↑新刊:戦略の格言↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。
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ロンドン大学の院生の試験問題に朝鮮!
今日のイギリス南部は朝から雲一つない快晴でして、気温もそれほど低く快適な一日でした。

さて、今日は時間もないので、ロンドン大学のC教授のところでもらってきたシラバスにあった、去年の実際の年末試験で出た問題をリストアップしておきます。

もちろんこの問題に対する「正しい答え」というものはなく、ロンドン大学の学生たちは、先生の講義の内容や必読文献を参考にしながら、三時間以内にこれらの質問についてそれぞれ小論文を書くことになるわけです。

もちろんここでは皆さんに答えろというわけではありませんが、本ブログをご覧のみなさんで「われこそは」とお考えのかたは、ぜひ本エントリーのコメント欄に自分なりの回答をご記入下さい。

ちなみに私が知っている限りでこのような小論文での高評価の基準となるのは、

1、自分なりの見解/主張がある

2、テーマについて一定の知識がある

3、論理の組み立てがしっかりしていて、うまく論じている

の三点だと思われます。

優秀な回答をしていただいても私から賞品は何もでませんが(苦笑)、とりあえず本ブログのみなさんからのわずかながらのリスペクトはいただけるのでは。

別にみなさんの知的力量を試すわけではありませんので、「ちょっとレベルの高い知的な遊び」だと思ってお気軽にご回答下さい。

このエントリーは一週間ほど先頭にはりつけておきます。

====

制限時間三時間以内で、以下の中から三つの質問に答えよ。点数配分は三問とも平等。


1、戦争(war)と戦闘行為(warfare)違い(があるとすれば)は何か?

2、「戦争の方法というのは歴史家の頭の中にだけ存在する」という言葉があるが、これに同意できるか?

3、「われわれが軍事において必要なのは“革命”(RMA)ではなく、“反革命”(counter-revolution)である」というのはラルフ・ピーターズの言葉だが、これについて議論せよ。

4、「NATOは使命を探している同盟である」、これについて議論せよ。

5、戦争の実行にあたって、われわれは孫子かクラウゼヴィッツ、またはその両方から、どのような教訓を学ぶことができるのだろうか?

6、「先進国の間では、欲望ではなく不満が紛争の主な原因であると説明できる」という言葉があるが、これに同意できるか?

7、西洋諸国が二十一世紀初頭に直面する地政学的難問について論ぜよ。

8、「重要なのはテロ組織を倒すことである。これは戦争ではなく、戦略的な挑戦なのだ」というのはオバマ大統領の言葉だが、これについて議論せよ。

9、戦争行為としての大量殺戮(genocide)について議論せよ。

10、グローバル化は安全保障の議題をどのように変化させたのだろうか?以下の三つのうちの一つだけをつかって議論せよ:国際組織犯罪、気候変動、エイズ/HIV、難民、リスク社会

11、「非対称戦」(asymmetrical warfare)と「人道的な戦闘行為」(humane warfare)の主な要因は何か?どちらか一方だけ議論せよ。

12、コリン・グレイの本の題名は『再び迫る血まみれの世紀』(Another Bloody Century)だが、ここで論じられているように、二十一世紀は二十世紀と同じくらい戦争が起こるだろうか?

====

こうして書いてみると、答えるのは意外とむずかしそうですなぁ。

まあロンドン大学の大学院生の年末試験なので当たり前なのかも知れませんが。
(パディントン駅のチャリティーコンサート)
# by masa_the_man | 2009-12-22 06:41 | 日記 | Comments(19)
兵頭二十八氏 大阪講演会開催のおしらせ
またお知らせです。

私がお世話になっている「日本安全保障倫理啓発機構」(JSEEO)が主催する、兵頭二十八氏の講演会が大阪で開催されます。

お誘いの上、ぜひご参加下さいますようお願いします。

==============

「兵頭二十八氏 大阪講演会」


■日 時:平成21年11月23日(月・祝) 
午後2時半 開会(午後2時 受付開始)

