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2014年 11月 25日

新しいシルクロードの地政学的な意味

今日の目黒は小雨が降っております。

さて、「新しいシルクロード」に関する話題がワシントン・ポスト紙に出てきたのでこの記事を要約します。

おなじみのランドパワー論ですが、具体的な地図でルートが示されたところがいいですね。

これについては今夜の放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv199750402)で少し解説します。


===

中国で世界最長の鉄道の旅が始まる
by イシャーン・サローア

●11月18日に中国東部の工業都市である義烏(Yiwu)から、82両編成の貨物列車が出発した。その旅は21日後となる12月にマドリッドで終わる歴史的なものであった。

●この貨物列車がカバーする距離はほぼ1万キロであるが、これは貨物列車として世界最長であり、ロシアの有名なシベリア鉄道よりも長い(以下の地図を参照のこと)。
b0015356_16444750.png


●義烏には小さな消費製品の最大の卸センターがあり、外国のビジネスマンや小規模な仲買人などが集中しており、アラブ人の大規模なコミュニティもあるほどだ。

●しかもこの都市はさらに大規模なプロジェクトを開始しており、自国の台頭する経済とヨーロッパの市場をつなげることを狙っている。

●「義烏=マドリッド線」は、大陸間の陸上貿易を再活発化させようとする北京の新しい取り組みを表している。これは「新しいシルクロード」という計画であり、習近平主席が400億ドルをかけて貨物列車のためのインフラや集積施設の改善への投資を決定している。

●もちろん貨物を使った貿易というのは主に海上を通じたものであるが、エコノミスト誌によれば、ヨーロッパの高級品への中国市場での需要の高まりによって、ユーラシアの鉄道貨物も発展しつつあるという。

●また、ロイターによれば中国はヨーロッパの会社に握られている貨物の分野における自国の企業の機能を強化する狙いがあるという。すでに中国は世界貿易の中心的な存在であるが、この計画を推し進めているのは歴史的な優越感である。

●この貨物線のルートは中国の最西部である新疆ウイグル自治区を横断しており、中央アジアのカザフスタンを越えている。このルートでは、数百年前に中国の製品が草原や針葉樹林を越えて向かっていた。

●別の貨物線のルートではトルコを通過してヨーロッパに向かっているものもある。国営の新華社通信が発表した地図によれば、新しいシルクロードは陸だけでなく海を通るものがある(以下の地図を参照)。
b0015356_16452797.png


●中国の海洋貿易の野望は、その国営企業がインド洋沿岸を越えて、バングラデシュ、スリランカのハンバントタ、そしてケニヤへの港湾施設への莫大な投資を行っていることからもわかる。

●中国の世界への展開、とりわけアフリカへの取り組みは、海軍規模の拡大と、アフリカ東岸へのプレゼンスの確立へとつながっている。

●何人かの専門家によれば、習近平氏の「新しいシルクロード」というプロジェクトは、ヨーロッパとアジアのロジスティクスとマーケットを結びつける地政学的な狙いがあるという。

●ボストン大学の国際関係論の准教授であるミン・イー氏によれば、これはアメリカのアジアへの「リバランス」への対抗であるという。

===






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by masa_the_man | 2014-11-25 16:49 | 日記 | Comments(8)
2014年 11月 23日

朝日新聞の慰安婦記事がもたらした影響:FT紙の分析

今日の横浜北部はあさから快晴です。気温も上がり、過ごしやすい週末ですな。

さて、ちょっと前なのですが、イギリスの日経新聞であるフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記者が、一連の慰安婦誤報問題について、NYタイムズとは違ってかなりバランスのとれた分析を書いておりましたのでその要約を。

===

朝日新聞の性奴隷「慰安婦」報道は日本で激論を巻き起こす
by デメトリ・セバストプロ

●木村社長は先月、極めて異例となる社内会合を開催したのだが、その時の現場の雰囲気はかなり緊迫いしたものであったという。

●この場に居合わせた2人の目撃談によると、「木村社長、辞任してください!」と何人かの社員たちは叫んでいたというが、これは日本において公的な場で社員が社長に反対意見を示すという、きわめて珍しいシーンであった。

