明日の京都産業大学での発表資料 |
本日の夜は私がお世話になっている国際地政学研究所の開催する北朝鮮ミサイル懸案についてのワークショップが開催されます。
おそらくメディアの方も相当数が来られると思いますので、お時間のあるかたはぜひお越しになってみてください!
さて、その翌日である土曜日の午後に、私は戦略研究学会の年次大会(PDF)で発表することになっておりまして、今回は京都産業大学のキャンパスに二日間の日程で参ります。
その発表の先立ちまして、今回の発表のレジュメ的なものをここにメモ代わりに書いておきます。会場に来られないかたもぜひ参考にしていただければと思います。
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タイトル:戦略学における戦略論の現在
本研究発表では、英語圏における戦略研究(strategic studies)の議論の中でも、とくに戦略そのものについて議論を中心に、最新動向を概観しながら分析するものである。
戦略研究というのは第二次大戦後にイギリスとアメリカで本格的に研究が始められ、冷戦という時代背景から核戦略を中心に議論されてきたが、近年は当然のように冷戦後から911事件を踏まえての対テロ戦や対暴動(COIN)が取り上げられはじめ、安全保障と戦略環境と密接に議論されるテーマが変化している。また、このような経緯からわかるのは、アメリカとイギリスではそのアプローチが若干異なり、イギリスは戦史、アメリカはイシューごとに社会科学的なアプローチを行う傾向があり、これは国際関係論の文献でも似たよう傾向がある。
このような経緯を踏まえて、本発表では最近の戦略研究を大きく二つの面から論じてみたい。第一が二〇〇五年以降の戦略研究の流れと、そこで議論されているテーマについてである。二〇〇三年にはじまるアメリカのイラク侵攻と、その後から始まった対暴動(COIN)の議論を中心に、戦略研究では最近の流れとして七つの大きなトピックが挙げられることを紹介する。具体的にいえば、その七つとは、COIN、中国の台頭、サイバー戦、戦争終結論、経済と軍備、戦争の様相の変化、そして軍のイノベーション/アダプテーションである。
第二は、戦略の本質と国防計画についての議論だ。クラウゼヴィッツは、戦略とはそもそも「賭け」の要素が強いと述べているが、これこそが戦略家が対処しなければならない最も困難なテーマであるということを説明する。近年ではカオス理論やインテリジェンスというトピックに注目が集まるが、これはなぜ戦略の本質の理解についてのわれわれの理解を進めてくれないのであろうか?アメリカの国防費の削減や、不透明な東アジアの安全保障の状況を受けて、われわれは国防計画をどのように行えばよいのだろうか?そしてそこには戦略研究から得られる画期的な解決法があるのだろうか?本発表ではこのような疑問について、ごく簡潔に議論してみたい。
発表時間:30分
質疑応答:10分
イントロ:戦略研究の略史
パート1:最近の七つのイシューと主要文献のレビュー
パート2:戦略とは何か?その本質についての議論と国防計画についての有用性
まとめ:戦略研究の今後の課題
以上です。