戦略や地政学の視点から国際政治や社会の動きを分析中


by masa_the_man
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絶版本の最終販売

お知らせです。

すでにご存知の方も多いと思いますが、私が本を出していた五月書房が倒産しました。

五月書房といえば、私がデビュー作である『地政学』(これも絶版)を出していただいたほか、二冊目のミアシャイマーの『大国政治の悲劇』をはじめ、数々の戦略本を翻訳して出させていただいた小さな出版社でした。
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惜しくも昨年の夏に破産申立てをして倒産が確定したわけですが、困ったのはこれからも販売していくはずだった訳書たち。というのも、在庫として倉庫に預けられていた分が破産管財人の管理下に入ってしまったからです。

それが今回、ようやく何冊か入手できまして、販売できる状態にまでこぎつけることができました。

もちろん絶版本なので、在庫が無くなってしまえばそれで販売終了です。今回で本当に「絶版」が確定してしまうわけです。

いずれも専門書ですし、決して安い本ばかりというわけではないですが、私が選んで心血を注いで翻訳した本ですので、おそらく各本のクオリティの高さにはご満足いただけると思います。

アマゾンなどでは価格が高騰しておりますが、今回は税込み&送料無料で、元の定価で販売させていただけることになりました。

本当に「最後」のチャンスですので、ご興味のある方はぜひ下のホームページからお申し込みください

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# by masa_the_man | 2017-01-01 00:00 | おススメの本
今日の横浜北部は朝方晴れておりましたが夜に入って冷たい雨が。

さて、すでにお知らせしたように、新刊の書店用の広告をいただきましたのでそれをここに披露しておきます。

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現在ゲラ直しの真っ最中なのですが、あらためて読み直しますと、まあよく調べて書かれているなぁという印象です。

今週末には「訳者あとがき」を書くつもりなのですが、これをどうまとめるかを思案中です。

それと、タイトル当選者の方々全員にご連絡いただきました。おめでとうございます。

ということで発売は来年正月すぎということになりそうですが、ぜひご期待ください。


▼奴隷の人生からの脱却のために
戦略の階層」を解説するCD。戦略の「基本の“き”」はここから!戦略の階層を徹底解説するCD

▼~あなたは本当の「孫子」を知らない~
奥山真司の『真説 孫子解読』CD
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▼~これまでのクラウゼヴィッツ解説本はすべて処分して結構です~
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▼~これまでの地政学解説本はすべて処分して結構です~
奥山真司の地政学講座CD 全10回
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# by masa_the_man | 2016-11-30 22:24 | おススメの本 | Comments(0)
今日の横浜北部は朝は寒くて快晴でしたが午後から曇りました。まるで真冬でしたね。

さて、先日の放送(https://goo.gl/qxKli1)でもすでに発表しましたが、ここであらためて当選発表の確認をしたいと思います。

お伝えしたように、当選は5本でして、最優秀が1本、優秀賞が2本、そしてユーモア賞が2本となっております。

まず正タイトルですが、これは「クラウゼヴィッツの「正しい読み方」」となりました。これに最も近いという意味での最優秀賞ですが、私の独断と偏見で、

エーリッヒ・マンシュタインさんの
21世紀のクラウゼウィッツ 戦争論の読み方

に決定しました。おめでとうございます!

そして優秀賞とユーモア賞のそれぞれ2本ですが、これについてはわれわれが選んだ9本の中から、なんと番組中にアンケートを使って視聴者の方々に選んでいただいたわけですが、

ヒラリーよりエリザベス・ウォーレンだ、さんの
リアリストの為の戦争論…22世紀を勝者として迎えるために」(25.9%獲得)

エーリッヒ・マンシュタイン さんの
「現代戦略思想のクラウゼウィッツ」(19.3%獲得)

となりました。ただしエーリッヒ・マンシュタインさんがすでに最優秀賞を獲得(V2)しておりますので、ここでは3位の候補が2位に繰り上げとなり、

デンパの国・カンダーラさんの
戦争はいかに考えられてきたか~クラウゼヴィッツ「戦争論」からの問いかけ~」(18.1%%獲得)

の当選となりました。

そしてユーモア賞2本ですが、これは以下のように

デンパの国・カンダーラ さんの
「日本もそろそろ戦争の準備をしようと思ったときに読む本」(30.1%獲得)

デンパの国・カンダーラさん
「小学校の図書館にあったらPTAが焚書しにくる本」(22.1%獲得)

ガンダーラさんのV3(!)となってしまいましたので、その下の3位と4位が繰り上げ当選となり、

かじてつさんの
クラウゼヴィッツ霊言による『戦争論完全版」公開霊言シリーズ」(14.9%獲得)

joujakuさんの
クラウゼヴィッツ 4.0」(9.4%獲得)

に決定しました。おめでとうございます!

当選された方は、お手数ですが本ブログのコメント欄か私個人宛のメールで、氏名(HN)、住所、電話番号を教えてください。本の発売前に出版社から直接「賞品」として新刊本をプレゼントさせていただきます。

以上、たくさんの方々にご応募いただき、本当にありがとうございました。来年も引き続きこの企画を行っていこうと計画中です。ご期待ください。
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(与那国島のタイル地図)

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# by masa_the_man | 2016-11-26 23:11 | 日記 | Comments(4)
今日の津軽は曇りがちで時折小雪の舞う天候でした。

さて、放送(https://goo.gl/DNywMW)でも取り上げた、ロバート・カプランがワシントン・ポスト紙に寄稿した「トランプはリアリストではない論」の要約です。

===

対外政策ではリアリストではないトランプ
By ロバート・カプラン

大統領選で当選を果たしたトランプは対外政策では「リアリスト」であると呼ばれているが、信じないほうがいい。たしかに彼は大雑把なリアリスト的な直感をもっているかもしれないが、これはリアリズムにとって悪い知らせとしかならない。

私のようなリアリストにとって、彼が選挙で選ばれたことは非常に心配なことだ

リアリズムというのはひとつの感覚であって、それぞれの危機にどうすべきかを教えるようなものではない。そしてそれは悲劇についての成熟した感覚、つまり対外政策はであらゆることが悪く働くことを知っており、注意深さと歴史についての知識を持っているものであり、これがリアリストの心構えの中には染み付いているはずなのだ。

リアリズムは、ツキュディデスが紀元前5世紀に「ペロポネソス戦争」の中で人間の本性が恐怖(phobos)利益(kerdos)、そして名誉(doxa)によって動かされるものであると定義した時から人類の歴史とともに歩んできたといえる。

リアリストは、そのような原初的な力に対抗するのではなく、それを活用しなければならないことを知っているために、たとえば自由(freedom)の前に秩序(order)があるべきであることや、価値(value)の前に利益(interests)があるべきことを知っているのだ。

結局のところ、秩序なしでは誰にも自由を与えることはできないのであり、利益なしでは国家はその価値を広める動機をもたない、ということだ。

トランプがこのようなことを考えていること示す兆候は何もない。彼は歴史を知らないようであるし、その悲劇についてしっかりとした感覚をもっているとは思えない。

歴史感覚というのは主に読書体験から生まれるものだ。この体験により、われわれは同盟国への義務や西洋の防御者としてのわれわれの役割というものを初めて知ることになる。近代の米国の大統領のすべてが知識人というわけではなかったが、それでもかなり本を読み込んでいたほうだ。

ところがトランプはあまり本を読まない人物であり、詳しい調査もなくウソが蔓延するデジタル時代を、本を読まずにダイレクトに迎えてしまった人物なのだ。

リアリストは真実を信奉するものだが、その理由は「歴史が教えてくれる究極の教訓は、その状況の真実というものが不快なものであることが多い」という点にある。ところが選挙戦を通じたトランプの発言からわかるのは、彼が何度も事実を無視したという点だ。