●朝日新聞はその中道左派的なスタンスから「日本のニューヨーク・タイムズ」として知られており、日本政府を痛烈に批判しながら翻弄するような存在として君臨してきた。

●ところが現在ではこの世界第2位の規模を誇る日刊紙の、第二次世界大戦の性奴隷についての報道で生じた危機に対する木村社長の対処について、社員たちは怒りを表している。

●135年の歴史を持つこの新聞社は、今年の8月以来、日本の兵士が戦時中に強制的に韓国の「慰安婦」たちを軍の徴用していたとする十数年前の一連の記事を訂正してから、大きな批判さらされている。

●また同じ頃に、福島の原発危機についても誤った報道(吉田調書)をしたことも認めている。

●朝日新聞は、その800万人の読者を狙う保守系の読売新聞と産経新聞から、批判の集中砲火を浴びている。さらにこの騒動は、旧日本軍が戦時中に女性を売春を強制したことを否定する集団たちにさらなる論拠を与えたために、地域外交にも影響を与えている。

●習近平は最近まで安倍首相に会うのを拒否していたが、この理由の一部は、安倍首相の歴史観に懸念を持っていたからだ。韓国の朴槿恵大統領も、安倍首相が慰安婦にさらに強調した謝罪を出すまでは公式会談を行なわないとしている。

●ところが安倍首相は今年のはじめにそれとは正反対の方向に向かうことで議論を巻き起こした。彼は慰安婦の募集について「旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」ことを日本政府が認めた画期的な1993年の「河野談話」を再検証するよう指示している。

●日本の専門家たちが指摘しているのは、軍が直接的的に関与したとする十分な証拠がないということであり、慰安婦たちは業者たちによって軍の慰安婦所に連れて来られたと結論づけている。

●何人かの主流派の歴史家たちは、旧日本軍がその業者を選択して売春宿を管理していたという意味でその責務を負うべきであると述べているが、右派の歴史家たちは旧軍には何も責任はないと述べている。

●また、「日本政府は韓国との緊張を緩和するためにこのような文言に同意した」と指摘する人もいる。別の保守派の人々は、慰安婦たちはただ単に職を求めていた人々であると述べており、このコメントは「長年強制されて強姦されてきた」とする多くの韓国人や中国人の多くを激怒させている。

●安倍首相は結果的に河野談話を見直さないことにしたが、この見直し作業自体は、彼が周囲を固める人々と同様の「歴史修正主義者」であるという疑いをさらに深めることになった。

●朝日新聞の訂正以降、安倍首相のコアな支持者で右派の著者である櫻井よしこ氏は「プロパガンダ新聞」は廃紙すべきだと宣言している。

●安倍首相の友人でNHKのトップに任命された籾井勝人氏も、今年の始めに戦時中の慰安婦の使用を擁護する発言をしており、NHKは全般的に政府の見解に沿うように報道しなければならないと強調している。

●朝日がここまで日本の保守派を怒らせた理由の一つは、一連の記事の中心人物で旧軍の兵士であった吉田清治氏の証言が、慰安婦たちが「軍の性奴隷であった」とする国連の画期的な報告書の論拠として引用されていたからだ。

●安倍政権は朝日新聞の訂正を受けて、国連に対してこの報告書の書き換えを求めているが、国連側はそれ以外にも証拠が豊富にあるとしてこの要請を拒否している。

●インテリジェンス企業であるテネオ・インテリジェンスの日本専門家であるトビアス・ハリス氏は、日本政府の朝日新聞に対する批判は、河野談話の信頼性を損なおうとするあからさま動きであると述べている。