■場 所:エル・おおさか 大会議室(6F)
大阪市中央区北浜東3-14 TEL06-6942-0001

■参加費:2,000円

■申込み:先着200名で、事前お申し込みとなります。
当機構「ホームページ」より、直接お申し込みください。

また、住所、氏名、TEL、FAX、参加人数と「11/23講演会参加」をご明記の上、FAX、Eメールまたはハガキでもお申し込みいただけます。

■申込先:日本安全保障倫理啓発機構 設立準備室
     〒176-0006 東京都練馬区栄町36-10-202
     FAX03-3557-1651
     Eメール inquiry@jseeo.com
     URL  http://www.jseeo.com
# by masa_the_man | 2009-11-22 23:00 | ためになる情報 | Comments(4)
浸透
今日のイギリス南部はよく晴れましたが、とにかく日が短くなりました。気温は意外とあたたかでした。

さて、論文やっていて時間がないので気になった以下のニュースのはりつけだけ。

これから先が思いやられます(苦笑


米でのロビー活動 中国、本格化 昨年123万ドル最高水準

2009年11月21日(土)08:05

 【ワシントン=山本秀也】米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」が19日に公表した年次報告書によると、米政府、議会関係者へのロビー活動のため、中国が米国のロビイストに支払った報酬は、中国政府による直接契約分だけで昨年約123万ドルと過去最高の水準となった。台湾との比較ではまだ5割程度に過ぎないが、経済力を背景に中国が米国で本格的なロビー活動に乗り出したことが裏付けられた。
 ロビー活動は、依頼人の影響力の拡大や有利な政策環境を整えるため、専門のロビイストを介して政府高官や議員らに働きかける。報告書によると、中国は工作相手に大使館員らが直接働きかける方法をこれまで重んじてきたが、江沢民前政権が基盤を固めた1990年代後半から、ロビイストの積極利用に転じた。

 報告書に掲載された15年間の報酬支払額を示すグラフでは、20万ドル足らずだった98年から3年後の2001年には40万ドルと倍増。08年の支払額も、前年と比べた伸び幅はほぼ2倍だ。

 依頼目的は、「世界貿易機関(WTO)での協議」「米中関係の促進」など。08年の北京五輪開催に向けた依頼もあり、報告書はロビイスト利用によって、「93年の立候補時より招致活動が円滑に進んだ」と効果の高さを強調している。

 他国・地域では、台湾当局が08年に約255万ドルを支出。米紙ワシントン・ポストが8月にまとめたところでは、同年にはアラブ首長国連邦(UAE、約1100万ドル)、英国(約600万ドル)に続き、日本、トルコが約400万ドルをロビー活動に投じていた。

 中国の場合、大手国有企業が05年時点に単独で約316万ドルを支払った記録もあるなど、実際の活動費は政府契約分の集計をかなり上回っているとみられる。
# by masa_the_man | 2009-11-21 08:08 | ニュース | Comments(0)
中東のシーレーンの危機?
今日のイギリス南部は朝から曇りがちのどんよりとした天候でして、午後には小雨がシトシト降ってきました。

さて、昨日は火曜日だったので毎週恒例の火曜のランチミーティングだったわけですが、一つ衝撃的なことを耳にしたのでそれについて一言。

昨日のランチミーティングのテーマはパキスタン人のコースメイトによる「パキスタンのテロについて」という内容だったのですが、私が気になったのは彼女の発表よりも(失礼)、その前に例の米空軍大佐がちょっとだけ語った内容でした。

彼が言っていたのは、最近ロンドンやヨーロッパ内で参加している米軍高官の間で、「中東のシーレーンの保護をやめよう」という議論が高まっている、ということでした。

もちろん最近ミアシャイマーやウォルトなどのように、政治学者などは以前からこういうこと(オフショア・バランシングという大戦略など)を議論していたわけで、この分野に詳しい人にとってはまったく衝撃でもなんでもないわけですが、具体的に米軍の高官たちがこういう議論をしているということを聞いたのは初めてだったのでちょっとビックリ。

彼によると、こういう話が盛り上がってきたのは(彼が知る限りでは)ここ二年くらいのことでことであり、その議論の根拠としては「中東の石油はアメリカ全体の消費における割合はもう数%くらいまで下がってきた」という点。

もちろんイスラエルなどの問題があるわけですからそう簡単に「中東から撤退!」というわけにいかないでしょうが、とりあえず中東のシーレーンをパトロールするのはやめようという議論がかなり活発になってきていることは事実らしいです。

