戦略についてのある論文:その7 |
多くの人々はこのような質問に鈍感であり、戦略というのは「政策」と「作戦」の間にある明確なプランであり、この二つを別々に考えるのではなく、お互いに結びつけるためのアイディアであるということをすっかり忘れている。
たとえば政治家のような実践者は「戦略」と「政策目標」を混同することが多く(単純に軍隊が敵を望ましい方向に向わせてくれると勝手に想定しつつ、自分にとって望ましい結果とは何なのかと考えたがるのだが)、逆に軍人は「戦略」と「作戦」を混同しがち(軍事面での大きな成果は大きな政治的効果につながるものだと勝手に想定しつつ、攻撃目標の破壊の仕方や、戦術的な敵の打ち負かし方ばかり考えたがる)なのだ。
政治家も軍人もそれぞれの分野で自分たちがこなせる以上の仕事を常に抱えているものであり、しかもどちらも熱心に相手と自分の仕事の関連性(戦闘による目標の達成というメカニズムをそなえた、目標と作戦の間にある「橋」)を四六時中考えているわけではないのだ。
したがって戦略というのは、彼らが没頭している仕事の合間にたまたま見つけた「スローガン」や、ろくに検証されもしない「想定」のようなものになってしまうのだ。