リアリストたちは勢力均衡(バランス・オブ・パワー)がものごとを解決する万能薬ではないことを知っているが、一般的にはライバル国よりも有利なバランスを維持することが国益にかなうものであることを知っている

ロシア大統領であるウラジーミル・プーチンは中欧から中東までのバランス・オブ・パワーを崩したが、これはわれわれとしてはロシアに対して交渉面で強い立場を維持するためには早急に修正すべきものである。

ところがトランプはこのことについてまるで理解していないようであり、彼のプーチンについての宥和的な発言は、危険なほどナイーブなのだ。

リアリストは「国益が先で価値は後」であり、その逆はないことを知っているために、アジアでの自由貿易協定がわれわれにその地域への関与を与えることになり、それによってますます価値をその地域で広めるインセンティブが生まれることを知っている。

また、同盟国間で自由貿易協定は、中国の横柄な影響力に対抗することにもつながる。もちろんトランプは中国の影響力に対抗したいと主張しているが、彼はリアリストではないために、それをどのように行うべきかについては確固とした考えをもっていないのだ。

リアリズムは「節度」を基本としている。理想主義者たちは現状維持を欠点だとみるが、リアリストたちはそこに価値を見るのだ。したがって、彼らは変化を警戒する。

ところがトランプは国際システムに大変動を求めている。貿易戦争の誘発からメキシコとの緊張を高めること、そしてNATOの弱体化まで示唆しているのだ。

もちろんバルト三国をNATOに加盟させてしまうのは、リアリストの視点から見れば賢明なものとはいえない。だが同盟に入ってしまった今、NATOそのもの(そして西洋諸国)の信頼性は、彼らを守ることができるかどうかにかかっているのだ。トランプとその支持者たちは明らかにこの点を理解できていない。

繰り返すが、リアリズムは戦略ではなく感覚なのであって、これは歴史上におけるアメリカの世界における正確な立ち位置の認識と結合させるべきものなのだ。それは米国内のホロコースト記念博物館の設置された場所によってもうかがい知ることができる。ホロコーストは欧州のユダヤ人に起こったことであるが、米国民の総意によってその国家意識の中に入ることが許されたのである。

もちろんこれはアメリカが世界のどこかで大いなる人権侵害が行われたときには常に介入すべきであるということを意味するわけではない。そもそもそのような介入は非現実的だからだ。

それでもそれが起こった時には気づくべきであり、可能であればそれに対して何かしらの対処をすべきであるということになる。なぜなら第二次世界大戦という激しい闘争の後や、冷戦期に生まれたアメリカの義務というのは、可能な限りにおいて「文明社会」の境界線を世界で拡大するというところにあったからだ。

理想主義者たちはこの義務に執着することになったが、リアリストたちは冷めていた。リアリストたちはいかなる世界的な利益の前に「国益」が来ることを知っているからだ。ところが(少なくとも尊重されている)リアリストは、国際主義者的なビジョンをもっているものだ。

歴史は続いていく。第二次世界大戦と冷戦は過ぎ去った。ところがアメリカは大国の中でも最も恵まれた有利な場所に位置している。この幸運は、国境を越えた責務をわれわれに与えている。それを知るには米海軍の保有する300隻の艦船や空母がいま航行している海域を見てみればよい。

リアリズムはそのようなパワーを、同盟国を捨て去ることではなく、彼らを守るために使うことを教えている。そしてそれを使用する際には、紛争へと拡大させないことが肝要なのだ。トランプがリアリストになることを願うばかりだが、おそらくそれにはまだまだ時間がかかるだろう。

===

これを読むと、たしかにベーシックなところではカプランはリアリストなのかもしれませんが、その発想はややリベラル寄りに見えますね。

「国境を越えた責務」とか書いてしまうところにブレを感じます。

以下は放送の時の様子です。ご参考まで。
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(レディング駅)

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# by masa_the_man | 2016-11-17 00:53 | 日記 | Comments(1)
今日の横浜北部は朝から曇っております。

