北極海開通のメリットとデメリット |
仮に北極海航路が利用可能となった場合のメリットは、北極海経由の日本から欧州への航行距離がおよそ7,000マイルと、スエズ運河経由のおよそ11,000マイルに比較し約4割短くなることにより、所要日数の大幅な短縮と燃料消費量の削減に伴う、温室効果ガス(CO2)・硫黄窒素酸化物(SOx、NOx)などの排出量減少も期待できるという点である。また、極東から欧州に向かう際、日本が極東側の最終寄港地の1つとなり得るため、日本が欧州航路のハブポートの機能を担う可能性を秘めている。さらに、北極圏での資源開発を後押しすることができよう。
一方、商業ベースで北極海航路を安全に安定的に航行可能とするための課題は、ロシア沿岸を一番南側のルートで通過する場合、喫水制限のある海峡を使うことになるといったルート選定、保険の付保の扱いをどうするのか、航路の安全確保ための管制体制構築等であり、地道な検証・対応を通じて克服する必要がある