●「もし米政府がニューヨーク・タイムズ紙にたいして同じようなことをしたら政治的なスキャンダルとなるでしょうね・・・これは河野談話を支持すると言いながら河野談話を空洞化させているわけですから」とハリス氏は述べている。

●政府からの批判というゾッとする結末を懸念する人々もいるが、伝統的な朝日新聞の支持者たちは、木村社長が「オウンゴールをした」と言っている。

●ある人気コラムニスト(池上氏)は、訂正の発表と共に謝罪文を掲載しなかった朝日新聞を批判する記事を掲載しようとして拒否されている。ところが批判にさらされた朝日新聞は、後にこの記事を掲載している。

●朝日新聞のこの状況に詳しい人によれば、この掲載拒否の決断は社内のモラルを潰した「キラーパス」だったという。別の人によれば、圧力に負けて12月はじめに退社することになっている木村社長はすぐに辞任しなかったために「決定的な失敗を犯した」というのだ。

●また、朝日新聞は20万人が慰安婦として強制連行されたと書いた植村隆記者の記事によってもその評判を落としている。この数は実際は工場などで強制的に労働させられた日本人を含む「志願者」の女性である「挺身隊」を示したものであるが、彼はこれを「慰安婦」としてしまったからだ。

●慶応大学の細谷雄一教授によれば、「朝日新聞の最大の誤りの一つは、植村氏をかばい続けたこと」だという。

●これらの記事はたしかに朝日新聞の評判を落としたのだが、これがもたらしたさらに大きな懸念は、右派団体が植村氏が講師を務める大学に爆破予告をしたことである。

●日本政府のあるアドバイザーによれば、「朝日新聞はたしかに巨大な間違いを犯したが・・・・安倍政権がやっていることはやや危険なものになってきている」と述べており、首相はヘイトスピーチに対して厳しく対処すべきだとしている。

●慶応大学の日本政治の専門家である曽根泰教教授によれば、日本の新聞と右派からの朝日への度重なる批判が示しているのは、東アジアにおける大きな変化を反映したものであるという。

●彼によれば、メディアはより極端化しており、「ソニーはサムソンに抜かれた」という右派にとっては不愉快な現実に示されているような中国と韓国の台頭に直面して、保守派はその勢いをますます増加させているという。

●また、朝日新聞では現場記者たちが幹部たちにたいして木村社長と共に辞任するよう抗議している。この状況に詳しい人によれば、昔の記者たちは朝日で働いていることを人に自慢できたという。ところが現在の彼らはどこの記者なのかと問われると、声をひそめながら「すいません、朝日新聞なんです」と言うようになったという。

===

客観的かつ冷静に見てますね。

これについてはメルマガのほうで少しコメントしてみます。




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by masa_the_man | 2014-11-23 12:51 | 日記 | Comments(12)
2014年 11月 21日

イギリスで「ウンコバス」の運用開始

今日の横浜北部は朝からよく晴れました。気温も昨日よりはやや温かいですね。

さて、ややくだらないと感じられるかもしれませんが、またまたイギリスからの話題です。

===


イギリスの最初の「ウンコバス」が人糞で走る

●イギリスでは人糞を燃料としたバスが初めて町を走ることになった。全40席の「バイオ・バス」は、下水処理や工場で植物を加工する際に出てくるバイオ・ガス(メタン)を燃料としている。

●このバスの燃料タンクは、普通の5人の人間が一年間に生み出す排泄物によるガスで満タンになるのだが、これによって300キロも走らせることができるという。

●このプロジェクトにかかわったリーダーたちは、この画期的がバスは町の空気の浄化にもつながり、人糞にも価値があることを証明したと述べている。

●このバスの「処女航海」は、ブリストル空港から歴史のあるサマセットのバースという町まで行く乗客を乗せることになる予定だという。

●燃料となるガスはウェセックス下水処理場を管理しているジェネコ(GENeco)という会社が製造しており、社長のモハンマド・サディグは「ガスで走る車はイギリスの街中の空気を改善する上で重要な役割を果たします」と述べている。