さて、クラウゼヴィッツの新刊本について、みなさんから以下のようなタイトル候補をいただきました。

ご参考までにここに記しておきます。当選者については近日中に確定して発表します。いましばらくお待ちください。

===

「間違いだらけのクラウゼヴィッツにサヨナラ!」
「確実に勝てる 世界一シンプルな勝てる戦争論」
「詳説 クラウゼヴィッツ 戦争論」
「21世紀のクラウゼウィッツ戦争論」
クラウゼビッツ すべての戦争の解明
「機先を制して土人を撃破」
「クラウゼヴィッツ 解読」
「PPAP-Policy,Politics,And Politician-」
「クラウゼヴィッツは死せず 新世紀の『戦争論』読解」
「クラウゼヴィッツの『戦争論』に至る道~歴史に見る国際戦略」
「クラウゼヴィッツの『戦争論』に至る道~歴史に見る国際戦略」
「クラウゼヴィッツの継承者達〜プロイセン戦争哲学の原点を読む〜」
クラウゼヴィッツ「戦争論」精読
クラウゼヴィッツ入門 新しいアプローチ
よくわかるクラウゼヴィッツ
君に、「戦争論」の読み方を教えよう
世界のエリートは、クラウゼヴィッツをどう読むか
「クラウゼヴィッツ魂」
「銀河クラウゼヴィッツ伝説」
「クラウゼヴィッツと戦争論-その受容と変遷」
「シン・クラウゼヴィッツ」
「君の戦争論は。」
「現代クラウゼヴィッツの基礎知識」
「俺のクラウゼヴィッツ」
「クラウゼヴィッツ、私ならこう読む」
・クラウゼビッツの戦争論 解説と応用
・戦争論 クラウゼビッツ かく語りき
・解題 クラウゼビッツの戦争論
・本家!! 喰らうぜびっつの「せんそーろん」
・元祖!! クラウゼヴィッツの戦争論 奥さん、他のはパチモンだよ、ホンモンはうちだけだよ。
・未完!! 戦争論 続き早よ早よ
・愛の戦争論 愛は戦略 恋は戦術 ヤギは技術
『今日から、クラウゼヴィッツっ!』
「新改訂クラウゼヴィッツ はじめの戦争論」
クラウゼヴィッツの論じ方
「戦争論」のパラダイム論争
「戦争論」の論理
まるわかりクラウゼヴィッツ
この一冊で分かる!クラウゼヴィッツ
「21世紀のクラウゼウィッツ 戦争論の読み方」
「戦略論〜生き抜くための羅針盤〜」
「21世紀もクラウゼヴィッツ」
「レッツ クラウゼヴィッツ」
「クラウゼヴィッツ 4.0」
『「戦争論」の意図を説く』
『クラウゼヴィッツは窓の向こうに何を見るか』
『愛された「戦争論」ー良書はいかに活用されたかー』
『クラウゼヴィッツ研究序説―近代戦略思想の源流』
『クラウゼヴィッツ概説―政治と戦争の狭間で』
『クラウゼヴィッツの戦争哲学を読み解く―その意義と影響の思想史的考察』
「クラウゼウィッツの使い方」
「クラウゼウィッツ その生涯と理論」
「なぜなにクラウゼウィッツ」
現代戦略思想におけるクラウゼヴィッツ(又は「戦争論」)の影響
「クラウゼヴィッツ的パラダイム」の再検討
戦略の古典を読み解く
現代に生きる「戦争論」
クラウゼヴィッツ研究史序説
プロジェクトC 「戦争論」への挑戦者
「おい!クラウゼヴィッツを知ってるか?これがクラウゼヴィッツだ。」
「戦争論を理解したいなら一度”クラウゼヴィッツ”を捨ててしまおう」
「クラウゼヴィッツGO」
「試験にでるクラウゼヴィッツ」
「週刊 戦争論を読み解く 創刊号は特別価格税込540円」
「クラウゼヴィッツ霊言による『戦争論完全版』 公開霊言シリーズ」
『クラウゼヴィッツ流 完全戦略マニュアル』
「リアリストの戦争論 …22世紀を勝者として迎えるために」
「クラウゼビッツの戦争論 解読書」
「戦争論を読み解く」
「シン·戦争論」
「クラウゼヴィッツの足跡〜生い立ちから現代戦略論への影響まで〜」
「戦争論とはなにか~軍事理論か政治思想か、一体どっち?~」
「戦争論 まずこの本から始めてみよう」
「戦争論 古そうで新しい軍事理論」
「戦争論を、もう一読~クラウゼヴィッツは永久に不滅です~」
「クラウゼヴィッツの涙 戦争のことは嫌いでも、戦争論は嫌いにならないでください」
「クラウゼヴィッツの涙 戦争論のことは嫌いでも、戦争は嫌いにならないでください」
「クラウゼヴィッツと『戦争論』、私はこう読む」
「戦争論全史」
「みんなの戦争論」
「クラウゼヴィッツの本質 戦争論の分析」
『戦争論への招待』
「クラウゼヴィッツに恋をして」
クラウゼヴィッツの本質ー現代まで続く『戦争論』を読み解くためにー
「クラウゼヴィッツ『戦争論』の探求」
「クラウゼヴィッツ『戦争論』の入門講義」
「クラウゼヴィッツ『戦争論』解釈研究」
「現代の古典 クラウゼヴィッツ『戦争論』」
「クラウゼヴィッツ『戦争論』は役に立つのか?」
誤読だらけの『戦争論』
真説 「クラウゼヴィッツ」を読み解く
ベアトリス・ホイザー教授の白熱「クラウゼヴィッツ」教室
『解題「クラウゼビッツの戦争論」:その起源・受容・発展』
「クラウゼヴィッツ ~戦争論の軌跡と未来~」
「リアリストの為の戦争論」…22世紀を勝者として迎えるために
「クラウゼヴィッツ『戦争論』の概略」
「クラウゼヴィッツ『戦争論』概略」
解題「戦争論」
「戦争論」の考え方
クラウゼヴィッツ「戦争論」の基本と論点
クラウゼヴィッツ「戦争論」の系譜と発展
クラウゼヴィッツ「戦争論」概論
戦争はいかに考えられてきたか~クラウゼヴィッツ「戦争論」からの問いかけ~
戦争知るならクラウゼヴィッツ!戦争知るならクラウゼヴィッツ!
トランプ大統領に決まったので日本もそろそろ戦争の準備をしようと思ったときに読む本
もしもボブ・ディランがクラウゼヴィッツの「戦争論」を引用したら
トランプ大統領の愛読書
小学校の図書館にあったらPTAが焚書しにくる本
君の前前前世からある戦争論
シン・クラウゼヴィッツ
どんなに頭がかたい人でもベターッと戦争ができるようになるすごい方法
クラウゼヴィッツ守護霊霊言「戦争とはこういうものです」
「クラウゼヴィッツを読み解く」
「クラウゼヴィッツ的思考 - 多角的視点から」
「クラウゼヴィッツはかく語りき」
「クラウゼヴィッツについて語ろう」
「クラウゼヴィッツ 超解説」
「戦争論で磨くリアリズム思考」
「新研究クラウゼヴィッツ」
「戦略学の父クラウゼヴィッツの兵法」
「『戦争論』の誤解を解く」
「クラウゼヴィッツ 未来への視座」
「わたしがクラウゼビッツです」
『詳説 クラウゼヴィッツ ―今に生き続ける「戦略の父」』
イギリス・大学戦略学教授が読み解く:クラウゼヴィッツ「戦争論」
第一次世界大戦100周年記念!:再考 クラウゼヴィッツ「戦争論」
あなたの戦略は上手くいってますか?
クラウゼヴィッツ「戦争論」の読み方
あなたを、この国を守るクラウゼヴィッツー21世紀の笑顔の帝国主義、文化摩擦、ポリティカルコレクトと戦う全ての人の為の戦略の大典ー
「クラウゼヴィッツを俯瞰する」
クラウゼヴィッツは2人いる
誤読だらけの『戦争論』
『戦争論』の探究
「クラウゼヴィッツ~先見性を養うための戦略学~」
「クラウゼヴィッツ~今を生きるための洞察力の涵養~」
「クラウゼヴィッツ~冷静な思考のために~」
「戦争論の解説と現代戦略思想」
「クラウゼウィッツの戦争論入門」
「よくわかる 戦争論の本」
「西洋のクラウゼウィッツ 戦争論」
「戦争論の逆襲」
「欧米のクラウゼウィッツ 戦争論の解説」
「現代戦略思想のクラウゼウィッツ」
「戦争論をつかむ」
「クラウゼウィッツの理論 」
「戦争論 原論」
「クラウゼヴィッツという世界」
ベアトリス・ホイザー教授のわかりやすい戦争論
新解釈 クラウゼヴィッツの戦争論
奥山真司訳・クラウゼヴィッツの戦争論入門
基礎から始めるクラウゼヴィッツの戦争論
戦争論 その理論と後世における展開
戦争論 理論と歴史
『クラウゼヴィッツの視点 〜今にクラウゼヴィッツを蘇らせるには如何にすべきなのか〜』
「今トランプが読むべき書~クラウゼヴィッツの読み方~」
「クラウゼヴィッツの読み方~トランプに送る本~」
「シン・センソウロン」
「誰も教えてくれなかったクラウゼヴィッツ」
「戦争論概論」
「クラウゼヴィッツ概論」
「21世紀と戦争論」
「クラウゼヴィッツとこれからの戦争論」
「今こそ知っておきたいクラウゼヴィッツ」
「クラウゼヴィッツを読む」
「クレウゼヴィッツ決定版」
「現代に生きるクラウゼヴィッツ」
クラウゼヴィッツ『戦争論』の歴史的展開
クラウゼヴィッツ思想の歴史的展開
クラウゼヴィッツの思想と歴史的展開
新解釈 クラウゼヴィッツ『戦争論』
現代的クラウセビッツ解説
現代的クラウセビッツ解釈
「クラウゼウィッツ−戦争論の歴史的歩み」もしくは「クラウゼウィッツ−戦争論の歴史的転回」
「クラウゼウィッツ−三位一体の回転軸」
「これが真の戦争論−日本のクラウゼウィッツ論者を駆逐します」
「日本人が語れなかったクラウゼウィッツ戦争論」
「聞け!これがクラウゼウィッツのことだまだ‼︎」
「土人向けクラウゼウィッツ講座」
「シン・クラウゼウィッツ」
『戦争論』を学ぶ喜びを知りやがって!!許さんぞ!!
『戦略の真髄-クラウゼビッツを読み解く』

以上です。今回も粒ぞろいです(笑
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(レディング中心街)

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奥山真司の地政学講座CD 全10回
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# by masa_the_man | 2016-11-14 09:40 | 日記 | Comments(0)
今日のイギリス南部はよく晴れまして、すでに日本でいえば真冬並の寒さです。

さて、すでにTwitterの方でも少し触れましたが、「ナポレオンが孫子を読んでいたかどうか」という問題について一言。

ナポレオンと孫子といえば、その時代や地域に大きな差はありますが、軍人として後の戦略思想や、さらには人類の歴史においても多大なる影響を与えた人物であります。

もちろん孫子のほうは東洋において大きな影響を与えただけでなく、近代に入ってからは戦略についての古典思想として西洋でもさかんに読まれており、やや古いですがこの本などはその成果の一つ。

