今日の横浜北部は晴れていたようですが、私はなるべく屋内に潜んでおりました。
さて、再び空自の「研修」についての報告の続きを。
F-15によるスクランブルを見学させていただいたあとは、基地内の食堂で幹部の方々とカレーによる昼食となりました。
カレーそのものは小松基地周辺の野菜などをふんだんに使ったオリジナルの甘みのある、しかししっかりと辛味のついたおいしものでしたが、空自の最近の「推し」である唐揚げも入っておりまして、なかなかのボリューム。
しばらく歓談したあとに、今度は
U-4という多用途支援機という、いわばプライベートジェットのような小型のジェット機に乗せてもらいました。
ここから何をするかというと、小松空港から日本海側に入った「G」という空域に入りまして、そこから南下しつつ、われわれの乗っているU-4を「領空侵犯をしてきた国籍不明機」という形にして、2機のF-15戦闘機が実際にどのようなアプローチをとるのか、その訓練風景を機内から見学するというもの。
これには同行した先生方も、めったに見れないものなので大興奮。
しかも自分たちは領空侵犯をする側(という想定)なので、個人的にはこの「迫られる側の視点」というものを偽体験できるのはありがたかったです。
20分ほどすると、機内にスクランブルしてきたF-15側からの無線による呼びかけの声が聞こえます。
それに対して領空侵犯機であるこちらがしばらく応答せずにいると、2機編隊のF-15が、われわれの飛行機の目に見えるところまで近寄ってきました。
そして何度か警告を無視していると、今度はなんと進行方向右側にいた1機のF-15の右脇から、警告として信号弾が発射されました。
その日は快晴の日だったので、弾が光を放ちながら飛んでいく様子はU-4の機内からは目撃できませんでしたが、驚いたのはその発射音。
やや火を吹いたように見えるF-15の脇から、突然、
「ドババババババッ」
とものすごい唸り音が機内に振動とともに聞こえて来たのです。
ここでわれわれの領空侵犯機は観念することにして、F-15に対して左右の翼を上下に振るという飛行をします。これがけっこう揺れるんですわ。
ここで訓練は終わりということで、そこから記念撮影に入ることになります。
5分ほどの間だった思うのですが、われわれのU-4の周囲を3機のF-15が次々とやってきて、その周囲を自由に飛び回ってポジションを変えながら撮影をしてくれていたようです。
後に贈っていただいた写真を以下に貼り付けておきますが、なかなかクールな出来栄え。
この訓練を見せていただいた3機ですが、機内から見えた機体番号を確認すると、
827
844
095
というものでした。本当にお世話になりました!
その後、われわれの乗ったU-4はそのまま入間に向かい、途中で積乱雲をさけて浜松方面からぐるっと迂回しつつ、1600前後には帰還となりました。
一連の訓練を見せていただいての率直な感想ですが、月並みですが、やはり対領空侵犯対処をやりつづけなければならない状況は改善させなければまずいと思いました。
もちろんこれが空自の主任務であるとはいえ、ただでさえマンパワーの足りなくなると言われている昨今において、中国とロシアを中心とした領空侵犯の数が今後も増えると予想されるなかで、現場への負担は増すばかり。
だからといって「憲法変えて撃ち落とせるようにしよう」とか、ギリシャ空軍のように「トルコ軍の戦闘機が侵入してくると容赦なく火器管制レーダーを浴びせる」ということもできないわけですが、無人化なども視野にいれて考えないことには行き詰まりしか見えません。
ということで、過酷な任務をこなす現場の人々に頭が下がるとともに、その負担を減らすための仕組みづくりが急務だなぁとあらためて感じた次第です。
現場からは以上です。