戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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コックスの「理論」論:その2

昨日の甲州はとにかく暑かった。よく日が照って、しかも盆地のせいか、東京よりも気温は高いかも知れません。

さて、コックスの話の続きを。

「セオリーとは、常に誰かのための、何かの目的のためのものだ」

とコックスが論じていたことは前回のエントリーで書いたわけですが、もちろん彼はさらにセオリーについて色々と面白い分析をしております。

たとえばこのフレーズのすぐ後の二つのセンテンスで出てくるものに、

すべてのセオリーには一つの見方がある
(All theories have a perspective.)

このような見方というのは、ある特定の時間と空間、特に社会的/政治的な時間と空間に由来するものだ
(Perspectives derive from a position in time and space, specially social and political time and space)

というなかなか鋭い分析があります。

もちろんコックスがこの論文で想定しているのはケネス・ウォルツのネオリアリズムの理論なわけですが、この理論はまさにウォルツがこの理論を発表した一九七九年という米ソ冷戦の最中という時代背景(時間)と、それが一方の超大国であるアメリカ(空間)で出て来たという事情が如実に反映されているものです。

これを最近の英米系のアカデミック用語で言い換えてみると、それは

どんな理論にも、それが生み出されたコンテクスト(context)がある

ということになりますが、みなさんに注意していただきたいのはこの「コンテクスト」という言葉。

我々が普段よく見かけるのは、このコンテクストというものを、単純に「前後の文脈」という意味で解釈したものです。

ところが本当に重要なのは、このコックスの最初の言葉でもわかるように、コンテクストには「時間の前後」という意味だけではなく、そこに「空間」、つまり「場所=地理」というものも関係してくるという点です。

ようするに「時間」という横軸と、「地理」という縦軸(?)が交差して、そこからコンテクストが成立する、ということですね。

しかも理論というものはそのようなコンテクストが存在して、その中から生まれてくる、というのがコックスの言いたいことなのです。

そうなると気になるのは、たとえばリアリズムのような、なんとなく「普遍性」を持ってそうなセオリー。

たしかに(私の先生を含む)リアリズムの提唱者というのは、大抵の場合は「リアリズムには二千五百年の歴史がある」と言うわけですが、これも実はよく考えてみるとある特定のコンテクストによって流行したり、そうでなかったりという(人気の?)波があります。

これについてコックスは、

「(ネオリアリズムのように)洗練されたセオリーというのは、それが洗練されたものであればあるほどそれが生まれた当初の見方というものを越えているように見えるが、それでもセオリーの中に内包されて、表現されるものである」

と見ております。なかなか鋭い。

と、ここまで書いて時間が来たので、続きはまた。

何度も言うようですが、この辺については五月十六日の講演会のほうで徹底的に分析していくつもりですので、興味のあるかたはこちらまで(笑
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(オバマんじゅう)
Commented by touge at 2009-04-24 19:42 x
オバマの顔が恐い。というか誰かに似ている。エスパー伊東? 
Commented by masa_the_man at 2009-04-25 00:44
touge さんへ

>オバマの顔が恐い。というか誰かに似ている。エスパー伊東? 
誰かに似てますよね。特にこのとってつけたようなカツラ風の髪型(笑)私は「笑うせーるすまん」だと思ったのですが(笑)コメントありがとうございました
Commented at 2009-04-26 08:25 x
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Commented by touge at 2009-04-26 18:30 x
わざわざレスありがとうございます。
「笑うせーるすまん」ですか...たしかに...似てますね...
Commented by masa_the_man at 2009-04-28 02:04
waterlooさんへ

> "速さ"と"速度"の違いを思い出しました。

ほほう、これは興味深いです。

>生命にとって重要なのは、突き詰めていけば慣性の法則だけだなんて答えに行き着いたことがあります

どういうことですか?

>静止していた政策、戦略が動き始める時に働いた力とは?

なるほど。雰囲気的にはジョミニが言いそうなことですな。

>これは政治学にも通じる普遍の法則ではないか?なんて最近思い出しました。

物事の「勢い」ということだったら説明がつきそうですね。ただしこれはけっこう哲学的な議論になりそうですなぁ。私の手には負えそうもないですが(苦笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-04-28 02:06
touge さんへ

>「笑うせーるすまん」ですか...たしかに...似てますね...

しかし麻生さんのほうは完全に似てますよね。オバマってのは意外と似せにくいのか?それとも著作権を恐れて?AP通信がこのまえ肖像権の裁判で選挙ポスターの画家に勝ちましたので。コメントありがとうございました
Commented at 2009-04-28 08:47 x
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Commented at 2009-04-28 08:48 x
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Commented at 2009-04-28 09:02 x
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Commented at 2009-04-28 20:16 x
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Commented by masa_the_man at 2009-04-28 22:43
waterlooさんへ

>簡単に要約すると生命活動(運動)は何かしらの妨害を受けない限り、運動を続けていくという事です。

なるほど、そういう意味で慣性なわけですね。

>生命の本質とは、一度生じた生命という運動は妨害を受けない限り運動を続けるというだけで、そこに意志など無い

おおお、それはかなり唯物的な(笑

>彼は質問しておきながら答えを出せなかったみたいです、出したくなかったのかもしれませんが。

私の個人的な考えからすれば、これはこの質問をすることが事態がおかしい、ということになりますが(笑

>考えないというのが一番の答えかなと最近思ったりしてます。

なるほど。

>善悪等存在しないからこそ善という概念が重要だと言う話に持っていって

既存の大宗教はこういうコンテクストから善の概念を出してきたような。

>"コントロール"するのが重要です

たしかに(笑)コメントありがとうございました
Commented by masa_the_man at 2009-04-28 22:49
waterloo さんへ

>狂歌に近い表現をとる事があるのが素敵です。

ああ、あるかも知れませんね。毒を毒で制す、みたいな。

>まさか1970年代後半のイギリスで

フラストレーションの塊ですよね(笑

>And I wanna be anarchist

ははは。きわめて政治的です(笑

>イギリスの労働者階級に与えた影響は結構大きいと思ってるのですが

大きいですね。まあ普段はサッカーやタブロイドで鬱憤をはらしているわけですが。

>また、地政学から遥か遠方に話が逸れてしまいました。
すみません。

いえいえ、まあいいんじゃないですか(笑)私も昔音楽に興味あったのでなんとなくわかります。コメントありがとうございました
by masa_the_man | 2009-04-24 01:52 | 日記 | Comments(12)