それに対してナポレオンといえば、フランスを一時ヨーロッパの雄にしただけでなく、あのクラウゼヴィッツやジョミニにインスピレーションを与えて近代の戦略研究のきっかけをつくった最大の人物となっております。

ところが孫子研究の人々の間で以前から議論となっているのは、このナポレオンが孫子を読んだのかどうか、という点です。というのも、西洋に孫子が最初に紹介されたのはフランス語。解説つきの抄訳という形でイエズス会の宣教師であるアミオによる訳が、フランス革命前の1772年に出版されております。

つまりこれはナポレオン(1769-1821)が生きていた時代にすでにフランス国内では書物として出回っていたことになるわけで、当然ながら軍人ナポレオンも読んでいたのでは、という憶測が絶えません。

ただしこの本の中の伊藤大輔氏による優れた解説などでもわかるように、「読んだことはない」というのが今のところの定説になっております。状況証拠などを含めて、確たる証拠がないからです。

ところが私が博士号をやっていた時にお世話になった先生を久しぶりに訪れると、なぜか話がクラウゼヴィッツの話になり、その流れから「そういえば・・・・」と言って、戦略研究の分野では最近、画期的な発見があったというのです。

それは、ナポレオンの政権時代に戦争大臣までつとめたラザール・カルノー(大カルノー)が、アミオ訳の中の孫子のフレーズをそっくりそのまま引用して自分の書物に書いていたことが判明したということなのです。

もちろんこれだけでは「ナポレオンが孫子を読んだ」ということにはなりませんし、ましてや「ナポレオンが孫子の教えを実践した」という証拠にさえなりません。

ところが状況証拠的に考えれば、「ナポレオンの側近に孫子の言葉をよく知っている人物がいた」ということは言えるのかと。

詳しくは私の先生が編集した本の中の論文にあるそうなので、その本(入手困難)を手に入れるまでしばらくお待ちいただきたいのですが、戦略研究の人間としてはこれは非常に気になるところです。

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(パディントン駅)
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# by masa_the_man | 2016-11-04 16:20 | 日記 | Comments(0)
今日の横浜北部はやや寒いですが、朝から気持ちいい天気です。

さて、今週の放送(https://goo.gl/E2KY9x)で取り上げる予定の、興味深い意見記事の要約です。

===

極左の奇妙なプーチンへのシンパシー
by ゲルショム・ゴレンバーグ

ジェレミー・コービンといえば、頑固で論争の的となる人物であり、最近イギリスの労働党党首として再選されたばかりだが、彼はロンドンにあるロシア大使館の前でシリアでの空爆に反対するために抗議するという考えを拒否している。コービンの側近によれば「ロシアやシリア軍の残虐行為に注目」してしまうと、「アメリカ主導の空爆がもたらした大規模な民間人犠牲者」から目をそらすことになってしまうというのだ。

これがわかりにくいとお感じになる人もいるかもしれないので、コービンが労働党の党首に選出されるまで議長を務めていたイギリスの「停戦同盟」(Stop the War coalition)について考えてみよう。

この同盟の現在の副代表であるクリス・ナインハム(Chris Nineham)はあるラジオ番組のインタビューで、ロシアの残虐行為に対して抗議することは「ヒステリアと愛国狂信主義」を増加することになり、シリアでの紛争を終わらすための唯一の方法は「西側に対して反対すること」だと答えている

これを言い換えれば「われわれが戦争反対を唱えても、それはプーチンの戦争に対する反対ではない」ということだ。西側の帝国主義者による戦争に反対、ということなのだ

この意味を考えてみよう。イギリスだけでなく世界中のロシア大使館の外で抗議するというアイディアは、労働党の議員であるアン・クライド(Ann Clwyd)が提唱したとされている。そして外相であるボリス・ジョンソン(Boris Johnson)がその提案を支持したことも本当だ。ところがジョンソンが反対したからロシアの戦争犯罪を無視することにしたというのは、共和党の何人かが反対したからトランプ候補の女性蔑視を無視するというのと似ている。

ロシアの行動と同盟国側の行動を比較するために、英ガーディアン紙は「エアーウォーズ」という監視団体と共に事実関係をチェックしている。それによると、ロシアの攻撃による民間人の死傷率はその団体の代表者によれば「同盟国と比べて8倍も多い」という。つまり同盟国側は民間人の死傷者を出さないようにしているのだが、ロシア側はわざと民間人を狙っているということなのだ。

そして予想通り、分裂した労働党の中の多くの人々は、コービンの態度に激怒している。これはコービンの古臭くて一面的な「反帝国主義」の態度が左派の恥になっている直近の例である。それに対してアメリカでは、最も目立ったプーチンのファン(トランプ)が、右派にとっての最大の恥となっているのだ。

ところがアメリカの左派の中にもコービンのような存在がいる。それが「緑の党」の党首であるジル・ステイン(Jill Stein)だ。ほんの数日前まで彼女は、自身のウェブサイトに「アメリカはシリアでのいかなる軍事介入も終わらせるべきであり、武器通商禁止を課して、シリア、ロシア、そしてイランと協力してシリア全土をその政府下の統治へと回復させるべきである」という宣言文を載せていた。言い換えれば、この「反戦」候補の立場というのは、アサド政権とその配下たちが勝利するまで戦争犯罪を続けさせよということなのだ。

私が知る限り、ステインのポジションに最初に気づいてツィートしたのはジャーナリストのパトリック・ストリックランド(Patrick Strickland )である。

短期的ではあったがこの件についてソーシャル・メディアで炎上し、スティンの言葉はウェブサイトから削除された。代わりに掲載されたのは「それはステインの考えを反映したものではない」という一文であり、「アメリカの中東への干渉」に反対するという修正された言葉であった。

おそらく物分りのいいステインは、アレッポの反政府軍が占拠している地域で民間人を意図的に狙った空爆が行われている最中にプーチンやアサドと協力することを語るのはイメージ的によくないと判断したのであろう。ところが最初に掲載した文章が彼女の真意を反映していないというのはかなり怪しい。

その理由は二つある。一つは、修正された文言もアメリカだけを批判したものだからだ。そしてもう一つは、最初の文章は彼女のサイトに掲載されていた去年の12月のモスクワでの会合についての報告と当てはまるからだ。ちなみにその会合とは、ロシア政府のプロパガンダ機関であるRTが主催した外交フォーラムのことである。

彼女はそこでロシアとシリアとの「原則に則った協力」を提唱しており、プーチンが彼女をはじめとするその場にいた外国の政治家たちと「多くの問題について」意見が一致したと述べていたことを誇らしげに書き込んでいるのだ。

このモスクワでの会議に出席していた政治家の中には、元ロンドン市長でコービンとも近い関係にあり、その数ヶ月後に「ヒトラーは権力を握った時にシオニスト運動を支援していた」という反ユダヤ発言で労働党から数ヶ月資格停止となったケン・リビングストンである。

さらにこの会議のもう一人のゲストには米国人ジャーナリストのマックス・ブルーメンタール(Max Blumenthal)がいた。彼は先週、シリアの民兵である「ホワイト・ヘルメッツ」(White Helmets)についての記事を発表したが、ここでそのメンバーが政権の空爆後の瓦礫から救い出された話を書いている。「ホワイト・ヘルメッツ」は去年暗殺された英国議員ジョー・コックス(Jo Cox)によってノーベル平和賞に推薦されている(ちなみにコックスの夫は今週コービンの態度を「恥ずべきものだ」と痛烈に批難している)。

このブルーメンタールの記事ではこのグループのことを、非情なアメリカがアサド政権を転覆するために使っている「ツール」として描いている

自身はイスラエルの政策により融和的なポール・シャム(Paul Scham)によれば、ブルーメンタールは前にイスラエルについての報道において「シオニズムは・・・ほぼ究極の悪」として扱っているとブルーメンタールの本(Goliath)の書評の中で書いている。ところがブルーメンタールのアラブ人への命と人権についての懸念は、アサド政権をアメリカの覇権の敵対者として描く際に消え去ってしまっているようにみえる。