●「ところがバイオ・バスはそれ以上のものであり、実際は運行しているその地域に住んでいる人々によって動かされているのです。もちろんバスに乗っている本人が燃料を提供している可能性もあるんですよ」とはサディグ氏の弁。

●バスに乗っている人全員が一年間に出す人糞では、イギリスの南西端のランズ・エンドかスコットランドの北東端のジョン・オ・グローツまで往復旅行ができるくらいであり、しかもここで出す排出ガスはディーゼル・エンジンのものよりも少ないのだ。

●環境団体の代表を務めるシャーロット・モートン氏によれば、「このバスが証明しているのは、人糞と残飯が貴重な資源であるということです・・・人間の消費に適さない食料は独自の分類で収集し、嫌気性消化を通じてグリーンなガスと肥料にリサイクルされるべきであり、土に埋めたり燃やしたりして無駄にすべきではありません」ということだ。

●さらにジェネコは今週に入って、イギリスのガスのインフラを通じて人糞から発生させたガスを8300軒の家に配った最初の会社となっている。

●ブリストルにある下水処理場は、毎年7500万立方メートルもの活性汚泥と、3500トンもの残飯を処理している。

●酸素のない環境でバクテリアを使って分解する嫌気性消化という処理法を使えば、この処理上では毎年1700万トンのバイオ・ガスを製造することが可能だという。

===

この辺の取り組みについては、すでにヨーロッパや日本でもけっこう進んでいて、神戸なんかではすでにバイオガスを使った市バスが走っているとか。

少し調べてみると、このエネルギーそのものはかなり昔から使われているみたいですね。

ただしここまであからさまに「人糞使ってます!」という報道の仕方はあまりなくて、このイギリスの報道のようなタイプは珍しいというか(笑

こういうのを見ると、テクノロジーの進化というのは直線的に進むのではなく、一部は昔のものの復活という形を取るということもわかって興味深いですね。






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by masa_the_man | 2014-11-21 17:29 | 日記 | Comments(0)
2014年 11月 20日

イギリスの官僚は日本に学ぶ

今日の横浜北部は朝から寒く、午後遅くからかなりの雨になりました。

午後は久しぶりに市ヶ谷まで出かけまして国際地政学研究所のワークショップに途中まで参加してきたのですが、内容が濃くて非常に楽しめました。

さて、今週の生放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv197309655)でも紹介した、ちょっと意外な内容の記事の要約を。

出典はイギリスの「ザ・エスタブリッシュメント紙」であるThe Timesなんですが、ある教育関係のコラムニストが、なんとイギリスの公務員の幹部たちが「日本のマネージメントのやり方」を学ぶために来年から大学院に通わされることになることを報じております。

====

イギリスの官僚たちは日本の効率の良さを学ぶために大学に通う

by グレッグ・ハースト

●イギリスの公務員の幹部たちは、年間270万円の授業料のかかる修士のコースを受けて大学院で学ぶことになるという。ここで学ぶのは、日本の戦後経済を変革した「リーン」という「哲学」だ。

●この計画では、顧客の求める価値や、非生産的な活動の排除などを、イギリスの役所のシステムに導入することが狙われている。

●来年春にバッキンガム大学で教え始められるこの「哲学」は、イギリスの公務員の提供する公共サービス改革の中心的なものとなると見込まれている。この「哲学」を教えるようなコースは、すでにバッキンガム大学で14年も続いているものだ。

●この特別課程は2年間のパートタイム制の修士号のコースであり、問題解決やサービスの改善の仕方を教えられることになる。

●このコースに参加する生徒は、日本語を学び始めたり、少なくとも英和辞書を自在に使いこなせることなどが期待されている。

●彼らが最初に学ぶ重要な概念は「無駄」(muda)である。これこそがトヨタ自動車の生産システムに革命を起こし、常に改善して無駄をなくすというやり方は日本の産業界で広く真似されることになったからだ。

