度と方向の修正は一瞬で行えるわけではなく、少しずつ行うものですので、この少しずつの総和というニュアンスで「total」という表現がなされており、速度・方向の変化はエンジンの噴射によって行われてますので、これを指して「effort」という表現がされています。
重力や空気抵抗による速度・方向への影響の埋め合わせ分も含んだニュアンスかもしれません。
Commented by tt at 2009-05-31 03:44 x
>「デルタV、機体の速度増分が、第一宇宙速度(7.8km/s)に
>達しない場合、打上げは失敗します」

これは、地球とロケットとの速度差(デルタV)がこれ以上ないと地球の重力に負けるという意味です。
A地点での速度ベクトルが地球の速度ベクトルですね。
ロケットの加速の総和という視点に着目すると「total velocity effort」という表現になります。

宇宙では空気抵抗がないので、重力やエンジンの影響がないとロケットは同じ方向に飛び続けるというのを念頭に置くと見通しが良くなるかもしれません。
ロケットを噴射したときにしか燃料を消費しないですよね?
Commented by waterloo at 2009-05-31 08:24 x
上の[total velocity effort]=[ロケット等で得る速度ベクトルv2]と[元々物体が有している速度ベクトルv1]の合力
という記述は平行四辺形の法則など力の合成の話で、[total velocity effort]はv1とv2の合力を現しているのではないかという話です。
v1=0でなくても構いません。

ただ宇宙の話なので(=変化量Δ)というニュアンスがv1,v2が同方向だと曖昧になるかなと。
Commented by tt at 2009-05-31 10:10 x
>waterrlooさん
地球外の位置を基準に考えた場合、地球は自転していますし、太陽の周りを公転していますし、更には銀河ごと運動しています。
なので[元々物体が有している速度ベクトルv1]を考慮して計算するのは難しいのです。そこで相対値としてデルタVで議論します。
そして相対値で議論をしても特に不都合はないのです。
一定の速度で航行する船の船内ででキャッチボールをすることを考えたときに、同じ船内から眺めたときのボールの動きは、陸上でのボールの動きと変わりませんよね。そして船が時速30kmで移動しているときに、進行方向に向かって時速100km相当の球を投げた投手は、陸上から見ると時速130kmの球を投げたように見えますが、球に込めた力は依然時速100km分です。つまり船の速度を考慮する必要がありません。
*なお速度が光速に近づいたときは上記の話は成り立たなくなり、相対性理論の導入が必要になります。
Commented by waterloo at 2009-05-31 10:32 x
>ttさん
すみません。舌足らずでした。
[元々物体が有している速度ベクトルv1]というのは、目的方向と別の方向に物体が動いている時に有している速度という意味で書きました。
Commented by tt at 2009-05-31 10:33 x
連投失礼します。
原文良く読み直しました。
>1)B地点へ行くために必要な速度と方向(速度ベクトルVb)
の投稿の内容は少し変でした。長々と書いておいて申し訳ないです。
デルタV=Vb-Va
デルタV=total velocity effort
velocity effortの中身:ロケット噴射による加速、重力による減速
というイメージです。
地球からの打ち上げを考えた場合は、地球の速度がVaで、ロケットの
対地速度がデルタVに相当します。
Commented by waterloo at 2009-05-31 11:02 x
で、平行四辺形の法則で考えると、
[A地点からB地点まで行くために必要となる速度v0]と
[現在物体が有している速度v1](目的地と反対方向に向かってロケットで推進力を得ていても良い)
が解れば、
v1と[ロケット等で得る速度v2]の合成速度v3をv0と等しくなるように設定すれば、v2の速度は得られますよね。

つまり、第一の文は

宇宙旅行をする場合に重要なのは、A地点からB地点まで行くために必要となる「速度ベクトル」(velocity vector)と(total velocity effort)が等しくなるように変化させる、推進力をロケット等で得ることだ。

第二の文は

宇宙旅行の現実や、宇宙空間において物資を効率よく動かす方法を理解するためには、まずこの(total velocity effort)(デルタVと設定する)を知ることが大切である。

という意味かと。

ただ、v1とv2の方向が同じ場合は、(速度なので目的地までの所要時間も考慮されるため、現在の速度では目的地まで所要時間で到達できない場合加速する必要がある)合成速度を変化量として設定できないかなと思ったので。

的外れな書き込みでしたらすみません。
Commented by アラスカ at 2009-05-31 14:47 x
「大気抵抗も、大気圧による排気速度低下の影響も、重力の引きも考慮に入っていない」らしいので本当は7.8km/sから1.5km/sほどはΔVが必要なようです。つまり理想のΔV=7.8+1.5=9.3km/sって事なんですね。
ちなみに私はこれが打ち上げの話でV1が発射台の速度だと思いました、そしてほとんどの発射台は打ち上げの時に動きませんからv1=0と。
ただしリンク先では地球の速度とベクトルの事は書かれていないようので、考慮してません。
Commented by chase at 2009-05-31 15:03 x
福岡国際問題研究所のchaseです。
私は、たまに技術系の翻訳のアルバイトをしますが、
よく分からない時、もっともリスクの低い(と思われる)オプションをとります。
奥山さんの件も考えてみましたが、確信的にはいえることがありません。
それで私のポリシー?からすると
velocity vectorは速度
total velocity effortは速度増分
とさらっと訳して、脚注で、ツィオルコフスキーの公式を参照
とかすると思います。
まあ、大過はないものと思います。
ご参考(になりませんが)まで。
by masa_the_man | 2009-05-30 11:00 | 日記 | Comments(24)