オバマ大統領の対シリア政策が批判されるとすれば、それはやりすぎたからではなく、むしろ人道的な犯罪を止めずに看過していたところにあるといえる。ただしここで注意しておきたいのは、対シリア政策として何をすれば、そしてこれから何をすれば良いのかについて私は判断しかねるということだ。

米国による介入の拡大を主張する人々の中には、米軍や大統領の力を過信している者がいるように思える。米軍の力への過信はブッシュ大統領のイラク侵攻で崩れ去った。そして民主制度では不必要な戦争を戦うと国民からの軍への政治面での支持が、本当に必要とされる時に下がってしまうことになるのだ。

ところがアメリカはあまりにも長期にわたって外交に頼り切ってしまったために、プーチンとアサドに行動の自由を与えてしまった。そしてシリア全土の治安回復には血塗られた内戦が待ち受けている状態になってしまったのだ。

プーチンの極左側の応援団は、まだ冷戦時代に生きていると勘違いしており、世界は西側の帝国主義とその敵で構成されており、モスクワを自分たちの味方としてとらえている。これは非常にゆがんだ世界観だ。奇妙なことに、これは数十年前の過去の生活と、歴史観の欠如の混同によって構成されている。

ロシアの帝国主義的な目標である「オスマン帝国の領土だった場所への権力の拡大」というのは1907年に始められたのだが、イデオロギーの衣をまとってソ連時代、そして現在までも継続されている。シリアでの足場を維持するため、ロシアはその国の残りのすべてを破壊するつもりである。

去年のその会議のもう一人の講演者の一人が、トランプ候補の選挙戦の代理人となったマイケル・フリン(Michael Flynn)元将軍である。これこそが皮肉の極地である。なぜなら極左の人間たちが、トランプと彼のプーチンの独裁的な政権の信奉者たちと一緒に舞台に並んだからだ。つまり極端主義者たちは「使えるアホ」として集合したということだ。

===

なかなか手厳しいですね。

ひとつここで注意しておいていただきたいのは、これがアメリカの「リベラル」の立場から書かれたものであるということです。そして日本の場合とは違って、彼らリベラルたちは「人道のためならある程度武力行使は賛成」という立場にあるということです。

これがさらに極端化すると、イラク戦争を主導したネオコンになるわけですが・・・

それにしても、この記事で指摘されているような政治構造というのは、実際のところ、世界中のどの国でも見られるものですよね。

これについて詳しくは火曜夜の放送で。
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(金曜日のスタジオ内の様子)


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# by masa_the_man | 2016-10-24 13:14 | 日記 | Comments(2)
今日の横浜は朝から爽やかでしたが昼間は少し曇りました。

さて、先日の放送(https://youtu.be/dt7BJ3nb-8k)でも紹介した記事の要約です。こういう意外性のある記事は好きです。

===

国民投票はなぜそれほど「民主的」ではないのか
By アマンダ・タウブ&マックス・フィッシャー

世界中の有権者は、この1年で大変な経験してきた。彼らはコロンビアの和平交渉を拒否し、EUから英国を離脱させ、民主制を後退させるタイの憲法を支持し、ハンガリーでは必要票数のないまま政府の難民拒否の法案を可決させたからだ。

これらはすべて「国民投票」(national referendum)によって決せられたものだ。有権者はこれを通じて政府の計画をひっくり返したが、これらは自らの権利を弱め、政治危機を発生させることになり、ある一つのことを達成した。それは、多くの政治学者が、なぜ国民投票を「やっかいで危険なもの」だと考えているのかをまざまざと見せた、ということだ。

ダブリンのトリニティ・カレッジの政治学者マイケル・マーシュ(Michael Marsh)は、「シンプルな答えとして、国民投票は絶対的に危険なものだ。私はアイルランドで行われた国民投票を何度も経験しているが、それらはほとんど無意味なものから、危険なものまである」と答えている。

もちろん国民投票に一票を投じた有権者たちは、民主制度の最も純粋な形のものを実行した人々として描かれることが多いが、研究によれば、民主制を悪化させることのほうが多いという。有権者というのは移り気であり、明らかに有益な決断を覆すだけでなく、コロンビアの例でもわかるように、天候のような予測不能な要素に左右されることもあるからだ。

有権者たちは、基本的にあまり情報のない状態で投票するものであり、その判断を、政治的なメッセージを頼りに行わざるを得ない。そうなると、その権力は投票者ではなく、政治エリートたちの手中にあることになる。

ロンドン大学政治経済学院(LSE)のアレクサンドラ・シロン(Alexandra Cirone)によれば、「これはリスキーな手段なのだが、政治家はそれでも自分たちが勝てると思い込んでいるので使いつづけるのだ」と述べている。

ところがそれでも勝てないことは多く、問題を解決するのではなく新たな問題を作り出してしまうものだ。たしかにこれについての研究結果を見ていくと、多くの専門家たちが国民投票をなぜ信じていないのかがよくわかる

▼難問への「ショートカット」?

有権者はあらゆる国民投票でひとつの問題に直面する。それは難しい政策の選択を、シンプルは「イエス」か「ノー」の判断にまとめて考えなければならず、しかも決定の結果はあまりにも複雑で、専門家でもそれを理解するのに数年かかるほどだからだ。

有権者たちはこの問題を、政治学者のアーサー・ルピア(Arthur Lupia)とマシュー・マキュビンズ(Mathew D. McCubbins)が「ショートカット」(short cuts)と名付けたものによって解決する。つまり有権者たちは、有能そうな人物や、親しみのあるナラティブに当てはまる選択をする、ということだ。

政府が国民投票を進める場合、トロント大学の名誉教授である政治学者のローレンス・レドゥック(Lawrence LeDuc)の研究によれば、国民はその国の首相や与党の好き嫌いで投票を決めるのであり、国民投票で問われる国民的な問題の選択とは関係なくなることが多いという。たとえばコロンビアでは、2014年にサントス大統領に投票した選挙区のほとんどは、今回の和平提案にも投票している。

また有権者は、既存のイデオロギー的な思想の枠組みの中で複雑な問題を考えようとするものだ。このようなメカニズムはほぼすべての国民投票で作用しており、しかもその問題の深刻度が増せばますほど、この傾向は高くなる。

▼「わかりやすい話」の強制

もちろん政治家やその他の実力者たちは、国民投票の問題をシンプルでわかりやすい話にして語ることが多い。

結果として、その投票は実際の政策の問題ではなく、抽象的な価値観や、有権者にとってどちらの側のストーリーが魅力的なものに映るか、という競争になってしまうのだ。

イギリスではEU離脱(ブレグジット)についての議論では、両陣営ともEUの参加国としての立場を細かく議論せず、どちらの価値を強調した選択にするかという枠組みで問題が語られることになった。「残留派」側はEUの参加国として残ることが経済の安定性につながると論じたのであり、「離脱派」は移民問題という点を強調したのだ。

そしてこの両陣営の狙いは当たった。残留に投票した側の人々は経済面での懸念を表明したが、移民問題は問わなかった。離脱派は移民問題の懸念を表明したが経済についてはそれほどであったのだ。

コロンビアでもサントス大統領は国民投票を「和平のための投票だ」と表現したが、反対派は最大の反乱グループであるFARCが国民からそもそも受け入れられる存在なのかどうかを問うものだとしたのだ。そして両陣営とも、その講和締結が本当に価値のあるものかどうかという問題には十分に踏み込まなかったのである。

