今日の横浜北部は朝から雨です。もう梅雨が明けても良い頃では?
さて、またグリギエルらの新刊の中身についてです。
前回のエントリーでは、主にスパイクマンのものを中心とした古典地政学の議論を現代に復活させた点で重要な本であることを指摘しました。
それを受けて、グリギエルらがアメリカにとってなぜ同盟が重要だと説いているのかといえば、その地政学的な機能として3つの特徴があるからだと第5章で議論しております。
1つ目が、戦争を抑止してくれること。
アメリカは冷戦開始の頃から世界中に同盟ネットワークを張り巡らせているわけですが、グリギエルらはこのおかげで大、規模な大国間同士の戦争が勃発するのを防止できたといいます。
2つ目が、ライバル国の封じ込めに役立つこと。
すでに何度も述べているように、アメリカのライバル国というのはロシア、中国、イランなわけですが、この3カ国はスパイクマンの説く「リムランド」に位置しており、この地域をグリギエルらは「アメリカにとってのフロンティア」と位置づけております。
そしてこのフロンティアにはアメリカの同盟国が存在し、彼らはアメリカと同盟を組むというその事実だけで、ライバル国たちが無用に拡大しようとするのを防いでくれていると説くのです。
3つ目が、アメリカと一緒に現状維持側にまわってくれること。
グリギエルたちにとって、小国というのは国際社会(システム)が安定しているバロメーター。
なぜなら小国が普通に生き永らえることができるというだけで、そこには小国が大国に飲み込まれるような熾烈な生存競争が発生していないことがわかるからです。
そしてライバル国たちが現状維持のアメリカに対抗してまず最初に行うのは、周辺の小国たちを飲み込むこと。
そのためにライバル国たちが行う小さなステップを、グリギエルらはこれを「探り」(プロービング)と呼ぶわけです。
もちろんフロンティアにいる小国たちは抵抗(バランシング)をせずに、(現在の韓国のように?)そのまま飲み込まれてしまう(バンドワゴニング)こともあるわけですが、とにかく自国の存続に関しては敏感にならざるを得ません。
そうすると、彼らの行動の中には、必然的に現状維持、つまり現在ではアメリカ側の秩序を守ろうという意志が発生しやすく、そのような行動に出ることも多いということなのです。
このようなグリギエルたちの説明を聞いていると、やはりそこには古典地政学の実に大きなアイディアが見えてきます。
それは「島国家」と「ユーラシア大陸」との関係性というものです。
ここまで書いて時間切れです。つづきはまた明日。
(ワシントンポスト紙とダンキンドーナツ)