●また「改善」(kaizen)というアイディアも、このコースを受ける公務員改革を担う生徒たちにとって大切なスローガンとなるものだ。彼らは「あらためる」という意味の「改」(kai)と、「よくする」という意味の「善」(zen)を、いかに実現するかを学ぶことになる。

●この大学で「リーン生産方式」のコースを教えている講師は、入学してくる生徒たちに対して、このような言語の問題についてはとくに気にしなくてもよいと言っている。なぜならコース自体は、実習を中心としたものになるからだという。

●彼女によれば、生徒たちはウェールズのモンマス郡の役所や、英司法省、それに国民保健サービスの病院での実地学習を含む5日間の実習を行い、現場の抱える問題を分析するという。

●実習現場から大学に帰ってきて彼らが聞かれるのは、「どこに問題があり、そのサービスのパフォーマンスを向上させる方法はどのようなものか」ということだ。

●日本の製造業者たちが信奉するこの「哲学」について書かれた本は多いが、中でも英語版で参考になるのは、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーを取材して書かれたウォマック著の「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。―最強の日本車メーカーを欧米が追い越す日」と「Lean Thinking: Banish Waste and Create Wealth in Your Corporation 」の二冊である。
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●民間企業の場合と比べて、公務員には「顧客の求める価値に焦点を当てる」という任務は複雑である。たとえばそれが刑務所の場合は「顧客」とは、囚人や被害者、もしくは納税者か(広い意味での)社会ということにもなるからだ。

●この講師曰く、役所における効率の向上の必要性や、大臣からの「より少ない資産でより多くを行え」という指示から見えてくるのは、このようなマネージメントのアプローチが本当に必要とされているという事実だという。

●彼女は「イギリスの役所には、国民によりよいサービス提供するために、継続的な改善を行うための戦略が必要なのです」と言っている。

●このコースの卒業生たちは、イギリスの役人たちの仕事の効率を上げる以外にも、政府組織の改革を行う団体に所属して活動するという道も残されている。

===

これを「日本もすごいじゃん」ということはたしかに言えるわけですが、素直に喜ぶ前にいくつかの注意事項があります。

まず一つ目は、役所を始めとするイギリスの社会・公共的な部署の機能は本当にレベルが低い、という事実です。

これは役所に限らず、郵便局などのあらゆる「サービス」についても言えることですが、ごく一部を除けばイギリスの効率のレベルは本当に低い。在英日本人たちの間でよく言われていたのが、「イギリスはよくあんな状態で国が回っているなぁ」という、呆れたというか、むしろ感心したようなコメント。

かくいう私も何度か実体験を持っているので、この話を聞いた時にも「さっさと日本から学んでくれ」と思ってしまったほど(苦笑

そして二つ目は、この記事でも指摘しているように、彼らが見習おうとしているのは主に日本の製造業(とくに自動車産業)の「改善」の思想の部分であるということ。

つまり彼らが日本から学ぼうとしているのは、戦略思想というよりも戦術思想であり、習得しようと狙っているスキルが属する階層はやや低めのとことにある、ということです。

全般的に言えば、ここから透けて見えてくるのは、イギリスのエスタブリッシュメントたちがどこかで日本を恐れている部分がある、ということでしょうか。

他にも色々と書きたいことがあるのですが、これについては別の機会にあらためてまた。





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by masa_the_man | 2014-11-20 22:55 | 日記 | Comments(3)
2014年 11月 11日

クリエイティブな会社になりたかったらハリウッドに学べ

今日の横浜北部は朝から曇りがちでした。小雨も少し降りましたね。

さて、これから番組でも触れるのですが、数週間前のエコノミストのビジネス欄によい記事が掲載されておりましたので、その要約を。

これは私の問題意識にある「創造性」という部分にフックしました。

===

クリエイティブな資本主義:これからの企業はハリウッドに学べ

●映画産業というのは、エゴと行き過ぎがあふれる、きわめて特殊な業界だ。彼らの歴史のほとんどの期間では、新しい会社が大儲けした例はないし、古い会社も利益が安定しているわけではない。