タイでは軍主導の政府が8月に国民投票を行い、軍の権力を確立して民主制を弱める新しい憲法を認めさせている。ところがタイ軍は憲法が成立した後に選挙を実行すると約束しており、これは実質的に「非民主的」な憲法を「選挙推進のもの」として売り込んだということだ。そしてこれも議会を通過している。

▼権力者のツールとしての民主制 


国民投票というのは、リーダー側がすでにやると決心したことを、「国民の手に選択肢を渡したもの」として描き出して「国民からの信任」というスタンプを押すために行われることが多い

ところがシロネ氏によれば「国民によって決断されたかどうかはそれほど関係ない。政治家が国民に問うことによって有利になるかどうかのほうが重要だ」という。

たとえば7月まで英首相をつとめていたキャメロン氏は、自分の決断であるEU残留の意見が通るはずであり、これによって離脱派のライバルたちを黙らせることができると予測していた。

タイ軍も憲法草案についての報道を制限しつつ、民主制への脅威という反論が出ないようにしていた。国民参加という装いをまとっていたが、実際に軍はその参加を制限することになったのである。

ハンガリーのオルバン首相も、EUからの難民受け入れ要求について問う国民投票を自ら企画したといわれており、これは自らの決断がEUからの反発を受けることを予期しており、ついでに自分の権力の立場を固めておくという、いわば先制的な措置であったといわれている。

いずれにせよこれらのケースでは、選挙が自身の立場を強化するためのツールとして使われたのである。

▼ハイリスク・ハイリターンな和平投票

「国民からの信任」というのは、下手をしたら国内での激しい議論から政治不安、さらには武力衝突までつながるようなものを決着するという意味で、良い結果を生むこともある。ところがそこで決定されることの意味が重大であればあるほど、そのリスクも高まるのだ。

1998年に締結された北アイルランドの「ベルファスト合意」の後に、北アイルランドとアイルランド共和国で二つの国民投票が行われた。これによって両国に生きる人々は自分たちの意見が尊重されたと感じたと共に、まだ戦い続けたいと考える人々を脇にどけることができたのであり、これによって紛争の再発を難しくすることができたのである。

国民投票が通常の選挙と異なるのはまさにここにある。それが成功するのは、国民全体が「投票は大衆の意志を代弁している」と感じたときだけであるという点だ。しかもその効果が高まるのは投票率が高く、どちらか一方が一方的な勝利を収めた場合であり、1998年の北アイルランドで起こったのはまさにこれだったのだ。

ところがコロンビアの場合、投票率は有権者のたった38%だったのであり、しかもその票もほぼ完全に割れていて、たった数千人の気まぐれでも結果を劇的に変えるものであった。もし国民投票で可決されたとしても、その講和には大衆による正統性のお墨付きがついたとはいえなかっただろう。

不思議なことに、コロンビアとイギリスの場合も、一方の勝利のために50%以上の過半数の得票を必要としなかったのだ。低い得票率で、しかもコロンビアの例のように結果が接近していると、政治面での議論が苛烈になるリスクも出てくる。

リーダーたちは大衆の意志を明確に示したとはいえないその結果を、受け入れるか、もしくはその結果を拒絶して政治面での反発か、体制面での危機のリスクを背負うかの選択に迫られるのだ。

▼ロシアンルーレット

国民投票というのは、争点となっているものとは無関係のところや、誰もコントロールできない要因で動かされることもあるために、極めて移り気なものである。

意識調査の結果というのは有権者たちが投票直前にならないと態度を決めないことが多いために、読み違いを起こしやすい。彼らはおのずと意見を変えやすいからだ。トリニティ・カレッジのマーシュ教授は「その投票から一週間もすれば国民はそこでの議論の可否を忘れてしまうものであるし、なぜイエスかノーに投票したかのか、その理由も忘れてしまう」と述べている。

そのため彼は「国民投票は信頼できないものだと感じますよ」と付け加えている。

政治から生じるノイズも国民の意志を捻じ曲げることにつながる。ある党の支持率の上下や党内の権力争いが外に漏れてくること、そしてメディアの関連問題についての報じ方など、それらすべてが影響を及ぼすことになる。

また、投票者たちは天候のようなランダムな要素にも左右される。コロンビアでは投票日の直前にハリケーンが通過しており、いくつかの地区では住民が避難しており、それが投票率そのものに影響を与えた可能性もあるのだ。

ハーヴァード大学の経済学の教授でイギリスのEU離脱投票の件について書いたケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)は、「どこかの瞬間で過半数をとったことによってものごとが決定されたということが必然的に民主的であるという考え方は、そもそも民主制という言葉の概念を捻じ曲げたものだ」と書いている。

こんなのは民主制じゃなく、共和政体に対するロシアン・ルーレットでしかありません」と彼は付け加えている。

====

たしかにキャメロンの無謀なギャンブル体制を見ていると、国民投票の危険性がわかりますね。

クラウゼヴィッツは戦争の「三位一体」の一つに「チャンス」(偶然性)を挙げてますが、そこに頼ろうとする政治家たちの本来持つべき「理性」も、政治(戦争)の混沌の中に発生する「情熱」に負けてしまう、ということでしょうか。

日本も憲法改正で国民投票を、という話が少し出たことがありましたが、これは一つの教訓例として参考になりますね。

以下は放送時の様子です。ご参考まで。

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(南の島:その2)


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# by masa_the_man | 2016-10-19 18:03 | 日記 | Comments(1)
今日の横浜北部は朝から曇っておりましたがギリギリ降らなかったですね。

さて、先週の放送(https://youtu.be/cF5g8VLIjDQ)でも触れた「国境」の話題について、保守派のビクター・デイビス=ハンソンの意見記事を要約したものを。

===

なぜ国境は重要で「ボーダレスワールド」は幻想なのか
by ビクター・デイビス=ハンソン

「国境」がここまでニュースの話題として取り上げられるのは史上初めてではないか。

中東から欧州に殺到するイスラム系難民やテロリズムの台頭のおかげで、欧州内の移動自由の権利を認める、いわゆる「シェンゲン協定体制」に対して反発が巻き起こっている

欧州の人々は人種差別主義者ではないが、中東からの移民の受け入れについては、それが合法的に入国して、しかも欧州の価値観や態度を共有を約束することができる人々(この点については不寛容であるとして何十年も前に破棄しているが)については受け入れる、という方向に行き着いているように見える。

欧州の人々は自分たちの国境が、北アフリカや中東での文化や社会を断絶している役割を果たしていたことをいまさらながら再確認しているのだ。

アメリカでもこれと同じような危機が発生している。オバマ大統領が反対にもかかわらず不法移民に対して大統領権限で恩赦を与えているからだ。メキシコや中南米からの不法移民に対する米国民の反発は、トランプ候補の台頭(これは国境に壁をつくると公約したことでも予測できた)を許すことになったのだが、これはドイツに難民が流入したことによってメルケル首相に対する反発が発生したのと同じことだ。

欧州と北米で人々の怒りを盛り上げているのは、エリートたちが推し進めている「ボーダレス・ワールド」である。エリート内では「ボーダーレス」が現代のポリティカリー・コレクトネス的な立場を占めるようになっており、その他の似たようなアイディアと共に、われわれの使う言葉を規定しつつある。

最近よく使われる言葉に「不法異邦人」(illegal alien)というものがあるが、これは「非合法移民」(unlawful immigrant)という曖昧な言葉から「証明書を持たない移民」(undocumented immigrant)という名前から、単なる「移民」(immigrant)や、完全に中立な「移住者」(migrant)というものに移り変わってきている。こうなると、この人物が入国してきているのか出国しつつあるのかわからなくなるのだ。