それで困るのは日本ですな。

たとえば日本のメディアでは去年の七月にイランが「洋上のパイプライン」のチョークポイントであるホルムズ海峡を「閉じるぞ!」と脅したことについて(誰に遠慮しているのかわかりませんが)ほとんど報じておりませんでした。

しかしアメリカ側の報道機関はしっかりと報道しておりまして、米海軍の高官も「閉じたら戦争だ!」と脅し返しております。

なぜこのような応酬が重要な意味を持っていたのかは地政学的な感覚がないとちょっと理解しにくいところでありますが、とにかく明確になったのは、日本のメディアの地政学感覚のなさでした(日本の商社や石油会社の中にはこの重要性を理解していた人がいたかも知れませんが)。

そして今回の経済危機なわけですが、大佐によりますと、やはり米軍内でもこの危機とオバマ政権のおかげで軍事予算の削減は不可避であるという雰囲気が生まれつつあり、必然的にこのような議論が出てきた、と言っておりました。

こうなると重要になってくるのは、米軍が中東からある程度パトロールを減らしはじめたらどうするかということ。日本は相変わらず原油を中東から9割ほど輸入しており、それを洋上のパイプラインであるタンカーで運んでいるからです。

近い将来に日本では「中東付近のシーレーンをどう守るのか」について真剣に議論をしなければならなくなる時がくるかも知れません。

ちなみに大佐は「今後の中東のシーレーンは、インド海軍にまだ力ないために中国海軍が守ることになる可能性がある」とあえて大胆に分析しておりました。ホンマかいな。
(mod.go.jpより)
# by masa_the_man | 2009-11-19 23:09 | 日記 | Comments(8)
オバマにつきまとうゴルバチョフの亡霊
今日のイギリス南部はけっこう晴れて気温もそれほど低くなかったのですが、朝からずっと強い風が吹いていてまた数日前の台風なみの天候を思い出すほど。

そういえば昨日紹介した市橋容疑者逮捕についてですが、リンゼイさんの両親が最後に日本に行った時の様子がチャンネル4のドキュメンタリーとして放映されるみたいですね。

このプロデューサーが日本のヤクザの親分(?)とおぼしき人物を紹介していることから、この会合の様子ももしかしたら放映されるかも知れません。

もちろん親分衆たちの顔のところには材木、いやちがった、モザイクをかけて(笑

さて、くどいようですがまたアフガニスタンの戦略に関することを。

「アフガニスタン=ベトナム化」という議論が最近けっこう多いことは本ブログをご覧のみなさんはすでにご存知かと思われますが、地政学的もロシアがアメリカに空域をつかわせなかったりしていろいろと間接的に足を引っ張っております。

またオバマ大統領が中国に訪問していることに関連して戦費の問題も出て来ており、国民保険改革や経済刺激策などとあいまって、アメリカは長期にわたって超巨額の借金/国家破産(?)の危機に悩まされることになりそうです。

そのような中でイギリスのリベラル系であるインディペンデント紙に、数日前のジェームス・ファーガソンというキャメロン保守党党首の学生時代のお友達が「オバマ=ゴルバチョフ論」を書いておりましてので、いつものようにポイントフォームで。

=====

Obama is haunted by Gorbachev’s ghost

by James Fergusson

●イギリスのパブでよく交わされている最近の話題は、「イギリスはアフガニスタンで失敗する」というものだ。

●ロシアは一四,〇〇〇人の戦死者と三五,五〇〇人の負傷者を出しながら1989年に撤退した。

●もちろんブラウン首相はこのような過去の歴史とは違うと考えており、先週金曜日にBBCで「われわれはアフガニスタンに対する占領軍ではなく、彼らが自立できるような状況を整えているだけだ」と語っている。

●たしかに歴史はまるっきり同じことを繰り返すわけではない。

●たとえばソ連は当時のアフガニスタンに猛烈な攻撃をしかけており、第二の都市であるカンダハルなどはソ連の空爆のおかげで人口が25万人から2万5千人にまで減っている。