●駄作に大金をかけて大失敗するというのはこの業界ではよくあることであり、たとえば1980年の「天国の門」は、チャーリー・チャップリンたちが1919年に創設したユナイテッド・アーチストという会社を潰したほどだ。

●ビジネス科の大学教授が映画関係者になることは少ないし、ハリウッドを研究の事例に使うこともほとんどない。ところがこの風潮は変わりつつある。

●その理由の一つは、他の業界のやり方が、いくつかの面で映画産業のそれと似通ったものになりつつあるからだ。

●今日の知識基盤経済では、会社のボスたちは気まぐれな「スター」たちを管理するのに時間をとられるようになっているし、食品や消費者製品のメイカーたちは、すでに映画のスタジオがやっているように、「より狭い分野での大ヒット作」を狙うようになっている。

●そして電機産業や車産業のように、製品の生産やブランドの立ち上げのペースはどんどん上がっているのだが、これはハリウッドが新しい映画を話題にする手法から多くのことを学ぶことができるのだ。

●さらに、映画製作というのはアメリカの成功物語そのものである。この業界はアメリカがいまだに世界市場を席巻してその状態を維持している、数少ない分野の一つなのだ。中国のチョリウッドもインドのボリウッドもこれほどまでに世界中の人々が並んでまで観る映画をつくることはできていない。

●アメリカの映画・テレビ産業の輸出額は年間160億ドルにのぼると見られている。

●創造的な人間を雇っているすべての会社は、彼らの自由な創造性を阻害せず、それをいかに商業的な利益に結びつけるのかを考えなければならないものだ。ところがハリウッドはこれについて百年にわたる歴史の蓄積による、貴重な体験を持っている。

===

この続きはこちらまで(http://ch.nicovideo.jp/strategy/blomaga/ar663048






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by masa_the_man | 2014-11-11 20:00 | 日記 | Comments(2)
2014年 11月 06日

クルーグマンが「日本に謝罪せよ」

今日の横浜北部は朝から曇りがちでして、時おり小雨が降ったりやんだり。意外と気温は高めです。

さて、少し出遅れましたが、毎度のクルーグマンの「日本に謝罪せよ」という主旨の主張の要約です。

この記事はすでに日本でも話題になっていて、いくつかのサイトでは部分的な要約がありますが、これは私の訳のバージョンということで。

クルーグマン自身はすでに何年も前から同じような主張をしておりますが、最新版ではこの主張がかなり明確ですね。現在は来日中で、安部首相にも面会したとか。

===

日本への謝罪
by ポール・クルーグマン

●ほぼ20年にわたって、日本は「注意を喚起する物語」でありつづけてきた。つまり先進国経済のやり方として「やってはいけない例」としての客観的な教訓をわれわれに見せ続けてきた

●結果的にいえば、日本は台頭に失敗した超大国であった。いつの日か世界経済をハイテクで支配するように見えたが、その後に終わりのないふけいきとデフレに苦しんでいるように見えたのである。そして西側の経済学者たちは日本の政策を手厳しく批判していた。

実は私もそのような批判をした人間の一人である。後に連銀総裁になったベン・バーナンキもそうだった。そして近年になって、私は日本に謝罪しなければならないと気付かされることが多くなった。

●ただし私は「われわれの経済分析が間違っていた」と言いたいわけではない。98年に私が発表した、日本が「流動性のワナ」にはまっているという内容の論文と、バーナンキ氏が日本に対して「ルーズヴェルト式の覚悟を示して問題解決に当たれ」とする2000年に発表した論文には、それなりの意味があったように思う。

