今日の横浜北部は晴れて暑くなりました。
さて、引き続き競争戦略の話を。
中国に対する競争戦略のアプローチによる選択肢として、間接的に国内で反乱を煽ったり、一帯一路に参加して過剰拡大を狙うという2つの方法があるという話をしてきました。
もちろんこれらはあくまでも理想論でありまして、実際にこれを行うとすれば、実践面でいくつもの困難に直面することは間違いありません。
ただしそのアプローチのロジックに共通するのは、いずれも
大戦略レベルにある、
「相手の財布の中身を研究する」
ということ。
当然ながら、戦略関係の書物の中では、この「財布の中身」に最も鋭く言及しているのは『
孫子の兵法』であります。
たとえば前半の「作戦篇」には、
「兵は勝つことを貴ぶ。久しきを貴ばず」(戦争は勝利を第一とするが、長期戦になることは避けるべきである)
という有名な言葉がありますが、これはその前後の文脈でもわかるように、長期戦にかかる国家資源に関するダメージを指摘したものです。
もちろん戦争状態ではなくとも、一帯一路のような海外へのインフラ投資への展開というのは、基本的に物理的な拡大として、国富をとてつもなく使用するもの。
そうなると問題なのが、そのような国の財政状況として、どこまでそのプロジェクトを維持できるか、という点になってきます。
ところが現在の中国のような状況では、その拡大の勢いはありますから、物理的なだけでなく、心理的にも拡大傾向。
その結果として起こってくるのが「慢心」であります。
古代ギリシャの時代から、人間や国家の行動に悲劇をもたらすのはこの
慢心であることについては何度も言及されております。
そしてその慢心につけこめ、いやむしろ相手の慢心は大歓迎である、という前提を持っているのが競争戦略であることは、ここまで本ブログをお読みのみなさんもすでにご承知の通り。
「だったら現在の中国の拡大は弱点だらけだから、われわれにとっても都合がいいじゃないか」
ということも言えそうです。
ただし故アンドリュー・マーシャルは、ソ連と違って、現在の中国の拡大については非常に警戒していたと言われております。
なぜなら、その拡大の質が、ソ連の時のそれとは大きく違っているからです。
ここまで書いて時間切れ。続きはまた明日です。
(ミュータント本部)