●しかしNATO側の狙いはアルカイダの打倒だけであり、このような激しい戦術は使わなくてもいいのだ。

●ところがそれでも西側諸国のソ連式の失敗の確率はますます高まっている。

●たとえば今のオバマ大統領の迷っている状態は、ゴルバチョフ大統領の1985年3月の状況とそっくりであり、オバマ大統領がマクリスタル将軍の増派要請案を受け入れると、不気味なことに当時のソ連の最大増派数とほぼ同じ数(合計10万人)の兵力を投入することになるのだ。

●もちろんこの時のゴルバチョフの決断は最悪の結果となり、1985年はソ連にとってアフガニスタンにおける最大の戦死者を出した年となったのだ。

●ロシアの在アフガニスタン大使であるカブロフ氏は「兵力を増やすと戦死者も増える。このままいけばアフガニスタン全土はタリバンの支配下に落ちる」と発言している。

●カブロフ氏は80年代にカブールで務めていた経験があり、アフガニスタンをまとめるのに一番効果的なのは、彼らの聖地に駐留する堕落した外国の兵士であることを肌で知っている。

●何百年にもわたる彼らの対外勢力に対する反抗の歴史は、彼らのアイデンティティーとして宗教のレベルまで染み込んでいる

●あるタリバンの司令官が以前私に語ってくれたのは、「われわれは戦争に反対だが、聖戦だけは別の話だ。外国からの侵入者と戦うのはわれわれの義務なのだ。われわれは戦うことを決してやめない。世界最後の日がきたときにアラーはわれわれに国のために何をした?という質問ではなく、自分の宗教のために戦ったか?と聞くはずだ」ということだ。

●アフガニスタンはイラクと違って地形が複雑であり、ロシアでさえ占領できなかった。そしてアフガニスタンの暴動側の使っている戦術は、ソ連や19世紀のイギリスに対して使われた戦術とほとんど同じなのだ。

●西側諸国のもっている進んだテクノロジーでもタリバンをひるませることはできない。ソ連のハインド攻撃ヘリはスティンガーミサイルが登場するまでほぼ無敵だったが、結局のところは300機も撃ち落とされており、今年に入って初めてチヌーク(西側のヘリ)も撃墜された。

●当時のソ連もわれわれと同じように自分たちが「占領軍である」とは考えていなかったのであり、79年にはカブール政府の要請でアフガニスタンに初めて足を踏み入れたのだ。

●彼らにも「政策」があり、「出口戦略」があった。1986年にはソ連の指導によってアフガニスタン軍を30万人規模にしている。しかしソ連側もわれわれと同じように、アフガニスタン政府側をほとんど信用できない相手だと考えていたのだ(これは最近英兵がアフガニスタンの警察に殺された事件でもよくわかる)。

●1980年代をつうじてソ連が訓練をほどこしたアフガニスタン側の新兵は、訓練が完了するのと同じくらいの数がすぐに辞めていっている。

●また、アフガニスタンの人々にとって、ソ連軍もNATO軍もほとんど同じであり、みやげもの屋ではソ連時代のヘリを刺繍したカーペットが売られているが、最近はチヌークの刺繍がほどこされたものも売られ始めた。

●アフガニスタンでは口伝の伝統があり、しかも時間の概念がないため、ソ連やイギリスによる侵攻は昨日の出来事のように伝えられており、多くの人は今の戦いをイギリスの侵略の続きだと考えているほどだ。

●実はこれはそれほど真実から離れているわけではなく、たとえば以前のイギリス空軍の第39飛行中隊はパキスタンとの国境付近に駐留してパキスタンのワジリスタンに空爆をしていたが、現在の第39飛行中隊もネバダの砂漠からパキスタンの同じ場所に無人機(MQ-7 リーパー)で攻撃をしかけているのだ。

●何人かの専門家は、無人機の使用によってこの状況を打破でき、いずれは人間の代わりにロボットに国境付近をパトロールをさせて撤兵できるとさえ考えているほどだ。

●しかしアフガニスタンのような国で戦う場合にテクノロジーに頼りすぎるのは間違いだ。

====

オバマ大統領はゴルバチョフと似たようなことになる、と警告しております。

これはマッキンダーも指摘していることなんですが、「共通の敵」というのは国をまとめやすいわけですよね。

独立を勝ち取って来たあらゆる国家には、基本的に多かれ少なかれ「共通の敵」というものが存在します。アメリカだったら大英帝国、中国だったら大日本帝国と国民党、ドイツだったらフランス、みたいな感じですな。