●なぜなら、われわれのアドバイスはある意味で、西洋諸国のほとんどが陥っている、日本が経験した長期的なスランプにこそ当てはまるように見えるからだ。

●ただしここで重要なのは「西洋諸国が日本と同じようなスランプに陥った」という点であり、しかも深刻さは増した状態にあり、これが全く予期されていなかったという点だ。

●われわれは一九九〇年代に、「もし欧米が日本のような問題に直面していたとしたら、われわれのほうがもっとうまく対処できたはずだ」と考えていた。ところがわれわれは日本という参考になる例を知っていたにもかかわらず、そのような対処を怠ったのである。

●2008年の(リーマン・ショック)以降の西側の政策は、「逆効果」とまで言えないかもしれないが、それでも日本の失敗が些細なものに見えるほど不適切なものだった。そしてそのために、西洋諸国の労働者たちは日本が避けることのできた苦しみを味わうことになったのである。

●私の言う「西側の政策の失敗」には、以下のようなものがある。

第一は、財政政策だ。みなさんがご存知のように、1990年代初期に日本は公共投資の拡大を通じた景気刺激策をとっている。ところがあまり知られていないのは、96年以降に日本が消費税の税率を上昇させたにもかかわらず、公共投資を急速に縮小させ、景気回復の芽を摘んでしまったことだ。

●これは大失敗だったが、欧州における破壊的な緊縮政策や、2010年以降の米国でのインフラ投資の激減に比べればまだマシだ。日本の財政政策は、経済成長を促すには不十分なものであったが、西洋諸国の財政政策は積極的に成長を破壊してしまったのだ

第二の政策の失敗は、金融政策である。日銀は、デフレへの転落への対応が遅れたことや、回復の兆候が最初に見えてきた時に積極的に利上げをしてしまったことで、大きく批判されている。

●もちろんこれらの批判は当然と言えるものだが、日銀は2011年に欧州中央銀行が利上げを行って欧州を不況に陥れた時ほど、ひどいことをしたわけではない。

さらにひどいのは、スウェーデンの中央銀行のとった政策だ。彼らはインフレ目標よりインフレが低く、まだ失業率が高い中で、利上げを敢行したのである。このおかげで、現時点でスウェーデンは明らかにデフレに陥っているように見える。

●このスウェーデンの中銀のケースにおいて驚くのは、副総裁の中の1人の意見を無視したという点だ。

●世界的な金融エコノミストであるラーズ・スヴェンソン(Lars Svensson)副総裁は、日本のケースを研究してきた人間であり、「早すぎる利上げは悪い結果を招く」と中銀内で警告を発してきた人物だからだ。そして彼の警告は聞き入られず、実際にその通りのことが起こってしまったのだ。

●よって、ここでわれわれが問うべき問題は2つある。

●第一が「みんなはなぜここまで間違ったのか」、そして第二が、「日本の失敗を教訓として考えることができる優秀なエコノミストを擁していた欧米は、なぜ日本よりもひどい状況に陥ってしまったのか」ということだ。

●最初の問いに対する答えは、「切迫した状況に効果的に対処するには、従来行ってきた慣習的な政策を打ち破る必要がある」というになるのかもしれない。

●均衡財政への舵取りやインフレへの断固たる対処のように、慎重かつ高潔な政策というのは、往々にしてより深刻な不況を導くことになるのだ。

●ところが有力者たちに方針を修正させるのは、至難の業だ。これはワシントンのエスタブリッシュメントの人々の財政赤字恐怖症を見ればよくわかる。

●西洋諸国が日本よりも間違った政策を行ってしまった理由についてだが、私はわれわれの社会の中に深い溝が横たわっているからだと考えている。

●たとえばアメリカでは、保守派が中央政府そのものに対する嫌悪感をもっているために、彼らは政府が失業率を克服するための失業者を助けるような、いかなる動きも阻止するのだ。