今日の国境開放への動きというのは経済・政治的な要因(米本土や欧州の人間が避けるような低賃金の仕事を請け負う労働者の必要性や、破綻国家を逃れようとするもの)だけによるものではなく、西側の学界が数十年間にわたって「国境言説」(borders discourse)というトレンディーな分野の知的扇動によってつくりあげたものでもある。

この「ポスト国境主義」とでも呼べる分野では、国境は単なる人工的な構成物となり、それは権力にある者によって外の世界、つまり貧乏で非西洋的で「排除すべき存在」を意図的に切り離すための手法でしかないということになるのだ。

あるヨーロッパの学者によれば、「国境が引かれるところで権力が行使される」というのだが、この観点からいえば、国境が引かれていないところには権力が行使されないということになる。これはまるで、ドイツになだれ込む中東移民たちには、その数の多くても西側の不満を抱えた政治による巧妙なごまかしによって権力を持てないといわんばかりだ。

ところが「ボーダレスワールド」の夢は、それほど新しいものではない。プルタルコスは自身の随筆集の中で、ソクラテスがアテナイの人間ではなく「世界市民である」と考えていたと主張している。欧州では共産主義の普遍的な「労働者の団結」という考え方は「国境のない世界」というアイディアを土台にしたものであったし、「万国の労働者よ、団結せよ」とマルクスとエンゲルスは強く勧めている。この考えに従うと、戦争が発生するのは国家が持つ国境という時代遅れのものをめぐっての不要な争いのためだということになる

何人かによれば、この終わりなき戦争を防止する方法は、国際的な統治のために国境を廃止することとなる。HGウェルズの『来るべき世界の物語』(The Shape of Things to Come)は国際的な識者たちが世界政府をつくることによって国境が最終的に消滅する世界を描き出している。

このようなフィクションは現実世界でも一時的な流行をつくりだしているのだが、国境という存在をなくそうとする動きは(ウェルズが生きていた当時の国際連盟がその一例だが)常に失敗している。

それでも左派は「ボーダレスワールド」の願いを持ち続けており、それは倫理的に優れたものであり、人工的に押し付けられた「違い」に対する勝利であると考え続けているのだ。

ところが真実は違う。なぜなら、国家の定めた国境というのは「違い」をつくるのではなく、そもそもあった「違い」が反映されたものだからだ。エリートたちの国境を消滅させようとする試みは、無駄であると同時に破壊的である

国境――そしてその維持、もしくは変化させるための戦い――というのは、農耕文明の始まりと同じくらいの長い歴史を持っている。古代ギリシアの戦争は、雑草の茂った土地をめぐって争われた。係争地となる高台の農園は耕作にはあまり向かなかったが、都市国家にとって文化の発生と終わりを決定するという意味で極めて高い象徴的な価値をもっていた。

歴史の中で、戦争を引き起こしたきっかけというのは伝統的にそのような国境地帯であった。アルゴスとスパルタの境や、ローマ帝国の国境としてのライン河とドナウ河、もしくはドイツとフランスの権力争いの象徴となったアルザス・ロレーヌ地方である。

これらをめぐる紛争は、少なくともその当初は隣国を侵略して占領するための目標であったわけではない。国境とは、明確な区分けを尊重する異なる社会同士の「相互表現」だったのであり、経済面での必要性や軍事安全保障といった面だけでなく、隣国の干渉や脅しに屈することなく独自の活動が行えるよう確保するための手段でもあったのだ。

ボーダーレスを崇める普遍的な教義を主張する人々の多くは、卑しい偽善から逃れることはできない。2011年にオープンボーダーの提唱者であるアントニオ・ヴィラライゴサは、市長公邸の周囲に壁をつくった最初のロス市長となった。

公邸周辺に住む人々はこの案に反対したが、その理由として、そのようなバリケードの必要性がないことや、1.2メートル以上の壁を宅地に造ってはならないとする市の条例に違反すること、逆に安全に疑問を投げかけることや、新しい壁は公邸の権力の象徴となったことなどを挙げている。

エリートたちは壁を造ることによって外界を切り離すことができるかもしれないが、その政策はその外で活動する資金や影響力をもたない非エリートたちに大きな影響を与えることになる。

壁によって生まれるこの二つの集団――ペギー・ヌーナンはこれを「守られた人々」と「守られていない人々」と呼んだが――は、ジェブ・ブッシュの選挙戦で誇張されることになった。フロリダ州知事を務めたブッシュ候補がメキシコからの不法移住を「(アメリカに対する)愛から出た行動」と呼んだが、この発言によって彼は自ら選挙戦にトドメを刺すことになった。

どうやらブッシュは、彼のアイディアが自分自身と家族に対してどのような影響が出るのかを選べるだけの富を持っていたということらしいのだが、アメリカの南西部に住んでいる人々にとって、このようなことはほぼ不可能だ。

より大きな視点からいえば、国境を軽視する人々というのは、なぜ数百万人もの人々がそもそも国境を越えて、非常に大きなリスクを背負いながら、使いやすい言葉や祖国を捨てようとするのかという問題を見ようとしていない。その答えは明白だ。1960年代の中国・香港間、現在の北朝鮮と韓国の間のように、移住というのは大抵は一方通行であり、非西洋から西洋、もしくは西側への支持という形で現れるのだ。

彼らは国境を越えるために歩き、登り、泳ぎ、そして飛ぶのである。そしてこれは、国境が人間の経験に対して異なるアプローチをとる社会をそれぞれ区別するものであり、一方がもう一方よりも成功していると見られていることの証拠となっている。西洋の社会というのは、国民の総意や宗教への寛容性、司法の独立、自由市場資本主義、そして私有財産の保護などを最も推進しやすい統治体制をもっており、これによって彼らの祖国にはほとんど存在しない経済的繁栄や身の安全を個人に提供しているのだ。

結果として、移民たちは西側諸国に向かうのであり、とりわけその理由は西洋文明が人種ではなく文化で定義されるものであり、その作法を共有したいと考える異人種は受け入れる唯一の存在なのだ。

西洋社会に生きる同化していない多くのイスラム系の人々は、西洋の法体系を無視して過激主義に生きることができると考えている。今日、パキスタンからロンドンに降り立った人は、祖国で実践していたイスラム教の戒律にしたがおうとするはずだ。

ところがこれには二つの暗黙の前提がある。一つは彼がパキスタンのイスラム教の戒律の元に帰りたいとは思わないことであり、もう一つはもし同じような文化を新しい土地に持ち込んだとしても、最終的には最初に祖国を逃れたのと同じ理由でその土地から逃れることになる可能性が高いということだ。

同様に、「証明書を持たないラテン系」の若者がドナルド・トランプの演説会を邪魔しようとする際も、彼らはよくメキシコの旗を振ったり、「アメリカを再びメキシコにしよう」(Make America Mexico Again)というスローガンを書いたプラカードを見せたりしている。

ところがこの感情的なパラドックスについては注意すべきだ。国外追放される可能性に怒りを感じている市民権をもたない彼らは、自分たちが最も生きたくない国の旗を何の考えもなく振っているのであり、同時に自分たちが断固として居残りたい国の旗を無視しているのだ。

国境というのは、隣家との間にあるフェンスと同じように、それぞれの国を分けるものであり、一方にあるものと、もう一方にあるものを「境界化」するための手段なのである。

国境は生得的な人間の欲望としてある獲得欲や所有欲、それに物理空間への欲求を強めるものであり、これは国境が明確に確定して分離されているものとして見なされ、そのように理解されないと不可能なのだ。

壁やフェンス、もしくは警備パトロールなどによって明確に引かれた国境線や、その管理というのは、人間の本性の中心に響いてくるのであるため、それをすぐに取り去ることはできない。それはローマやスコットランドの啓蒙主義に至るまでの裁判官たちが「モエム・エト・トゥーム」、つまり「私のものとあなたのもの」と呼んだものなのだ。