冷戦時代のアメリカでしたらソ連がおりましたが、いまは・・・・

(オックスフォードサーカスの渋谷式交差点)
# by masa_the_man | 2009-11-17 08:59 | ニュース | Comments(10)
ヤクザにお願いしたホーカー親子
今日のイギリス南部は台風一過のような陽気で、11月半ばにもかかわらず意外に寒くない快晴の一日でした。

さて、地政学とは全く関係ないのですが、今日は日本での市橋容疑者に関する話題を少し。

こちらのテレビではあまり報道されておりませんが、リンゼー・ホーカーさんというイギリスの若い女性教師を殺した市橋容疑者については、タブロイド系の新聞を中心に、たまに大々的に記事が出ておりました。

私は自分の分野にあまり関係のないことだったのでこの事件については人並みに関心をもっているくらいだったのですが、いつも行くショッピング・モールの喫茶店においてあった今日のある新聞に載っていたこのホーカーさんの親御さんのインタビュー記事を見ておやっと思ったので一言。

この親御さん二人が日本に何度も足を運んで市橋容疑者逮捕についていろいろなところに働きかけていたことはみなさんもご存知かも知れませんが、この親御さんはこの新聞のインタビューの中で、なんと日本のヤクザのボス(?)に直接会って「市橋を捕まえてください」とお願いしたという記述がありました。

記事によると、今年の三月に日本に行った時にイギリスのテレビ局(チャンネル4)のプロデューサーたちの計らいで、親父さんのほうが単独で、渋谷に縄張りを持つヤクザの親分との会合の席を設定してもらったそうです。

で、そのボスに会うためにバーに行き、そこで八人くらいの親分たちがいて、おみやげとしてウィスキーの大瓶を二本わたそうとして最初は断られ、「これはお世話になる人に最初に渡すという日本の習慣だと聞いている」というと、快く受取ってくれたとか。

この八人のファミリーの人々は見たかんじはかなり普通の人々だったらしいのですが、70年代風のスーツに身を包んでいて、全員ともかなりチェーン・スモーカーだったとか。小指の無い人もちらほらいて、みんなシャツの外から入れ墨が少し見えたとのこと。

一時間ほど事情を話すと「うちのところで事情がわかったら市橋のことは任せろ」と了解してくれたそうで、それから渋谷の駅前のスクランブル交差点に連れて行ってもらい、そこでビラ配りをさせてくれたらしいです。

このお父さんは、最初はそこら辺にたむろしている若者に一緒に配るように頼んで断られたらしいのですが、あとから親分たちの脅しが効いたのか、その断った若者たちが突然もどってきて謝り、一緒にビラ配りをはじめてくれて、たった一時間くらいで持ってきたビラを全部配ってしまったとのこと。

このヤクザの親分はウィスキー二本以外には何も受取っておらず、「オレも親だからあんたの気持ちはわかる」といって助けてくれたそうです。

まあ結局この時には成果が何も出ずに帰って来たのですが、この新聞ではいかにも「ヤクザが助けてくれた」的な見出しでセンセーショナルに書いておりました。

実際にはどこまで「ヤクザパワー」が通じたのかわかりませんが、この記事ではなんからの関連性を匂わせている感じでした。
# by masa_the_man | 2009-11-16 09:33 | 日記 | Comments(26)
教えてください
今日のイギリス南部はまるで台風のような一日でして、午後になるまでものスゴい雨と風でした。

さて、今日はブログをご覧の皆さんにひとつお願いがあります。

すでに何人のかたは、私がイギリスで第二次世界大戦の時のビルマ作戦に従事した元英兵と元日本兵の和解を支援する団体の活動を手伝っていることをご存知かも知れませんが、これに関することでひとつお願いが。

結論だけ先に言いますが、私が皆さんに教えていただきたいのは、

「第二次世界大戦において、日本人が英国側の捕虜(POW)となった時に彼らに虐待された時の記録や文献の名前」

です。

これの有名なものとしては「アーロン収容所」がありますが、日本兵がもっと物理的に虐待されたことについて書かれた文献(日本語で書かれたもので良いので)をご存知でしたら教えていただけないでしょうか?