●欧州では、ドイツが有形資産を重視する政策や緊縮政策を主張しているが、これは主にドイツ国民がヨーロッパの南部の国々を救済するいかなる措置に対しても、敵対的な姿勢を持っているからだ。

●私は近日中に、欧米が学ぶべき日本の現状について書くつもりだ。とりあえずわれわれが覚えておかなければならないのは、「日本はかつてわれわれに警告を与える失敗例であったが、今はわれわれのほうがひどい状態に陥り、日本は目指すべき模範例になったように見える」ということだ。

===

金融・財政政策の面で、最近の欧米の間違いを指摘するために日本を引き合いに出して「謝罪せよ」と言っておりますが、日本も「うまくやっている」かと言われれば、実際はそこまで自信を持ってもよいのかどうか。




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by masa_the_man | 2014-11-06 19:08 | 日記 | Comments(10)
2014年 11月 02日

ビルマ戦に参加した元英軍兵士の来日の真実について

今日の横浜北部は朝から曇りがちでして、時折日がさす微妙な天気。ここ数日はやけに暖かいですね。

さて、久しぶりの更新ですが、私が個人的に手伝っていたイベントについて少し。

本ブログを数年前の私の留学時代から追いかけている方はご存知かもしれませんが、私はイギリスに行っている間に向こうに在住の日本人の方からいただいたご縁で、ビルマ(インパール作戦)で互いに戦った日本と英国の元兵士同士の「戦友」としての和解を推進する協会のお手伝いをさせていただいております。

今回はその協会が歴史的なイベントを行うことになり、すでに日本のいくつかのメディアでも報道されているように、英国側の元兵士が来日して、日本側の兵士を会うとことになりました。

すでにこの元兵士の方(ロイ・ウェランド氏:93歳)は帰国されたのですが、私は数日ほど彼らのアテンドという形でお手伝いをさせていただきました。

現在は無事にイベントが終わってようやくホッとしている状況なのですが、日本のメディアではおそらく報じられない重要な事実があるので、ここに書いておきます。

それは、10月24日にこの兵士の方が靖国神社に昇殿参拝して、後に彼はこの参拝が今回の来日の中で最も感動したことだったと述べたことです。

そしてその理由が、「日本人側の勇敢な兵士たちの気持ちが、靖国に行ってよくわかったから」というもの。

もちろんこのウェイランド氏は、滞在中にメディアから何度もインタビューを受けており、今回の靖国参拝を最も感動的だったと答えているのですが、日本のメディア特有の「靖国タブー」に引っかかったみたいで、この部分はあっさりカット

とくに某メディアのインタビューアーは、あからさまに「平和」と「戦争はダメ」という言葉を彼から引き出そうとしていることが見え見えで、彼が現在も戦争をしているイギリスの「元戦士」として日本の「戦友」をリスペクトするために来たという本来の主旨を全く理解していないものだったそうです。

この手の和解事業というのは、往々にして日本側の戦後世代の人間が、勝手に向こうに行って謝罪をしてくるという構造があるわけですが、私がこの会の主旨に共感してお手伝いさせていただこうと思ったのは、彼らが政治的に中立で、互いに平等な立場で

お互いひどいことしたけど、戦友として互いを讃えよう

という方針があったからです。

ところが今回の日本側のメディアの報道の仕方を見ても、このようなプロジェクトの主旨をよく理解できていないものが多く、とくに靖国のところは何も触れておりません。

おそらくこのままだとウェイランド氏の率直な感想が歴史に埋もれてしまうと思い、とりあえずここに彼が私たちに向かって正直に言ってくれた言葉を書いておきました。

ちなみにウェイランド氏は93歳であるにもかかわらず毎晩の晩酌はかかさないようで、私と一緒にディナーに参加した時も、私の目の前でアサヒのスーパードライの味を絶賛しながら軽々と一本開けておりました。

足は少し弱っておりますが、頭は切れるし、とっても元気な方でした。
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by masa_the_man | 2014-11-02 23:19 | 日記 | Comments(10)