戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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バランスオブパワーには二つある

今日の甲州は朝晴れておりましたが、今は雲が出てきております。過ごしやすい季節ですね。

先週末の講演会から二冊分の本の文章や図の修正、そしてまた横綱に関するミニ講演会開催など、かなり忙しく動いておりましてなかなかブログを更新するヒマがありません。

そのような中で、どこで読んだのか忘れましたが、バランスオブパワーに関する面白い話を読みましたのでこれを一つだけ。

本ブログでもバランスオブパワーについては何度も言及しておりますし、何冊かこれに関する理論書を紹介したことがあります。

もちろんこの概念は実は「地政学」や「愛」と同じように(笑)、なかなか定義しにくいものでありまして、専門の学者たちの間でも意見がわかれることは本ブログをご覧のみなさんでもなんとかくお分かりいただけていると思います。

たとえば現在は「中国にパワーがシフトしている」という議論がけっこうマスコミでも出てきておりますが、それって具体的にどういうものかというと明確に答えられる人っていないんですね。

ミアシャイマーなんかは完全に「陸軍力のバランスだ」と言い切っておりますが、クラウゼヴィッツ的に言えば軍事力も政治的に影響を及ぼせなければなんの意味もないわけです。

そうなると、「政治に影響を与える(軍事)力の配分」とでも言えなくもない。

まあとにかく私が今回のブログで書きたいのは、「バランスオブパワー」と言った場合には、大きくわけて二つあるということです。

どういうことかというと、まず前々回のエントリーでウォルツが述べていたような、「自分に都合の良い有利なバランス」という意味のバランスオブパワー。

これは自分がバランスオブパワーの参加者であった場合には、自分が圧倒的な力を持っていて、他がそれを覆そうとする気を起こさない、という意味での安定です。つまり「非均衡による安定」ということになります。

ところが通常でバランスオブパワーと言った場合、これは全体的に力が均衡しているために安定している状態ができている、という意味が多いわけです。これがスタンダードな「均衡による安定」ですね。

で、イギリスやアメリカのシーパワー国家というのは、どちらかというと前者の「(自分が圧倒的な力を持つ)バランスオブパワー」という概念を歴史的によく使っていた、という事実ですな。

しかもここで大事なのは、バランスされていた側、つまりイギリスの場合は当時のヨーロッパ大陸側にある国々、そして現在のアメリカの場合はアメリカ以外の世界中の国々にとって、それが心地よいものである場合と、かなり不快な場合がある、ということですね。

現代の日本にとっては、アメリカの一極状態という「不均衡による安定」はある意味で「フリーライダー」なので心地いいものですが、ロシアや中国などにとってはどちらかといえば不快である、ということになります。

ところがアメリカの圧倒的な力が落ち始めている(と感じられている)ために、この「不均衡による安定」がどうなるのかというところに注目が集まってきます。これってもしかすると、後者の「均衡による安定」に移行しているプロセスなんでしょうか?

世界政治のパワーバランスを考えた時に、これからアメリカの没落(と感じられること)がどちらの形のバランスオブパワーに落ち着くのか、リアリストたちの間でこれからもこの辺の話題が積極的に論じられて行くことになることは確実ですね。
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Commented by nanashi at 2009-05-20 00:57 x
地政学的には、人口とか移民の扱いはどうなるんでしょうか?
私は、米国が人身売買を盾に興行を通じた日本とフィリピンやロシア東欧の関係の深まりをブロックしたと考えているんですが。
ミャンマーの問題でも、経済制裁を言っているくせに、米英はミャンマーに投資をして、日本だけが封じられているんですよね。
今回の核廃絶もそう。核拡散はどうなったの?
結局、連中の狙いは日本なんですよね
Commented by elmoiy at 2009-05-20 17:02 x
国内外で歴史観強制へ 露大統領が委員会創設
ttp://sankei.jp.msn.com/world/europe/090520/erp0905200959003-n1.htm

“倫理戦”に勝つための対抗措置かもしれませんが、ロシアのやり方というのは相変わらず露骨ですね(苦笑
Commented by 柴崎力栄 at 2009-05-20 17:38 x
やはり、大陸国家は、国家の歴史的正統性の構造が、剛構造になりやすいのでしょうか。
Commented by masa_the_man at 2009-05-21 00:34
nanashiさんへ

>地政学的には、人口とか移民の扱いはどうなるんでしょうか?

とりあえず「マンパワー」になるので、広義の「パワー」としてカウントされることになります。ただ、多けりゃいい、というわけじゃないですが(苦笑

>私は、米国が人身売買を盾に興行を通じた日本とフィリピンやロシア東欧の関係の深まりをブロックしたと考えているんですが。

うーん、わたしはこれについてはわからんです。

>ミャンマーの問題でも、経済制裁を言っているくせに、米英はミャンマーに投資をして、日本だけが封じられているんですよね。

それと中国も投資がありますよね。

>今回の核廃絶もそう。核拡散はどうなったの?結局、連中の狙いは日本なんですよね

というか、この辺は日本が外交で立ち回るのが下手だということになると思います。まあ外交力を裏付ける脅しを持っていないということにもなるのかも知れませんが。コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-05-21 00:35
elmoiyさんへ

>国内外で歴史観強制へ 露大統領が委員会創設

うははは、わかりやすい(笑

>“倫理戦”に勝つための対抗措置かもしれませんが、ロシアのやり方というのは相変わらず露骨ですね(苦笑

そういうことなんでしょうなぁ。彼らもプロパガンダ戦が下手です(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-05-21 00:37
柴崎さんへ

>大陸国家は、国家の歴史的正統性の構造が、剛構造になりやすい

「剛構造」という言葉はいいですね。これも騎馬民族という「交通手段」についてくる文化、ということもいえなくもないですな。テクノロジーは文化をつくり、文化はテクノロジーをつくる、ということにも。コメントありがとうございました
Commented by 柴崎力栄 at 2009-05-21 01:41 x
奥山さん:

>>テクノロジーは文化をつくり、文化はテクノロジーをつくる

東京メトロ銀座線田原町駅のホームに、近くの仏具屋さんの広告で、
「心はかたちを求め、かたちは心をすすめる」というのがありました。
形式と内容の相互浸透ということでしょう。
Commented by masa_the_man at 2009-05-22 11:58
柴崎さんへ

>「心はかたちを求め、かたちは心をすすめる」というのがありました。

すごいところに反応されますねぇ(笑)しかしこれはたしかに正しいですな。

>形式と内容の相互浸透ということでしょう。

そういうことなのかも知れません。A→Bであり、B→Aでもある、といったところでしょうか。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-05-19 12:15 | 日記 | Comments(8)