S・ジョブズ氏とW・バフェット氏の違い |
さて、日頃から私は戦略や欧米思考についてブログを書いているわけですが、「アメリカ通信」というメルマガも運営しています。
そこでも面白い内容をお送りしたく、スタッフの方々と週一回は必ずブレストしています。
実は私だけがすべてを書いているわけではなく、スタッフの方々にもたまに書いていただいているわけですが、年末年始には私が体調不良でダウンしたこともあり、その間に書いていただいていたことが多かったわけです。
そんなときにビジネス系のネタとして以下のような興味深い記事も書いてもらいました。面白いと思ったら是非御登録下さい。
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2013年01月07日 S・ジョブズ氏とW・バフェット氏の違いとは?
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共同管理人の和田です。
今回は、ビジネスに纏わる話題をお話しようと思います。
さて、皆さんは、ウォーレン・バフェット氏をご存知でしょうか?
世界一とも称される、アメリカの有名な投資家ですが、
それだけでなく、倒産の危機に陥った会社をいくつも復活させるなど、
事業家としての手腕も超一流の人物です。
彼は時代を遠く見通す目を持ち、「社会通」であり「人間通」です。
彼が率いるファンドが、約40年間に渡って、
複利で20パーセント以上という、
驚異的な成績で運用し続けることが出来た秘訣は、
偽物の経営者を見分け、彼独自の成長の定義を行い、
本質を見抜き続けた結果ではないでしょうか。
-:-:-:-
ここで、バフェット氏の興味深い視点をご紹介します。
「"すぐれた社長が経営する会社"と
"すぐれた事業モデルがある会"のどっちに投資すべきですか?」
という質問を受けた際に、彼は
「どんな愚か者にも経営を任せられる"すぐれた事業モデルの会社"
の株を買いたい。なぜならいつかは愚かな経営者が現れるからです」
と答えました。
社長が「アホ」(笑)でも務まるビジネスモデルや
ブランドを持った会社がすばらしい会社だということです。
これを「戦略の階層」的な思考に沿って考えてみると、
壮大な事業モデル(ビジネスモデル、ブランド)をシッカリと構築すれば、
その構造に基いて業務を行う社長ですら、
業務としてやっていることは「戦術」レベルの仕事…ということになります。
例えば、いわゆる"バフェット銘柄"といわれる、
コカ・コーラ社などは、株主は大きく経営に関与しなくても
優れたビジネスモデルの下で、雇われの社長が、しっかり稼いでくれています。
"バフェット銘柄"を分析してみると多くの示唆が得られますが、
それを大きく言えば、
「戦術」の間違いは『戦略』で補ることができますが、
『戦略』の間違いは「戦術」では補うことはできない。
ということだと思います。
-:-:-:-
もう一人、皆さんお馴染みの事業家を取り上げてみます。
それは、故スティーブ・ジョブズ氏です。
誰もが天才であると認める彼ですが、
復帰してからの短期間に、当時、低迷と混迷を深めていたApple社を
あっという間に世界一の時価総額にしたのですから、
その優れた業績を疑う余地はありません。
ジョブス氏は、Apple社を創業しつつも一度追い出されたり、
いわば、IT業界という壮絶な大激戦の中で
前のめりで倒れ、何度も起ち上がり、そして派手に散っていった、
と言ってもよいのではないでしょうか。
さて、ここで皆さんもちょっと考えてみて下さい。
ジョブズ氏の死後、果たしてApple社は何年くらい持つでしょうか?
現在のCEOであるティム・クック氏も優れた経営者ですが、
このIT業界という激流の中で、ジョブズ氏のように、
次々と「ビジネスモデル」や「コンセプト」を刷新し、
Apple社を成長させ続けることができるのでしょうか?
Apple社に纏わる最近のニュースの中に、
いくつか、ちょっと気になる話がありました。
例えば、地図データが未完成の状態のまま、
MapアプリをiPhone5(iOS)に搭載して発表してしまい、
クック氏自らが謝罪コメントを発表したという件。
また、タブレットPCの分野では断トツの人気を誇るiPadですが、
そのiPad上で動作する、Amazon社の電子書籍リーダーアプリ
(=アプリ版キンドル)が存在している以上、
Amazon社は電子書籍の購入を、ユーザーと直接行うことができ、
Apple社としては、音楽ダウンロードの分野で確立したような、
ユーザーをがっちりと自らのテリトリーに囲い込むという作戦が
通用しなくなってしまいました。
ジョブズ氏が存命ならば、このようなことは
絶対許さなかったであろうと思います。
-:-:-:-
かの有名な戦略家、孫子の言葉に、
「戦わずして勝つ」という言葉があります。
あえて火中の栗は拾わない、バフェット氏の投資哲学は、
これを信条としているように、私は思います。
今回、ご紹介したバフェット氏とジョブズ氏の違い
というのは、詰まるところ、
「世界観」をどう構築するか?
というところがポイントです。
このように、「戦略の階層」という思考・発想を活用すれば、
バフェット氏やジョブズ氏のような、
世界レベルのキーパーソンの分析だけでなく、
あなたの取引先の会社や、人物が、
どのような「戦略」や「戦術」に基いて動いているのか?
ということを読み解く際に、大きな力になってくれると思います。
「戦略の階層」を、日々の活動の中で
どんどん使い倒して(笑)下さい。