2009年 04月 08日
北朝鮮に対する「経済制裁」について |
今日の甲州はやや霞がかっておりますが、朝から晴れております。家の周りの桃が満開で、まさに「桃源郷」という感じになってきました。
さて、北朝鮮がミサイル発射しましたが、それに対して日本が行おうとしている「経済制裁」について。
実は経済制裁(economic sanctions)に関する文献というのは、皆さんもご存知のように「米ソ冷戦」という事情もあったせいか欧米のアカデミック界ではけっこう豊富でして、これに関するセオリーなんかはけっこう出ております。
その中で最も有名なのは、現在タフツ大学教授でブロガーとしても有名なドレズナーの「制裁のパラドックス」(sanctions paradox)かと思われます。
一般的に経済制裁というのは、武力行使というオプションがない場合に、脅威を感じた側(今回の場合は日本)の国家の指導者が相手国(今回の場合は北朝鮮)に対して行う、かなりポピュラーな手段なわけです。
で、なぜポピュラーかというと、それを行う国家指導者側(日本)は、実際にあまり効果がないのにも関わらず、国内的には「何かしらの行動を起こした」という意味で「シメシ」がつくからですね。
つまり経済制裁には、実際の戦略効果よりも、国内向けのプロパガンダ的な意味合いのほうが大きい、という見方もできるわけです。
これを上手く説明しているのがダニエル・ドレズナーです。
彼は一九九九年に出したThe Sanctions Paradox: Economic Statecraft and International Relationsという本の中で「なぜ経済制裁が効かないのか」という疑問に答えているわけですが、その理由として彼は、
「経済制裁が最も効果を発揮するのは、相手国が経済的に緊密な関係にあって、長期的に経済関係を維持する可能性が高い国である」
と説明しております。これを言い換えると、
「経済制裁は同盟国のような国に対して行えば一番効果があり、敵国のように関係の薄い国に対しては最も効果がない」
ということになります。まさにパラドックス(笑
そもそも経済制裁というのは自分と相手の経済関係が密接な場合に、相手の経済に(そしてお互いの経済に)ダメージを与えることを狙って行われるわけですが、ダメージを与えようと思う相手というのは、そもそもはじめから経済的な結びつきがない国であるパターンが多いわけです。
ようするに経済制裁の効果には、仲が良い友達に対して一番効果があり、仲の悪い友人に大しては一番効果がない、という反比例な関係があるんですね。
こうなると問題なのは、すでに仲が悪くなっている日本と北朝鮮のような場合。
これをたえると、日本と北朝鮮は経済的な結びつきが(以前ほどは)密接ではないので、これはそもそも少ししか流れていない川の流れを、日本が上流からせき止めてしまうようなものですな。
アメリカの場合も同じで、いくらアメリカが北朝鮮に対して水の流れをせき止めようとしても、はじめから自分のところから水がほとんど流れていないので、少ないものを無理矢理せき止めてもあまり意味はない、ということになります。
では現時点で誰が北朝鮮に対して「経済制裁」でダメージを与えられるかというと、政治的にも経済的にも一番結びつきが強い中国である、ということになります。
ところが中国は本ブログの中で私の友人が述べていたように、バッファーゾーンとして重要な価値を持っているため、あえて北朝鮮の生存を脅かすような制裁などしたくはない。崩壊されたら困りますから。
そうなると、いくら日本とアメリカが中国に対して「北朝鮮に対して経済制裁してくれよ〜」と頼んでも、当の中国自身が北朝鮮に制裁を加えたいと思っていないわけですから、日本やアメリカが行う経済制裁にはほとんど意味がない、ということになります。
よってここでの教訓として言えるのは、「日本政府が経済制裁を行うのは国内的な受けは良いかも知れないが、本当に制裁効果を発揮させたいのなら中国を巻き込まなければダメ」ということになりますね。
日本政府にそこまでのやる気とガッツがあるかは微妙ですが・・・。
(ある電車の車内の様子)
さて、北朝鮮がミサイル発射しましたが、それに対して日本が行おうとしている「経済制裁」について。
実は経済制裁(economic sanctions)に関する文献というのは、皆さんもご存知のように「米ソ冷戦」という事情もあったせいか欧米のアカデミック界ではけっこう豊富でして、これに関するセオリーなんかはけっこう出ております。
その中で最も有名なのは、現在タフツ大学教授でブロガーとしても有名なドレズナーの「制裁のパラドックス」(sanctions paradox)かと思われます。
一般的に経済制裁というのは、武力行使というオプションがない場合に、脅威を感じた側(今回の場合は日本)の国家の指導者が相手国(今回の場合は北朝鮮)に対して行う、かなりポピュラーな手段なわけです。
で、なぜポピュラーかというと、それを行う国家指導者側(日本)は、実際にあまり効果がないのにも関わらず、国内的には「何かしらの行動を起こした」という意味で「シメシ」がつくからですね。
つまり経済制裁には、実際の戦略効果よりも、国内向けのプロパガンダ的な意味合いのほうが大きい、という見方もできるわけです。
これを上手く説明しているのがダニエル・ドレズナーです。
彼は一九九九年に出したThe Sanctions Paradox: Economic Statecraft and International Relationsという本の中で「なぜ経済制裁が効かないのか」という疑問に答えているわけですが、その理由として彼は、
「経済制裁が最も効果を発揮するのは、相手国が経済的に緊密な関係にあって、長期的に経済関係を維持する可能性が高い国である」
と説明しております。これを言い換えると、
「経済制裁は同盟国のような国に対して行えば一番効果があり、敵国のように関係の薄い国に対しては最も効果がない」
ということになります。まさにパラドックス(笑
そもそも経済制裁というのは自分と相手の経済関係が密接な場合に、相手の経済に(そしてお互いの経済に)ダメージを与えることを狙って行われるわけですが、ダメージを与えようと思う相手というのは、そもそもはじめから経済的な結びつきがない国であるパターンが多いわけです。
ようするに経済制裁の効果には、仲が良い友達に対して一番効果があり、仲の悪い友人に大しては一番効果がない、という反比例な関係があるんですね。
こうなると問題なのは、すでに仲が悪くなっている日本と北朝鮮のような場合。
これをたえると、日本と北朝鮮は経済的な結びつきが(以前ほどは)密接ではないので、これはそもそも少ししか流れていない川の流れを、日本が上流からせき止めてしまうようなものですな。
アメリカの場合も同じで、いくらアメリカが北朝鮮に対して水の流れをせき止めようとしても、はじめから自分のところから水がほとんど流れていないので、少ないものを無理矢理せき止めてもあまり意味はない、ということになります。
では現時点で誰が北朝鮮に対して「経済制裁」でダメージを与えられるかというと、政治的にも経済的にも一番結びつきが強い中国である、ということになります。
ところが中国は本ブログの中で私の友人が述べていたように、バッファーゾーンとして重要な価値を持っているため、あえて北朝鮮の生存を脅かすような制裁などしたくはない。崩壊されたら困りますから。
そうなると、いくら日本とアメリカが中国に対して「北朝鮮に対して経済制裁してくれよ〜」と頼んでも、当の中国自身が北朝鮮に制裁を加えたいと思っていないわけですから、日本やアメリカが行う経済制裁にはほとんど意味がない、ということになります。
よってここでの教訓として言えるのは、「日本政府が経済制裁を行うのは国内的な受けは良いかも知れないが、本当に制裁効果を発揮させたいのなら中国を巻き込まなければダメ」ということになりますね。
日本政府にそこまでのやる気とガッツがあるかは微妙ですが・・・。

by masa_the_man
| 2009-04-08 12:10
| 日記

