ハワードの講演の内容 |
今日のイギリス南部はスッキリ秋晴れでして、夕方にはかなりゴージャスなピンク色の夕焼けが見えました。
先週末にうちの学校で行われた「自由主義の戦争方法」というカンファレンスの模様をお伝えするつもりだったのですが、会場ですでに頭痛とノドの痛みがあり、部屋に帰ってきてから早めに床に入ったものの、その後二日間は部屋にこもってひたすら寝ておりました。
ほとんど熱は出ず、鼻水と頭痛だけだったので豚インフルではないと勝手に考えておりますが、とにかく寝て治しました。今日から活動再開です。
さて、カンファレンスでの内容について少し。
日本でも数冊訳されているサー・マイケル・ハワード(Sir Michael Howard)をスペシャルゲストに迎えて行われたカンファレンスですが、この人は私の学部の二人のプロフェッサーと少なからず因縁があり、私の先生の博士号論文の外部審査官、そしてもう一人の女性教授のオックスフォード大時代の指導教官がこのハワード氏だったそうです。
この日のハワード氏の講演は、日本でも翻訳が出ている「戦争と知識人―ルネッサンスから現代へ」War and the Liberal Conscience をベースにしたもの。
私はこの本を日本の実家に持っているのですが、実は積読状態でして、予習してこなかったことが悔やまれました。
基本的な内容としては、啓蒙主義から影響を受けたリベラルは「一つの方法で全てを解決できる」と信じていたのだが、これは現在の多様化する世界ではかなり厳しい、というもの。ネオコンのような「自称リベラル」が戦争を起こしている実情も例に出しておりました。
そういえば「リベラル社会のほうが大戦争をやっていて、独裁制国家のほうが限定戦争ばかりやる傾向がある」という毒のある指摘もチラリ(笑
結局のところ、リベラル社会で戦争を行うためには国民といかに「インフォームド・コンセント」という手続きをえて、そこからどうやって「権威」(authority)を作り出していくのかの問題が大きいと言っておりました。
また、欧米の「自由」と他の文化圏にある「自由」の概念が違う、という戦略文化につながることも論じており、これをイタリア青年党のマッチーニなどの言葉などを引用しながら説明しておりました。
この後には私の先生の番だったのですが、具体的には拙訳『戦略の格言』の中の「格言4」を少し掘り下げたもの、そして他のゲストの講演があったのですが、私は体調不良だったのでパスしました。
明日は今日あった火曜日ミーティングの内容について説明します。