今日の横浜北部は朝からよく晴れておりまして、しかも温かい。上着なしで出てきました。
さて、いよいよルトワックの大戦略について。
ルトワックは「大戦略」(grand stategy)に関するものとしては、以下の4冊で集中的に書いております。
『
クーデター入門』によって衝撃のデビューをかざったルトワックですが、そのキャリアは英陸軍の兵士からはじまり、現在は米軍や世界各国の政府アドバイザーを務めるところまで至っている中で、大戦略についてはその当初から大きな関心を持っていたと言えるでしょう。
まずルトワックは「
クーデター入門」を書いた前後にイスラエル軍に参加して戦車大隊などを率いているわけですが、その後にアメリカにわたり、ペンタゴンなどでコントラクターとして様々なプロジェクトに関わるうちに、ジョンズ・ホプキンス大学の博士号課程に入学することを決意します。
その当時は、周囲の人間たちが核ミサイルの技術関連で博士号をとっていたために、自分もミニットマン3ミサイルの戦略的運用について書けと言われていたらしいのですが、ルトワック自身は
「どうせだったら自分が読み書きできるラテン語の文献を使って、さっさと論文完成させたい」
と思ったらしく、博士号の概要を教授たちの前で説明する面接に出た際に、口から出まかせの勢いで、
「ローマ帝国の戦略を書きます!」
とメンチを切ってしまったらしいのです。
ルトワックは一瞬「しまった」と思ったらしいのですが、「ローマの戦略か、いいねぇ」と自分でも納得したらしく、それから半年間図書館にこもって論文を一年以内に書いて、1975年に完成させてしまったとか。
この時の博士号論文のタイトルは、
「ローマの帝国的安全保障における諸戦略における強制力と外交」(Force and Diplomacy in Roman Strategies of Imperial Security)
というもので、ズバリ「大戦略」という言葉は入っておりませんし、論文の中にもほとんど出てきません。
後にこれを一冊の本としてまとめたものが、彼にとっての4冊目となる『ローマ帝国の大戦略』となったわけですが、ここまで書いて時間がなくなりましたので、続きはまた明日。
(ルトワックの本棚)