なぜこれを探しているのかを言うと話が長くなるのですが、簡単にいいますと、うちの和解の会の会長(イギリス人と結婚された50代の日本女性)が、つい先日にBBCの生中継のラジオ番組で、

「英兵は日本軍に捕まって虐待された!」

と泣きわめく年寄り(おそらく70代くらい)の英国人の女性を相手に、いきなり前準備無しで電話越しに討論させられたからなのです。

会長はなにせいきなりのことだったので面食らったわけですが、どうやらこの老女のほうは彼女の地元の町が日本のある町と「姉妹都市」になるという話がもちあがったときに、自分の親族や友人がビルマ作戦などで日本軍の捕虜となって虐待を受けて死んだ云々という話を聞いていたので、猛反対に回っていたとのこと。

しかし会長のほうは英兵の生き残りの方から

「われわれも日本兵に対してとんでもないことした」

ということを直接聞いていたので、「お互いさまでしょ」と冷静に反論したかったのですが、彼女もこの辺の歴史にそれほど詳しいわけではなかったのでその討論の時に反論として使えず、非常にくやしい思いをしたとか。

ちなみに討論会では冷静に対応した会長側のほうに賛同する視聴者からの意見が多かったみたいで一応はホッとしたということみたいです。

しかしこういうことがあったので、就任したばかりのこの会長は、日本語で読める(英国人も日本兵に対して虐待してたことが書いてある)いい文献を読んで勉強したいらしいのです。

もしこの辺をご存知の方がいらっしゃりましたらお願いします。

余談ですが、この和解の会は、元イギリス兵と元日本兵が、互いにおなじ戦場で戦ったいわゆる「戦友」として、あくまでも平等な立場で和解をするという目的なので私も賛同して手伝っているのですが、以前にこの会の幹部をやっていたイギリス人の幹部の40代のおばさんが

「われわれ(イギリス人)のほうが道徳的に正しいことをしていた」

ということを証明するために日本から「ごめんなさい学者」をわざわざ連れて来たりして、英国人の元兵士側からも文句が出て問題になっていたりして、色々と大変なのです。

つまりここでも「倫理戦」が展開されているわけです。

この辺の事情についてはまたここで色々と書いていきたいと思いますが、とりあえず何かいい文献を知っていたら教えて下さい。お願いします。
# by masa_the_man | 2009-11-15 11:57 | 日記 | Comments(47)
戦史を経済学の理論で斬る
今日のイギリス南部は昼すぎから雨、雨、雨でした。

金曜日だったのでロンドンまで行って来て、例のごとくC教授の授業を聞いてきたわけですが、今回は孫子とクラウゼヴィッツの戦略理論についてでした。

この内容を簡単にいいますと、孫子の場合は道教、そしてクラウゼヴィッツの場合はドイツ観念論などの思想的背景が重要だ、みたいなことでした。

結果として、現代の戦争、とくにアフガニスタンやイラクを見る際に参考になるのは孫子のほうだ、ということになりました。そして強調されていたのが「パラドックス」が重要だ、ということですね。

これについての詳しい話はまた後ほどまとめてかきますが、今日はロンドンで買ってきた本の紹介です。

Castles, Battles, and Bombs: How Economics Explains Military History
by Jurgen Brauer & Hubert Van Tuyll

これは副題にあるように、戦史を経済学の理論で分析したらこうなりました、というとても興味深いもの。

具体的には経済学の六つの原則(principle)を使って、六つの歴史ケースにおける「意思決定」の判断がどのように行われたのかというところを分析しております。

この経済学の六つの原則というのは、

1、機会費用
2、期待限界費用/収益
3、代替
4、収穫逓減
5、非対称情報(隠された特性<情報>ー逆選択)の克服
6, 非対称情報(隠された行為ーモラルハザード)の克服

ということです(訳協力: shahil 氏/通りすがりの経済学徒氏 )。

で、この六つの原則をそれぞれ、

1, 中世 1000〜1300年
2, ルネッサンス 1300〜1600年
3, 戦闘時代 1618〜1815年
4, 革命時代 1789〜1914年
5, 大戦時代 1914〜1945年
6, 冷戦時代 1945〜1991年

