ランチミーティング再開 |
こっちのメディアでは最近イギリス政府がMI5の新たな情報を公開したとのことで連日のように報道がありまして、インテリジェンス関係の研究者には垂涎の状況が続いておりますね。
私はこの分野は専門じゃないのですが、それでもインテリジェンスは戦略の階層のけっこう上のほう(世界観)に影響を与えることなので、ちょっと気になります。
さて、久々にコースメイトたちに会ってきましたのでその報告を。
我々のような戦略学のドクターコースをやっている研究生たちは、今学期も毎週火曜日の昼から一時間だけインフォーマルなランチミーティングを行うことになりました。
ところが今学期から少し趣旨が変わりまして、持ち回りで生徒の一人が20分ほど議論したいネタをみんなの前で語り、それについて集まった人々の中で議論をする、ということになったのです。
ネタは戦略や安全保障に関することだったらなんでもいいのですが、とにかく約束としてはみんなの興味を引くネタを10分〜20分以内で語ること。
内容については自分が本気で信じていようといまいと関係なく、とにかく議論を戦わせるようなものであればオッケーとのことです。
来週の火曜日に発表する人はすでに決まっており、イギリス人の若い軍人志望だった生徒が「インターネットの物理地理」という感じのネタを発表すると言ってました。
これは拙訳『進化する地政学』の中のローンズデール氏による「インフォメーション・パワー」という章とけっこう近い内容を話すのではないかと。
今回のミーティングはこのような事務的な内容を説明しただけで終了したのですが、その後にみんなで先生のオフィスに行ったときに、先生が現在教えている学部生レベルの戦略学のクラスのシラバスをもらってきました。
ここで書いてあったことが本ブログをご覧のみなさんの参考になるかと思いましたので、とりあえず書きだしておきます。
内容はズバリ、学期末に提出する小論文(エッセイ)のテーマです。
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★今学期末(12月はじめ)までに提出するエッセイのテーマを、以下の三つの中から選べ。
1、クラウゼヴィッツは『戦争論』の中で、戦争には変わるものと変わらないものがある、ということをこと色々な箇所で説明しているが、その中のどの主張が一番説得力のあるものだと思う?
2、産業革命が戦争に及ぼした影響は何か?
3、第一次世界大戦に参加していた国々は、決定的な勝利を達成する収めるためにこれほどまでに莫大なコストがかかり、しかも大変だったことに驚いたわけだが、これはなぜ?
★来学期末(4月はじめ)までに提出するエッセイのテーマを、以下の四つの中から選べ。
1、第二次世界大戦というのは、やはり第一次世界大戦の(講和条約を含む)結果から生まれたものだろうか?
2、なぜ冷戦は第三次世界大戦の勃発につながらなかったのだろうか?
3、「クラウゼヴィッツは戦争についての適度な理論を提唱したが、まだ平和についての適度な理論は存在しない」これについて議論せよ。
4、トゥキディデスは、(戦争の決定を含む)国家を動かす際に、最も重要な動機となるのが「恐怖、名誉、利益」であると説いたわけだが、自分の好みの紛争の例を二つ使って、このギリシャの歴史家の有名な三位一体論を分析せよ。
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以上です。
どれだけ書けばいいのかはまだ知らされてませんが、おそらくワードで10枚くらいの分量でまとめるものかと。
学部生にこの質問はちょっと厳しいですかね?
ちなみにこのコースのメインの教科書はこれです。
War, Peace and International Relations: An Introduction to Strategic History (Strategy and History)
by Colin S. Gray
「我田引水」的な気がしないでもないですが(苦笑
副読本などについてはまた後ほどご紹介していきます。