偉大な本 |
本日は所属する学会の編集委員会があったので参加してきましたが、なんと旧仮名遣いで投稿してきた論文があったので会議が大揉め。
投稿規定には「原則として日本語で」と書いてあるわけですが、旧仮名遣いとは完全にサプライズでした。
さて、先日実家のほうに行ってきたときに見つけてきた昔の本をご紹介します。
Great Books: My Adventures with Homer, Rousseau, Woolf, and Other Indestructible Writers of the Western World
by David Denby
カナダ時代に向こうで買った本なのですが、内容は48歳のベテランの映画評論家が、何を思ったのか突然コロンビア大学の人文学の西洋の基本文献を網羅するコアコースに入り直して、若い奴らと一緒に受けた授業をレポートするというもの。
もちろん生徒たちは20前後の若い奴らで、しかも西洋文明の古い文献の素晴らしさなどは理解していないようなのばっかりなわけで、片方は人生経験を積んだオッサンが、これまた批判的な目で自分と同じような年の教授たちから授業を受けるわけですから、その認識のギャップなどがこれまた面白い。
読まされるのはホメロス、プラトン、アリストテレスから聖書、ロック、それにシェークスピアからヴァージニア・ウルフまで幅広く、これを授業ごとにならべて詳細なレポートにしております。
今になって考えてみると、この本は自分がこのブログを始めるきっかけにもなったという意味で大変貴重なものなのですが、とにかくこの授業を受けている風景と、宿題で読まされている文献についての独特な見方がとても興味深い。
とくに私はこの本が出たのと同じ時期に同じような授業を受けていたので、かなり親近感を持って読んだ記憶があります。
印象的だったのは、聖書の授業でユダヤ人の女の子が大騒ぎし始めたことや、あとは最初の授業で「人文学の授業はWASPや死んだ白人男性(DWM)、それに西洋文明(WC)によって書かれたものだと批判されてきたが、それは全部ウソだ」と教授が宣言した部分などでしょうか。
かなり分厚い本(460頁以上)ですが、英語が読める方だったら、その読みやすさと授業中のエピソードの面白さに引き込まれてしまうこと請け合いです。