という時代の戦争にかかわる事例に当てはめております。

これは日本語で出たら「銃・病原菌・鉄」と同じくらいの反響が出そうな、知的に刺激を受ける素晴らしい内容です。

経済学をよく知らない人向けに、第一章で基本的なことを詳しく書いておりますのでなかなか親切。

残念ながら私は訳しているヒマがないので(苦笑) 誰か他の方に翻訳してもらって日本語版が出ることを祈りましょう。

# by masa_the_man | 2009-11-14 10:09 | おススメの本 | Comments(16)
マシュー・ホーのインタビュー
今日のイギリス南部は朝から曇っておりまして、夕方からかなり激しい雨が降りました。気温はそれほど低くないので助かっております。

おかげさまで論文のほうが快調に進んでいるんですが、気になるのは「現代のベトナム」となる可能性の高いアフガニスタン問題ですね。

ということで「第二のエルスバーグ」となる可能性のある元国務省職員のマシュー・ホーのインタビューを資料として集めてみましたのでご覧下さい。




(アルジャジーラのインタビュー討論番組に出演。一番うまく説明できてます)


(いつの間にかCNNのジュディー・ウッドロフがPBSに・・・)


(リベラルのレイチェル・マドウの番組から)

====

彼の言い分をまとめると以下のようになります。

1、アメリカがアフガニスタンで戦う意味が失われたから辞めた。

2、アフガニスタンは35年続く内戦状態にあり、敵味方に大きくわければ「中央政府側」と「地元側」になる。われわれはソ連と同じ「中央政府側」について戦っている。

3、アフガニスタンの地元側の人々はわれわれが外からやってきて占領している軍隊だと感じているから戦いを仕掛けてくる。

4、アフガニスタンの暴動はナショナリズム(民族主義)を小さくした「谷間主義」(valleyism)を持っている。

5、アフガニスタンにはアルカイダはいない。だからアフガニスタンに増派してもグローバルな組織であるアルカイダは倒せない。

6、アフガニスタンでは、地元と中央の政府の違いが大きすぎて交流がない。

7、タリバンはアメリカにとっては脅威ではない。

8、マクリスタル案にしたがって増派してもアフガニスタンの地元の反発を強めるだけ。

9、アメリカの若者の命をかけてまでアフガニスタンに介入する意味がない。

10、現場の米兵たちも「なぜわれわれがここで戦っているのか」という意味がわかっていない。

=====

ということです。

考えてみれば、アフガニスタンの暴動側というのは「中央政府に従いたくないローカルな人間」という意味ではアメリカのリバータリアニズムと思想的に相通じるものがあるんですな(笑

そういえば昨日あたりの報道で、アフガニスタン戦略に「第四の選択肢」が加わったとありました。

アイケンベリーのテレグラム」もリークされて、オバマ大統領の選択もさらに困難になってきました。

完全に余談ですが、このマシュー・ホーの顔はまだ「オレオレ」の「小結」です。
# by masa_the_man | 2009-11-13 06:34 | ニュース | Comments(8)
イギリス政府の戦略議論
今日のイギリス南部は朝からずっと曇りでしたが、気温はそれほど下がっておらず助かっております。

イギリスの若い英語の先生を殺して逃げ回っていた市橋容疑者が捕まったという知らせはイギリスでも一部新聞ではけっこう報道されましたが、今日はあいにく戦争記念日(第一次世界大戦の終戦の日)だったせいか、テレビではほとんど報じられておりませんでした。

さて、そんな戦争記念日(リメンブランス・デイ)を記念して、イギリスのアフガニスタン戦略の政治的苦悩についての議論を紹介します。

いつものようにポイントフォームで。

====

Graveyard of empires could claim more careers

by Rachel Sylvester

●紀元前327年にアレクサンダー大王がパシュトゥーン人の矢で傷ついた時からアフガニスタンは「帝国の墓場」として知られている。

●ところがここは「政治家にとっての墓場」でもあることがますます明らかになりつつある。

●もちろん現在の戦いにおける(イギリスの)戦死者の数は230人以上になっているのだが。

●昨日ブラウン首相は戦死した兵士の名前を家族へ送った直筆のおくやみの手紙のなかでスペルを間違って書いたために問題になっている。

●しかし本当の問題は首相の手書きではなくて、政府が国民に対して「アフガニスタン介入は命をかけて戦うだけの意味がある戦争だ」としっかり説明できていないところにある。

