陰謀論好きな人たちの傾向 |
さて、昨日の話のつづきを。
これも私の長年の観察による勝手な偏見なのですが、どうも「陰謀論」が好きな人たちにはいくつかの傾向というか、共通項のようなものがあるのではと感じております。
それは、彼・彼女らが「美しくて理路整然としたものが極端に好き」ということです。
ところがわれわれが生きている現実は、実はかなりカオス的でありまして、地理や物理や天文学のような自然科学の分野ではたしかにきっちりとした法則があるわけですが、どうも人間が絡んでくる社会面では、それこそバラバラでぐちゃぐちゃな実態があるわけです。
もちろんこれを克服しようとして人間が長い時間をかけて開発してきたのが「組織」であったりするわけですが、これをつかってもうまく他人を規律正しくコントロールできるかどうかというのは別次元の話。
ということで、結果的にわれわれは自分の部下や上司、それに恋人や自分の子供さえ(さらには自分自身でさえ!)満足にコントロールできないわけですが、なぜか国家や社会の現象となると、不思議と「誰かが上でうまくコントロールしているんだ!」と考えがちの人が出てくるのです。
ところが人間は他人をなかなかコントロールできません。できないから苦しいわけです。ここに「苦」というすごい概念が出てくるわけですね。
しかし何度もいいますが、私はいわゆる「上」の人たちが、社会や世界をコントロールしたいという動機や衝動を持っていることは否定しません。しかしそれが現実にできるかどうかは別問題。
そしてこれが「できる」と考えてしまいがちな人たちというのは、どうやら「自分はうまくコントロールできないけど、誰かにはうまくコントロールしていて欲しい」という隠れた願望を持っているんだと考えています。
そしてその願望は、実は「美しく整った世界」へのあこがれから来ているものなのかと。
陰謀論の説明というのは、ある意味で「キレイなスッキリとした解釈」を与えてくれるわけですが、それが本当に「真実」かどうかというのはあまり関係がないみたいですね。
ということで、陰謀論を信じる/信じないはもちろんみなさんの勝手ですが、私は正面からカオスな現実世界を見据えることができないとなかなか「大人」になれないかなぁと感じております。