中国の駐英大使、安倍氏の靖国参拝を痛烈批判 |
正月は親戚の家などに入り浸っていたのですが、本日から本格的に活動再開です。
さて、その最初に紹介する記事なんですが、前回のルトワックにかんする「日本孤立化」のニュースに関連したものを一つ。
すでに話題になっておりますが、中国の駐英大使が安倍政権に痛烈な批判を掲載しましたのでその要約を。
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中国とイギリスは一緒に戦争に勝った
by 劉暁明(Liu Xiaoming )中国駐英大使
●ハリーポッターでは悪役の魔術使いであるヴォルデモート卿が死んだが、これは彼の魂を閉じ込めてある七つの分霊箱(ホークラックス)を破壊されたからだ。日本にとってのヴォルデモートが軍国主義なら、その分霊箱にあたるのが東京の靖国神社であり、その国家の最も暗い部分を表したものだ。
●先週(12月23日)に日本の安部首相は、アジアの近隣国の感情を逆なでするかのように、14人のA級戦犯――これは「平和にたいする犯罪」と定義されている――が祀られている靖国神社を参拝した。この14人は、第二次大戦終了後の東京裁判で有罪判決を受けた日本の政治と軍の主導者たち28人の中に含まれている。
●靖国神社は150年以上前に設立されており、アジアの人々は日本の軍国主義者たちがそれを侵略戦争のシンボルとしてどのように使われてきたのかをよく知っている。戦争犯罪者を崇め奉っているのを見せつけられるのは非常に侮辱的なことだ。
●彼らは第二次大戦中に無数の人々に無情の苦しみを与えたことにたいして有罪を受けたのであり、安倍氏の訪問により中国や韓国、そして国際社会から強い非難が起きているのは不思議ではないのだ。
●靖国参拝は単なる日本の国内問題や日本の政治家にとっての個人的な信条の問題ではない。しかもこれは日中・日韓問題というわけでもない。その底で試されているのは、日本が本当に信頼に足る存在なのかどうかという点だ。
●今回の参拝は日本の態度や軍国主義、侵略、そして植民地支配の歴史について、重大な疑問を投げかけるものだ。ここで問われているのは、日本のリーダーが国連憲章の目的と原則を守り、平和を保とうとしているのかどうかという点だ。
●これは侵略と非侵略、善と悪、それに光と影の選択だ。残念なことに、安倍氏は軍国主義が日本で再び出てきていることをあらわしてしまったのだ。
●安倍氏がいままで行ってきたことが何よりの証拠だ。2012年に政権を握ってから、彼は熱心に正義と民主制度、それに平和と対話を口にしている。ところが実際の行動は逆で、彼は日本の過去の軍国主義の過去を悔い改めていないし、それにたいして謝罪をしようという姿勢も見せていない。
●彼は自国が「侵略者」だったかどうかさえ公式に疑問を表明しており、自国の侵略と植民地支配の歴史を最大限美化しようとしている。
●2013年5月に安倍氏は中国と韓国にたいして731という数のついた戦闘機に乗ったところで写真に収まっている。これは中国で人体実験をしていた悪名高い生物実験をしていた部隊の名前だ。
●このような前例があるために、世界は彼にもっと注意すべきであった。安倍氏はアメリカに押し付けられた戦後の平和憲法の改正を望んでいる。同じような注意は彼の同僚の副総理である麻生太郎氏にも向けられるべきだ。彼は日本が「ナチス・ドイツから憲法改正のやり方を学ぶことができる」と述べた人物だ。
●安倍氏は中国が脅威であるというイメージを熱心に広めようとしており、これは争いの種をアジア太平洋地域の国々の間に植えつけるものであり、地域の緊張を高め、それによって日本の軍国主義を復活させるための便利な口実にしようとしているのだ。
●去年のことだが、私はある新聞の記事で東シナ海の尖閣諸島についての重要な原則について説明した。そして日本の挑発には深刻な結果が待ち受けていることを指摘している。
●私の見立てでは、今回の安倍氏は靖国参拝によって瀬戸際外交を続けている。これによって日本の過去の戦争犯罪の記憶に火をつけたのだ。
●われわれは歴史の例から、戦争に負けた国は二つの選択肢に直面することを知っている。一つはドイツのように、軍国主義を真摯に反省して謝罪することだ。ドイツのアプローチは地域の安定と世界平和に貢献しており、世界全体から尊敬を集めている。
●もうひとつの選択肢は、過去の侵略を否定し、軍国主義を再び台頭させて戦争の脅威となることだ。残念なことに、安倍氏の行動は彼がこの二つ目の選択肢を好んでいることをあらわしている。彼はどうやら日本を危険な道へ引き釣りこもう決心しているようなのだ。国際社会は警戒すべきであろう。
●来週には「鉄道員」(The Railway Man)という映画が公開されるが、これは史実をベースにしたものだ。これは第二次大戦におけるイギリスの戦時捕虜が日本兵に拷問を受けたという悲劇的な内容なのだが、日本側が与えた苦痛だけでなく、日本兵が自分の過去に悩まされるという話でもある。彼の救済は深い反省と懺悔によってのみ贖われる、というものだ。
●中国とイギリスはともに戦争を戦った同盟国同士である。われわれの兵隊は肩を並べて日本の侵略者たちと戦ったのであり、莫大な犠牲を払っている。この戦争から68年がたったが、日本の中には戦争犯罪の良心の呵責を全く見せない頑固な人間がつねに存在している。彼らはそのかわりに歴史を再解釈しようとしているのだ。
●彼らは世界の平和にたいする深刻な脅威である。中国人はこのような試みを許すわけにはいかないだろう。私はイギリス人と平和を愛するすべての人々がこの事態に無関心ではいられないと確信している。
●中国とイギリスは、共に第二次大戦の戦勝国である。われわれは人類にとって偉大な利益をもたらした戦後の国際秩序の構築ににおいてカギとなる役割を果たしたのだ。われわれ二国は、平和的な戦後の総意を無効化し、国際秩序に挑戦しようとするいかなる言葉や行動にたいする反対を、国際社会に働きかけるという共通の責任がある。
●われわれは共に国連憲章を遵守し、地域の安定と世界平和を保護することに務めるべきである。
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これについては数日以内に再びメルマガのほうでコメントします。