●最近の意識調査によると、英国民の64%がアフガニスタンに勝てないと考えており、63%がすぐ撤退するべきであると考えているという。

●「チャーリーウィルソンの戦争」や「カイト・ランナー」のようなハリウッド映画で描かれているように、英国民は「アフガニスタンは統治不能の国家であり、介入したら失敗する」と考えはじめている。

●ワシントンではオバマ大統領が増派かどうか迷っているおかげで政治的緊張に発展しており、たとえば政権内ではバイデン副大統領が空からだけの介入によるCTに切り替えろと発言しているが、イギリスでも政治問題になってきている。

●たとえば先週に元外相のキム・ハウエルスが撤退を主張したし、元国庫局長官ジェフリー・ロビンソンもイギリス軍の作戦は「無意味だ」と言っている。

●ブラウン内閣の閣僚たちは公的には首相を支持しているが、私的には軍事介入の目的が明確でないことからかなり不満を漏らしている。選挙の先行きも暗いことが不安材料になっている

●閣僚のひとりは「腐敗したカルザイ政府を支援する戦略はまずい」と証言しているし、他にブラウン首相のコミュニケーションスキルのまずさのおかげで選挙で大敗しそうだと批判するスタッフもいる。

●おどろくべきことに、どうやらブラウン政権では最近のアフガニスタン情勢について閣僚内で議論が行われていないらしい。

●ウェールズ担当相のピーター・ヘインはこの点を最近になって何度か指摘しており、先週のテレビの討論番組でも「軍事力だけではこの戦争には勝てない」と発言していた。

●閣僚内では国連をつかってカルザイ大統領を監視したいという要望が高まって来ており、「カブールに正統性のある政府がないとこの戦争には勝てない」というベテラン外交官もいある。

●プレッシャーを感じているのは労働党政府だけではなく、自由民主党(LD)の党首も撤退を支持するかも知れないと言っている。

●保守党もこの点について勢力がまっぷたつに割れている。世界に民主主義を広げることを目指す「理想主義者」(idealist)と、国益だけを考えて限定的な目標を狙う「実利主義者」(pragmatist)だ。

●たとえば「影の政府」の国防相であるリアム・フォックスと、教育広報官のマイケル・ゴーヴは「ネオコン」と批判されているが、フォックスは「ネオ・リアリスト」と呼ばれるほうがいいと言っている。

●フォックスが最近マクリスタル将軍にあった時に約束したのは、保守党新政権ではイギリス兵の増派をするということだった。その言い訳として「チャーチルは意識調査の結果で戦略判断をしなかった。ここで引けばイスラム過激派が世界中に広まる」ということを言っていた。

●他の「影の閣僚」たちも、なるべく早めにアフガニスタン兵に任務を渡して撤退するべきであると考えている。彼らは「孤立主義者や現実主義者と言われようと、そういう意見は存在するのだ」と言っている。

●いままで「ネオコン」と思われていたジョージ・オズボーンでさえ最近の国防費の上昇を見てから「経済現実主義者」になったようであり、ウィリアム・ヘイグはこの二つの立場の間で揺れ動いているという。

●先週、保守党のキャメロン党首はもう一つ別の外交分野、つまりヨーロッパに対して実利主義者的な側面を見せている。彼はイデオロギーよりもパワーのほうが重要であると考えているようで、リベラル的な介入主義には疑念をもっているようだ。

●彼は最近周囲の人間(旧友でA Million Bullets の著者のジェームス・ファーガソンなど)から、アフガニスタンがいかにひどい場所であるのかを聞いているという。

●ある「影の閣僚」は、キャメロン党首は完全にリアリスト側の立場にいると証言している。よってブレア式の世界改革を狙うような対外政策は追求しないということだ。

●今週のブラウン首相は「グレート・ゲーム」の二十一世紀版を実体験しているのかも知れないが、キャメロン党首もすぐに自分の党の中の思想の一致を図らなければならなくなるはずだ。

●そうなるとパシュトゥーン人の矢が彼を狙うことになるかも知れない。

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昨日の私の先生の発言にもあるように、イギリス政府のトップも政治的にバラバラになってきていて、戦略目標が定まっておりません(苦笑
# by masa_the_man | 2009-11-12 09:05 | ニュース | Comments(4)
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