たしかに友人の間ではフェンスのない国境は友好関係を強化するものだ。ところが友好的ではない人間たちの間では、国境が強化されれば平和を維持することにつながるのだ。

====

デイビス=ハンソンといえば、「西洋式の戦争方法」を提唱したことで戦略研究では「戦略文化」の議論でだいぶ引用された古典学者ですが、この意見記事は米国の古い保守派の意見を代弁しているといえるでしょう。

議論としては「西洋バンザイ」という側面があるためにけっこう雑なところがありますが、フクヤマは「住みたいと思う国に移住することで移民たちは優れた国に足で投票している」と言ったことと通じるところがあります。

以下は放送時の様子です。ご参考まで。

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(南の島)

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# by masa_the_man | 2016-10-16 00:28 | Comments(3)
今日の横浜北部は朝から晴れました。そろそろ涼しすぎるくらいですね。

さて、昨日の放送(https://youtu.be/aWaIX4TwdmU)でも触れた、ローマの「難民危機」の話を扱った記事の要約です。

====

ローマ帝国を死滅させた難民危機からわれわれは何を学べるのか
By エリック・シグリアノ

EU離脱を決めた英国からカレーの難民キャンプ、さらにはドナルド・トランプの想像上の国境の壁まで、難民や移民の流入に対する不安は最高潮に達している

オバマ政権は先日2017年度に前年と比べて30%多い11万人の難民受け入れ計画があると発表して共和党から非難されたが、それでもカーター・レーガン時代にソ連圏やキューバから受け入れた数よりもはるかに少ないのだ。

政治家たちは「前例のない」移民の圧力について口ごもったり扇動したりしているが、実際は同じようなことが1640年前の欧州、つまりローマ帝国のトラブルだらけの国境付近で起こっている

376年のローマ帝国は、今日の状態を奇妙に予見したような自傷的な体験をしており、これをきっかけにしてローマ帝国の崩壊につながる出来事が次々と起こっている。もちろん研究によれば、その最大の原因は野蛮人たちの連続的な侵入である。ところが歴史家であるアミアナス・マルセリヌス(Ammianus Marcellinus)をはじめとする歴史研究によれば、ローマの崩壊はまさに「難民危機」から始まったというのだ。

もちろんローマ人は、難民やそのほかの移民たちの受け入れに関して「ズブの素人」であったわけではない。ローマ帝国は、現在のわれわれの共和国たちが台頭するまでは、世界最長の多民族・多文化社会だったわけであり、最も多様性をもっていて、しかも成功した存在であった。

ーマは700年間にわたって、移民を同化したり多民族の地を占領したりすることによって発展していた。それによって、人口の少ない領土に暮らす人々は労働力を提供し、農民は帝国の都市と軍隊に食糧を提供し、とりわけ戦争を戦うための兵士まで提供したのである。「普遍的な万能薬」であるローマ市民への道は、すべての人々に開かれていた。最終的に皇帝マルクス・アウレリウス・セウェルス・アントニヌス(カラカラ帝)はすべての非奴隷に市民権を与えている(アントニヌス勅令)。

ところがローマの同化政策は、今日では「ISの戦士」に喩えられるフン族の戦士たちが、東からヨーロッパを席捲した時に破綻している。フン族はゴート族のいくつかの部族の土地を占領し、その他の部族を、西や南の帝国の国境まで追い詰めた。

その結果、男女・子供合わせて約20万もの人々がドナウ河の反対側に集まって亡命と保護を求めてきた。イタリアの西ローマ帝国とは反対に、コンスタンティノープルを支配していた東ローマ皇帝のウァレンス(Valens)は、ゴート族の主な部族の一つ(テルヴィンギ族)を、きわめて良い条件で受け入れることにした。

ローマが野蛮人を受け入れる場合、大抵はそれらをいくつかの小規模なグループにわけて同化を図り、反逆する勢力となるような大きな集団をつくらせないようにしていた。ところが皇帝と彼の軍のほとんどは、ライバルであったペルシャの帝国との戦いで不在であった。

ウァレンスは部族の分断を監視するための十分な兵力を残しておらず、さらにはゴート族の兵士を自らの軍に積極的に徴用しようとしていたため、テルヴィンギ族に対して好みの場所にまとまって居住するように許可したのである。これを喜んだテルヴィンギ族の酋長であるフリティゲルンは、自らをキリスト教に改宗すると提案している。

ところがこの計画は頓挫した。ローマご自慢の兵站能力も、買収されやすい高官たちや、圧倒的な数を誇る腹をすかせた難民たちを支えることができなかったからだ。彼らの傲慢さや無能さは、ラムズフェルド/ウォルフォウィッツ/ブレマー式のイラク占領の台本になっていたといってもいいくらいだ。

ローマの駐留軍はテルヴィンギ族の群れをキャンプに押し込み、これが彼らの死の収容所となった。汚職にまみれた高官たちは送られてきた食糧を中抜きしてしまい、同時にこのゴート族たちがキャンプの外に食糧を買いに行くのを拒否した。

腹をすかせた難民たちは、子供一人を奴隷に売る代わりに犬肉一頭分を購入したという記録が残っている。現地のローマ軍の指揮官たちはゴート族の酋長たちをいじめたり脅したりしており、ある時には彼らの従者を殺害したりしている。

苦境に追い込まれ怒りを押さえられなくなったテルヴィンギ族は、ついに反乱を起こし、ローマ軍が没収できなかった武器や、その場で造った棍棒などを使って、その国境部隊を圧倒している。ローマが入国を拒否した別のゴート族であるグルツンギ(東ゴート族)も、いまやドナウ河から侵入し、すでにローマの中にいた奴隷、鉱夫、囚人、そしてゴート族の兵士たちは、それに呼応する形で反乱をはじめた

ウァレンス皇帝は反乱を鎮圧するためにレヴァント地方から軍を戻し、最終的には自らもその軍を率いることになった。彼は、西ローマ帝国の皇帝にも助けを求めている。

結果として、ドナウ河への侵入から二年後に、ゴート族は現在のトルコのエディルネ県にあたるハドリアノポリスでローマ帝国軍と相まみえることになった。この時に酋長のフルティゲルンは、領土を明け渡すかわりに講和を訴えたが、ウァレンス皇帝は拒否して戦闘となった。

そしてこの戦い(ハドリアノポリスの戦い)ではゴート族側が圧倒的な勝利をおさめ、ローマ軍のほとんどや、ウァレンス皇帝自身までが殺害されている。ゴート族はローマ帝国の内部で自治権を確立し、410年にはローマ略奪を行っている。

今日行われている議論では、左右両派とも、この歴史の教訓からそれぞれ確信を得ることができるだろう。たとえば移民を嫌う人々は「国境を開放してしまえばどうなるかわかるだろう」と言うはずだ。それに対して「移民は国力になるし、難民受け入れは義務である」と考える人々は、それと反対の結論に至るはずだ。

とにかくローマはゴート族を排除できなかったのであり、侵入を拒否された部族たちも最終的にはドナウ河を渡ってきた。ローマの崩壊は、難民の適応や同化をせずに孤立させて虐待すれば、一体何が起こるのかを、まざまざと見せているのだ。

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典型的な「歴史のアナロジー」ですね。ローマ帝国の教訓がどこまで当てはまるかは状況が違いすぎて微妙ですが、直面するジレンマは似たところがある、ということでしょうか。

問題は著者も指摘するように、この歴史の教訓を政治的に両陣営が使えてしまう、ということですね。

こういうところにまだそれほど悩む必要がない日本は、やはり地理的に恵まれていると言えます。

以下は昨夜の放送の様子です。ご参考まで。




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(一昨日の都内の風景)

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# by masa_the_man | 2016-10-12 11:21 | 日記 | Comments(0)